糖尿病でないなら、ときたまクッキーをかじったり、フライドポテトをつまんだりしても問題ないでしょう。確かにどちらもヘルシーとはいいがたい食べ物とはいえ、ダイエットや減量にならないから全然ダメ! というわけでもありません。

でも糖尿病の人にとっては、ちょっと食べすぎただけで命にかかわる結果につながることも。「ひとくちに糖尿病と言っても、ひとりひとり少しずつ違いますし、炭水化物の許容量もそれぞれ。ですから、何がOKで何がダメか厳密に言うのは難しいのです。ただ、糖尿病の人で心配なのは、血糖値を下げるために必要なインスリンをすい臓が作れなくなるくらい、炭水化物を食べてしまうことです」と、カリフォルニア大学ロサンゼルス校附属医療機関、UCLAヘルスのゴンダ糖尿病センター長を務める医師のマシュー・フリービーさん。

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三大栄養素のうち炭水化物(糖質がふくまれます)は、糖尿病の人にとって最大の脅威になります。一方で、「ほかのふたつ、良質なたんぱく質と脂肪が含まれる食べ物は、糖尿病の人にもとってもらいたい栄養素といえます」とフリービーさん。

血糖値が高すぎたり(高血糖症)、低すぎたり(低血糖症)すると、吐き気、嘔吐、胃の痛み、心拍数の増加、めまい、意識障害などの症状があらわれることがあります。糖尿病の人は、このような症状が出たらできるだけ早く医師の診察を受けるべき。

極端な場合、高血糖でも低血糖でも、意識を失うことがあり、死亡するおそれすらあります。

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しかし、「どんな食べ物であっても、まったく食べないようにする必要はありません」と、アメリカ栄養士会の広報担当を務める糖尿病療養指導士で、登録栄養士のバンダナ・シースさん。

「糖尿病の管理に役立つ食べ物とそうでもない食べ物があります。ですから、糖尿病専門の登録栄養士なら、血糖値をうまく管理しつつ、好きな食べ物を楽しめるように助言してくれるはず」とシースさんは説明します。

では、糖尿病の人にはどんな食べ物が特によくないのか、見てみましょう。

01. ソーダ類(加糖炭酸飲料)

ダイエットソーダであっても、肥満などの問題につながるとわかってきていますが、糖尿病の人にとってはやはり普通のソーダ類がずっと大きな脅威になります。

「とらない方がいい食品は何かと患者に聞かれたら、真っ先にあげるもののひとつが加糖飲料です」と、メリーランド大学糖尿病・内分泌センターの糖尿病療養指導士で登録栄養士のアンジェラ・ジン=メドウさん。

例えば、コカコーラの350ml缶には39グラムの砂糖が含まれています。これがどれほどの量かというと、アメリカ心臓協会(AHA)が推奨する砂糖の1日当たり総摂取量は成人女性で25グラムまで、男性は36グラムまで。それに匹敵するわけです。

また、ほとんどの食べ物に比べて液体は速く消化されますから、ソーダ類を大きなグラスでごくごく飲むと、たちまち身体のシステムに負担がかかりすぎてしまい、血糖値が急上昇する結果に。スポーツドリンクとボトル入り紅茶も、砂糖たっぷりです。

02. フルーツジュース(果汁)

フルーツジュースはヘルシーと思われがちですが、基本的には砂糖です」と、ジン=メドウさん。

そして糖尿病の人にとって(実際のところ、糖尿病ではない人にとっても)、ソーダ類でもフルーツジュースでも、砂糖を取るという点で違いはありません。どちらも健康によくないと研究で証明されているのです。

意外かもしれませんが、たいていのお店に並んでいる果汁100%のオレンジジュース、『トロピカーナ』と『フロリダズ・ナチュラル』は、いずれも350mlで33グラムの砂糖を含みます

アメリカ農務省の栄養分データによると、低温殺菌していない搾りたてのオレンジジュースでも、砂糖の量は変わりません。

03. ドーナツとベーグル

「糖尿病患者の多くは、砂糖が血糖値によくないと考えていますが、実は問題とすべきは炭水化物の量。ですから、砂糖の量だけでなく、炭水化物全体の量も、栄養表示をチェックするようすすめています」と、フリービーさん。

