栄養学者のマイケル・グレガー医学博士によると、ごくシンプルなチェックリストを活用するだけで、健康的な食事に近づけるとのこと。博士が考案した「毎日の12項目チェックリスト」をご紹介します。
冷蔵庫のメモから生まれたチェックリスト
病気から身を守ってくれるのは、薬よりも食事だというグレガー博士。
博士の著書『食事のせいで、死なないために[食材別編]スーパーフードと最新科学であなたを守る、最強の栄養学』では、基本的に未加工の植物性食品から栄養を摂ることがすすめられています。
しかし、毎日の食事に取り入れたい食品群が増えてくると、忙しい時間のなかで把握するのは大変です。
そこで博士が考えたのは、冷蔵庫の扉にホワイトボードを取り付け、必要な食品と目安量を記したチェックリストを書いておくこと。それを発展させたのが<毎日の12項目>です。
□(チェックボックス)の数は品目数を表しています。
<毎日の12項目>
□□□ 豆類
□ ベリー類
□□□ ほかの果物
□ アブラナ科の野菜
□□ 緑色野菜
□□ その他の野菜
□ フラックスシード
□ ナッツ類や種子類
□ ハーブやスパイス
□□□ 全粒穀物
□□□□□ 飲み物
□運動(『食事のせいで、死なないために[食材別編]』39ページより引用)
たとえば、1日に3品目とりたい「豆」は、豆入りのスープで1品目、豆腐で1品目……とカウントしていきます。煮豆や豆腐は半カップが分量の目安です。
「運動」は食べ物ではありませんが、健康には絶対に欠かせない要素であるためチェックリストに加えられています。確かにここに書いてあると、毎日の必須項目という意識が高まりそうですね。
ベリー類とアブラナ科の野菜は毎日食べる
いくつか項目別に見ていきましょう。
“脳によい食べ物”とされる「ベリー類」の分量は、生や冷凍なら半カップ、ドライフルーツなら1/4カップ。「その他の果物」はカットフルーツなら1カップ、ドライフルーツなら1/4カップが目安となります。
博士が強くすすめる「アブラナ科の野菜」は、ブロッコリー、キャベツ、ケールなどで、半カップほどが目安。「その他の野菜」は、生の葉物野菜なら1カップ、その他の野菜や加熱調理した野菜なら半カップが目安です。
チェックリストに慣れてくると、どんな食事を用意すべきか、各食材の分量をイメージするときにも役立ちます。
たとえばパスタを作るなら、山盛りの麺に野菜が少々……ではNG。大きなボウルにたっぷりの野菜を入れ、全粒粉のパスタ少々とレンズ豆を加える、といったバランスのほうが健康的というわけです。
フラックスシードやハーブを“ちょい足し”
「フラックスシード」は、日本ではオイルで取り入れている人が多いかもしれませんが、博士のおすすめは「毎日大さじ1杯のフラックスシード粉を摂る」こと。
高血圧、乳がん、前立腺がんなどの病気に対する予防効果を発揮するとして、著書『食事のせいで、死なないために[病気別編]』でもピックアップされている食品です。
強力な抗酸化物質であるハーブやスパイスも、博士が日常使いを推奨する食品。筆頭とされるのは、クルクミンが含まれるターメリック(ウコン)です。摂取量の目安は、毎日小さじ1/4杯ほど。
「肺疾患、脳疾患、および多発性骨髄腫や大腸がんやすい臓がんなど、多くのがんに対して、クルクミンが予防および治療効果を発揮することを紹介した。さらにクルクミンは手術後の回復を促進し、いくつかのおもな薬剤よりもリウマチ性関節炎の治療効果が高いことがわかっている」
(『食事のせいで、死なないために[食材別編]』174・175ページより引用)
博士いわく、白玉ねぎよりも赤玉ねぎのほうが抗酸化物質が豊富であるように、ハーブの強い色や香り、風味は健康効果が高いしるしなのだそう。ハーブの効果についてくわしく知りたい方は、ぜひ『食事のせいで、死なないために[食材別編]』を参考にしてください。
水は1日5杯。抗酸化物質トップの飲み物はハイビスカスティー
<毎日の12項目>を見ていくと、「飲み物」のチェックボックスの数は5つで、意識してしっかり摂取する必要があることがわかります。分量の目安は1品目あたりグラス1杯(約350ml)。食事から摂る水分のほかに、1日5杯の飲み物を摂ることがすすめられています。
博士によると、あらゆる飲み物のなかでもっとも健康的な飲料は「水」。水をしっかり飲むと血液粘性が下がる(血流が改善する)ため、さまざまな病気を予防する効果があるのです。
「どのくらい水を飲むべきかについて、現時点でもっとも具体的な根拠となるのは、2万人の男女を対象とした『キリスト教アドベンチスト派の健康研究』だろう。その結果、1日5杯以上の水を飲む人たちは、1日2杯しか飲まない人たちにくらべて、心臓病の死亡リスクがおよそ半分も低いことがわかった」
(『食事のせいで、死なないために[食材別編]』228ページより引用)
愛飲家が多いコーヒーは、1日4杯以下に抑えるのがおすすめ。コーヒーのかわりに緑茶を飲めば、乳がんなど婦人科の悪性腫瘍の予防にもつながるといいます。
また、ハイビスカスティーは300種類以上の飲み物のなかで抗酸化物質がトップであり、強力な降圧作用が認められている(『食事のせいで、死なないために[食材別編]』第11章より)とのこと。
マイケル・グレガー博士の著作を読むと、日常的に口にする食べ物に、驚くほどの健康効果があることを思い知らされます。
たとえ完璧に実践できなくても、「この料理にもっと、野菜や豆を加えられないかな?」「これにフラックスシードをかけてみよう」と工夫するだけで食生活が変わるはず。まずはゲーム感覚で、<毎日の12項目>を試してみてください。
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