日々の生活にストレスはつきもの。多少のストレスがあるほうが、脳への血行がよくなって、目の前のタスクに集中できるようになるので、いいことだとも言われています。
しかし、仕事の重圧、家族の問題、高速道路で渋滞に巻き込まれるなど、原因がなんであれ、ストレスがいつまでも続くようになると、体によくありません。
「ストレスは個人の健康に多大な影響を及ぼす」と説明するのは、メリーランド州ベセスダの内科医マシュー・ミンツ医学博士(米国内科学会上級会員)。
でも、どのくらいの影響なのでしょうか? ミンツ医師いわく、医者にかかるケースのほとんどが、ストレスに起因していたり、あるいはストレスによる悪化が関連していたりするとのこと。
では、ストレスが体に及ぼす30の悪影響をみていきましょう(なかには驚くような影響も)。
01. 食べ物の選択を間違えるようになる
ストレスがかかると、ヘルシーではない食べ物を選ぶようになりがち。ニンジンスティックではなく、ポテトチップスの袋に手が伸びてしまいます。
「ドーパミンかセロトニンの不足が引き金となって、特定の食べ物が無性に食べたくなるのかもしれません」と言うのは、NYを拠点にホリスティックな健康を専門に活動する看護師のナタリア・ファジロヴァさん(看護実践博士、認定内科学会員)。
プレッシャーがかかっていると、副腎が、いわゆるストレスホルモンである「コルチゾール」を生成し、脳のセロトニンの量が減ります。炭水化物の多い、ほっとする食品がやたら食べたくなってしまうのは、こうした理由です。食べると血中のインスリンの量が増え、蓄えているセロトニンを放出するように脳が刺激されます。「突然気分がよくなり、気持ちも前向きになって、体がうまく機能するんです」とファジロヴァさん。
しかし、このセロトニンの放出は長続きしません。大抵はすぐに疲れを感じてしまい、またお腹がすくという悪循環が続きます。
02. エクササイズが億劫になる
ストレスがたまって、ジムに行く気力がない? ナディン・コーエン医学博士(FAAP, FACP)いわく、ストレスは実際にエネルギーのレベルを下げてしまうとのこと。したがって仕事で長い1日を過ごして家に帰ると、ジャンプしたりスクワットをしたりして力をつけるよりも、テレビの前にじっと座っていたい気分になってしまうのです。
しかし、ストレスフルなときこそ強制的にワークアウトをするようにしたほうが、実際には気分がよくなるかもしれません。エクササイズは、不安を減らしてストレス解消を促進することが研究によってわかっています。
03.常習行為にのめり込んでしまう
「Annals of the New York Academy of Sciences」に掲載された2008年の研究によれば、ストレスが飲酒や薬物の使用といった中毒性のある行為に関連しているとのこと。
よりストレスのある人のほうが、依存するようになる、中毒から抜けられない、あるいは再発するといった傾向にあります。
04. 睡眠の習慣が乱れる
ストレスと睡眠には複雑な関係があります。「睡眠に問題があり、不安も抱えていると、相乗効果でどちらも悪化してしまう」とかつてPreventionに語ったのは、オハイオ州立大学ウェックスナー・メディカル・センターで精神医学と睡眠医学を専門とするリタ・エイワド医学博士。
気持ちがはりつめているときは、一般的に寝つきが悪くなったり、熟睡できなくなったりしがち。それはマイナスの思考がぐるぐると頭の中を巡っているから。羊を数えるのに疲れてしまったら、自然に眠れる方法をいくつかためしてみましょう。
05. 生理の周期が狂ってしまう
ストレスはホルモンに影響を与えるため、明らかに生理周期がおかしくなることが研究でわかっています。
「過剰なストレスは、ノーマルな生理と排卵の周期を維持するのに関係しているホルモンの量に影響を及ぼします」と、生殖の専門家シャーヒン・ガディア医学博士(FACOG)は述べています。
06. 妊娠の問題につながることも
CareMount Medicalの内科医レオニッド・グレンケル医師によれば、ストレスは女性の不妊症リスクを倍以上にするとのこと。
「Human Reproduction」誌に掲載された2014年の研究では、ストレスのレベルがもっとも高い女性は、その他の健康上の要因を考慮しても、そうではない女性にくらべて著しく不妊に悩む傾向にあることが示されました。
ストレスが生理周期に干渉することに原因があるのではないかと考えられています。
07. 予想外の妊娠につながることも
妊娠に関していうと、ストレスはプラスとマイナス両方の結果をもたらすうえで、大きな役割を果たしています。
ガディア医師の説明によると、女性のストレスが解消されると、実際にそうとは気づかないうちに再び排卵が始まることがあるそう。このときに適切な避妊方法を使用していなければ、予想外の妊娠をする可能性も。
08. 病気にかかりやすくなる
通常ストレスがマイナスの影響を及ぼす、睡眠、食生活、エクササイズというのはすべて、健康全体を考えるうえでの重要な要素。したがって免疫システムにも悪影響があるのも不思議なことではありません。
「慢性的なストレスは抵抗力を弱めるので、より頻繁に病気にかかりやすくなります」とミンツ医師。
09. 病気を一時的に遅らせることも
ストレスがあると病気にかかりやすくなるように、逆に病気を寄せつけなくすることもある、とミンツ医師。「非常にストレスフルな状態にある間は、アドレナリンのレベルが高くなっていて、一時的に風邪を引きにくくなることも」。
特にストレスのかかるような出来事があったり、ストレスでいっぱいになっている最中は病気を遠ざけておくことができるかもしれません。
ただし、ストレスがなくなったとたんに病気になってしまうことも珍しくはない、とミンツ医師は述べています。
10. 帯状疱疹などの健康問題の引き金に
ストレスは免疫機能を低下させるので、帯状疱疹(ヘルペスウイルスの一種)のように、ウイルスが再活性化する病気を発症しやすい、とフレンケル医師。
研究によると慢性的なストレスと帯状疱疹の発症には関連性があることがわかっています。
11. 口唇ヘルペスの原因に
口唇ヘルペスになりやすい人は、ストレスを減らすことが発症の予防になります。健康的な食生活、十分な睡眠とエクササイズによって、ストレスを軽減することが可能です。
12. 胃酸の逆流を引き起こし、胃潰瘍にもつながる可能性
あまりにストレスがたまってしまい、胃酸が逆流して苦しんだ経験はありませんか?
深刻な(突然の)ストレスが長く続くと、胃酸が増えて胸焼けの原因となったり、ときには胃壁に傷が開いて胃潰瘍の原因になったります、とミンツ医師。
13. 内臓の機能が乱れる
脳と内臓は密接につながっています。ストレスがあると、下痢や腹痛、腹部膨満といった過敏性腸症候群に悩まされることもよくあります。
コーエン医師いわく、ストレスは内臓にけいれんを起こし、通常の消化機能を低下させることがあるとのこと。
14. 爪をダメにする
ストレスがあると爪を噛んだりしがちですが、それだけではなくコルチゾールが増えて爪の成長が止まってしまうことも。
これはストレスによる栄養不足から起こる可能性が高いのですが、そのうち再び爪が伸びはじめたとき、爪にボー線と呼ばれる横方向の溝ができることがよくあります。
ボー線は時間が経つにつれて伸びてしまうので心配はいりません。
15. 性欲が低下する
ストレスはセックスライフにも大きな損害を与えるかもしれません。そのひとつが性欲の低下。
ミンツ医師によれば、心が混乱状態にあるときは、シーツの間で楽しく過ごすことへの興味が失われるとのこと。
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