精製・加工した穀物で作ったドーナツとベーグルは、血糖値を急上昇させる重大な炭水化物源だそう。例えば、ダンキン・ドーナツのプレーンな『オールド・ファッション』ドーナツは28グラムの炭水化物を含みますが、これはコカコーラ250mlに含まれる炭水化物の量と同じ。同じダンキンの『メープル・バニラ・クリーム』ドーナツならというと……きっと、聞きたくないでしょう(一応言っておきますと、43グラムの炭水化物を含みます)。

そして、多分いちばんのビックリは、大手ベーグルチェーン、アインシュタイン・ブラザーズのベーグル。何と炭水化物56グラム!

04. フライドポテト

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フリービーさんによると、ジャガイモやトウモロコシなどの「でんぷん質」の野菜は炭水化物を多く含むため、食べる頻度を減らしたり、なるべく避けたりする必要があります。

ジャガイモを「フライドポテト」にすると、健康リスクはおおむねさらにアップ。マクドナルドのミディアムサイズ・フライドポテトは44グラムの炭水化物を含みます。ウェンディーズの同サイズのフライドポテトなら、身体に取りこむ炭水化物は56グラム。

「ジャガイモを食べたかったら、小さめサイズの皮付きベイクドポテトにする方がよいです。カリフラワーやブロッコリー、ピーマンなどをオーブンでローストして食べれば、なおいいです。野菜の摂取量も増え、血糖値の急上昇を最小限に抑えられます」(シースさん)

05. 「揚げ物」なら、すべて

栄養分野の専門誌『アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション』誌で報告された研究によると、どんなタイプの食べ物でも、揚げると組成が変化します。この研究は、多くの女性を長年にわたって追跡調査した有名なアメリカの大規模研究のデータを分析したもの。7万人以上の女性が食べ物に関するアンケートに答えた結果と、その後糖尿病や心臓の病気などになったかどうかとの関連性をしらべました。

すると、揚げ物を頻繁に食べていた人は、特にレストランで食べていた場合、2型糖尿病のリスクが確かに増えたのです。冠動脈疾患のリスクも少し増えていました。

レストランで食べると、使われる油の量とタイプが問題になります。さらに、1回分の量が多い、甘い飲み物と一緒に食べるなどの傾向も出てきます。こうした体重増加につながる要素がそろっているためかもしれないそう。

でも、甘い飲み物という要素をのぞいて分析しても、揚げ物と2型糖尿病との関連性は変わりませんでした。揚げ方にもよりますが、食品を揚げるとその栄養素の質が実際に変化してしまい、カロリーが高くなってしまう結果に。同時に、抵抗できないほど味もよくなるのが悩ましいところなのですが。

06. お店で買うパイやケーキ

パイ。ケーキ。クッキー。

「こういった一般的なデザート類は砂糖たっぷりなうえに、たいていは精製穀物を原料にしていますから、炭水化物のかたまりです」とフリービーさん。

例えば、大手レストランチェーン、マリー・カレンダーズの『チョコレート・サテン・パイ』の場合、普通のスライス(1/6サイズ)で砂糖34グラムと炭水化物48グラムを取ることに。

07. フルーツ入りカップヨーグルト

こわがられる前に言っておきますと、糖尿病の人にとっても、ヨーグルトは本当にヘルシーで満足できる食べ物。

「でも、フルーツ入りタイプの多くは、砂糖がたくさん添加されていて、1カップに40〜47グラムもの砂糖が入ったヨーグルトもあります」(シースさん)

代わりとしてシースさんのおすすめは、たいていは炭水化物が少なくてたんぱく質が多いギリシャヨーグルトかアイスランドヨーグルト(スキール)。もう少し甘くしたかったら、果物を加えれば食物繊維が増えて、血糖値の急上昇を抑えられます。

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訳/STELLA MEDIX Ltd.

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