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内臓脂肪って何? 内臓脂肪が増えるとどうなる?

2018/11/07 12:30 投稿

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今も内臓脂肪は体の中で悪い物質を出し続けている!

「内臓脂肪って、男性につくんだよね」「腹囲90センチ以上の女性って、私はターゲットじゃない」。と思っている人は多いのでは。しかし、内臓脂肪は“誰にでも”ついています。そして、日本人はつきやすいDNAを持っている?! そこで『内臓脂肪を最速で落とす』(幻冬舎)の著者で内科医の奥田昌子先生に、内臓脂肪の正体やメカニズムについて教えていただきました。

内臓脂肪が多いと何が起きる?
内臓脂肪とは何者なの?
内臓脂肪はどうやって増えるの?
日本人は内臓脂肪がつきやすい?

内臓脂肪が多いと何が起きる?

昨今、問題視されている高血圧や糖尿病、乳がん、脳梗塞など、生活習慣病やがん。「自分にはあまり関係ない」と思っていたら要注意。なぜなら、内臓脂肪が、その引き金を引いてしまうからです。

しかし“脂肪”が気になる女性の多くは、ボディラインを気にしてのことでしょう。それは皮下脂肪を指しています。脂肪がつく場所は大きく分けて2つあり、ひとつは皮下脂肪。もうひとつが内臓脂肪。この“内臓脂肪”が、今の日本人に大問題なのです。

内臓脂肪は非常に悪い物質を作ります。この物質は血液に入って全身に回り、血圧を上げ、血糖値を上げ、動脈硬化を進めます。また、血管の中で血を固まりやすくして脳梗塞や心筋梗塞を招きます。生活習慣病全般の原因になるわけです。

さらに、この物質ががんの発生を促すことも明らかになっています。とくに内臓脂肪と関連が深いがんには、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、腎臓がん、女性の乳がんがあります。そのうえ、最近の研究から、この物質が認知症の発症率を上げることもわかってきました。内臓脂肪はまさしく万病のもとなのです」(奥田先生)

さらに、お腹の中で増えてしまった内臓脂肪は臓器を圧迫する要因にも。

「お腹は体の中心で、生きていく上できわめて重要な臓器がたくさん存在しています。そのため、内臓脂肪が固まりになってお腹に蓄積すると、腸が圧迫されて便秘になりますし、胃が圧迫されると逆流性食道炎が発生します。重いお腹を支えようとすることで背中の筋肉に負担がかかって腰痛も起こります」

この物質は血液の流れを悪くするため、冷えやむくみのかげに内臓脂肪があることも。また腰痛が慢性化している人も、内臓脂肪の増加を疑うべき、と奥田先生はいいます。

内臓脂肪とは何者なの?

お腹の中にある脂肪、くらいしかあまり認識がありません。そもそも、内臓脂肪とはどこにつく脂肪なのでしょうか?

お腹の深いところ、腹筋より奥に、内臓を覆うように付きます。いわゆるぽっこりお腹の正体です。もう少し詳しくいうと、お腹の中には腸間膜という、ヒダの多いカーテンのような膜があって、内臓をつり下げる働きをしています。内臓脂肪はこの腸間膜の表面について、増えるにつれて内臓の隙間を埋めていきます。

腸間膜の表面にべっとりと広がった内臓脂肪。スペースがいっぱいになって増える場所がなくなると、血管の周りや筋肉の中、骨の中、さらにはお腹のスペースを飛び出して心臓の周りにもつきはじめるのだとか! 

内臓脂肪はどうやって増えるの?

