「ランニングは体に大きな負荷をかけます。ペースによっては、最大で体重の8倍もの負担がかかることもあります」とニューヨークシティのBespoke Treatments Physical Therapyで活躍する、理学療法士でCSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)のブレイク・ダークセン医師は言います。
「怪我を予防するためにも、そのような負担に対応できるよう体を準備する必要があります。正しいウォームアップをすれば、神経に血流が行き届き、体が整います。コアボディの体温も上昇し、筋肉や腱がほぐれますので、スムーズに運動を始めることができます」。
ランニング前のストレッチ方法
image via Shutterstock長い時間をかける必要はありません。最大10分、時間がない場合は5分でも構いません。余裕があれば、フォームローラーを使って、臀筋、大腿四頭筋、ハムストリング(太ももの裏側)、ふくらはぎなどの主要な筋肉をほぐしておくといいでしょう、とダークセン医師はおすすめします。
その後、レジスタンスバンド運動やダイナミックな自重トレーニングを行って、筋肉を活性化させます。「45秒以上同じスタティック(静的)ストレッチをしてしまうと、最大筋力が低下したり、パフォーマンスに効果が現れなくなったりしてしまうという調査結果が出ています」とダークセン医師。
つまり、じっくり行うストレッチは運動後のクールダウンにとっておき、走る前はダイナミックストレッチを行って体のスイッチを入れるのがいいとのこと。
早速走りはじめたいという方にご紹介したいのが、ニューヨークシティのマイルハイランクラブで活躍する認定ランニングコーチ兼インストラクターのエリザベス・コーカム氏おすすめの、6つのダイナミックストレッチです。
走りはじめる前に、各ストレッチを30~45秒ほど行い、全身を目覚めさせましょう。
01. 自重スクワット
目的:臀部のストレッチ。効果的なランには欠かせない部位です、とコーカム氏は言います。
方法:腰幅より少し広めに足を開きます。かかとに体重をのせた状態で、腰を上げ下げします。腰が膝より低い位置まで下がるのが理想です。かかとに力を入れて体を起こし、繰り返します。
02. お尻キック
目的:ハムストリングと大腿四頭筋のストレッチ。走るときにかかとがしっかり上がり、大腿四頭筋が伸びるようになります。
方法:足を腰幅に開いて立ちます。片方の足のかかとをお尻の方に蹴り上げます。足首と膝は曲げてください。すばやく足を入れ替え、もう一方のかかとをお尻の方に引き上げます。左右交互に行います。
03. 左右リバースランジ
目的:コアとハムストリングのストレッチ。また、股関節屈筋を開きます。
方法:足を腰幅に開いて立ちます。左足を後ろに下げ、両足の膝が90度に曲がるまで、体を下げていきます。前足のかかとに体重をのせ、左足を前に戻します。今度は右足を後ろに下げ、両膝が90度に曲がるまで体を下ろします。左右交互に行います。
04. Aスキップ
目的:臀部、ハムストリング、コアなど全身のストレッチ。効率的に膝を動かすことにフォーカスしています。「坂道への備えにもなります」とコーカム氏。
方法:足を腰幅に開いて立ちます。片足を胸の方に持ち上げながら、逆の足のつま先で地面を蹴り上げ軽くジャンプします。次に、反対の足を胸の方に持ち上げながら、逆の足のつま先で地面を蹴り上げ軽くジャンプします。左右交互に続けます。
05. 左右ラテラルランジ
目的:股関節のストレッチおよびヒップオープニング(股関節開き)。ハムストリングや臀部、大腿四頭筋などを活性化させます。
方法:足を腰幅に開いて立ちます。右足を横に開きます。胸をはり、左腰を下げていきます。背筋は伸ばして、左膝は90度に曲げます。つま先と膝は前に向けてください。足を元に戻し、左側も同じように行います。左右交互に続けます。
06. ジャンピングジャック
目的:血行をよくし、コアと脚を活性化させます。足や心臓周りが温まります。
方法:足を揃えて立ちます。ジャンプして腰幅より広めに足を広げ、手を頭より高く上げます。再度ジャンプして足を揃え、手を脇に下ろします。テンポを速めて繰り返します。
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Mallory Creveling/6 Dynamic Stretches Every Runner Should Be Doing Before a Workout
訳/Seina Ozawa