「内臓脂肪を顕微鏡で見ると、たくさんの脂肪細胞が集まってできているのがわかります。脂肪細胞の中には袋のような構造があって、そこに油がどろっとたまっています。これは、摂取し過ぎて使い切れなかったエネルギーが油の形でたくわえられているのです。つまり、食べ過ぎれば内臓脂肪が溜まるわけです

脂肪が増えるのは、摂取カロリーが消費カロリーを上回ったとき。それはとても単純です。摂取過剰なカロリーは、運動などですぐに使ってしまえば蓄積しませんが、もたもたしていると脂肪に変わってしまうのだそうです。

しかし、内臓脂肪は悪さをするばかりではない

内臓脂肪にも大切な役割があります。お腹の奥に内臓脂肪がたまるのは、人間が他の動物と違って真っ直ぐ立っているからです。地球には重力があるので、そのままだと臓器がずり落ちてしまいます。

これを防ぐために、臓器と臓器のあいだに内臓脂肪がついて、臓器を正しい位置に固定するようになったと考えられています。また、外からお腹に衝撃を受けたときに、クッションのように臓器を守る役割もあります」

内臓脂肪は少ないほどよいわけではなく、つきすぎることが問題なのです。

日本人は内臓脂肪がつきやすい?

ところで、奥田先生は日本人の健康と食生活の歴史についても研究しています。約1万年前の縄文時代に日本人が何を食べていたのか聞いてみたところ、太古の時代から私たちの祖先の食事は栄養があり、食材にも味付けにもこだわっていたよう。それなのに、現代の日本人のようにメタボの人はいなかったのです。

昔の日本人には、内臓脂肪がほとんどつかなかったと考えられます。その証拠に、内臓脂肪と関係が深い糖尿病、動脈硬化を原因とする脳梗塞、乳がんや大腸がんになる人がほとんどいませんでした。脂肪をあまり摂取せず、しっかり歩いていたからです。

それが変化したのが1960~80年代です。食の欧米化によって肉や乳製品を摂取する習慣が広がり、脂肪の摂取量が全体的に増えました。自動車が普及して運動不足になったことも、内臓脂肪が増えた大きな原因の一つです。糖尿病や脳梗塞なども同じようなカーブを描いて増えています。内臓脂肪が原因なのは間違いない、と考えられているのです」

ところが、欧米人は肉や乳製品をたくさん摂取しています。しかし、肥満していても、その大部分が皮下脂肪なのだそう。日本人は内臓脂肪がつきやすいDNAを持っているので、気をつけなければならないと奥田先生は警鐘を鳴らします。

「内臓脂肪の付きやすさは人種によって異なり、欧米の白人はあんなに体が大きくても、かなりの部分が皮下脂肪です。皮下脂肪はあまり悪さをしない比較的安全な脂肪です。これに対して、日本人を含む東アジア人は、危険な内臓脂肪が先に付いてしまいます

この理由として考えられているのが、日本人が脂肪の処理に慣れていないことです。肉食中心の欧米人は大昔から脂肪を大量に摂取してきたため、安全な皮下脂肪の形で脂肪をためる能力が発達しました。しかし、アジア人は脂肪の少ない食生活を続けてきました。そのため、皮下脂肪の形で脂肪をためることができず、内臓脂肪の形で蓄積してしまいます

さらに、日本人の筋肉の付き方にも内臓脂肪が溜まりやすい原因があるそうです。

日本人はお腹の両側にある筋肉(腹横筋と腹斜筋)が弱いことです。ちょうどコルセットのように内臓を抱えることで内臓を支えるのに役立つと考えられています。しかし、日本人は白人やアフリカ系の人とくらべてこれらの筋肉が強くないので、代わりに内臓脂肪を増やして内臓を固定するようになったと考えられます

進化の過程で内臓を守るようにつきやすくなってしまった日本人の内臓脂肪。適量を超えないように、日々気をつけなければなりません。

自分の内臓脂肪、だいじょうぶか気になりますよね。次回は、内臓脂肪がついているか判定できるチェックリストや内臓脂肪を簡単におとす方法をお届けします。

内科医・奥田昌子先生

内科医・京都大学博士(医学)
大規模健診センターで20年にわたり20万人以上の人間ドック・健康診断を行う。化学メーカー産業医を兼務。 著書に『内臓脂肪を最速で落とす』(幻冬舎)『実はこんなに間違っていた! 日本人の健康法』(大和書房)『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』(講談社ブルーバックス)など。最新著書は、『「日本人の体質」研究でわかった 長寿の習慣』(青春出版社)。 奥田昌子先生の著書はこちら

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