そこにきて近頃では、自分の「マクロ」を計算する「マクロ管理ダイエット」という新たな言葉が、アスリートや栄養士たちの間で交わされているようです。
でも、マクロって何?
簡単に説明すると、マクロ栄養素(多量栄養素)とは、私たちの身体を動かすのに必要な主要栄養素、つまりたんぱく質、脂肪、炭水化物のこと。これらはエネルギーあるいはカロリーとなり、基本的な身体機能をサポートするのに必要なものです、と説明するのはAcademy of Nutrition and Dieteticsの広報担当で栄養士のマシャ・デイヴィスさんです。
したがって、あなたがどんなダイエット計画を行っているにせよ、厳密に言えばすでにマクロ管理ダイエットをしていることになります。そうでなければ人は生きられません。
でも、誰かが「マクロを計算している」と言う場合は、たとえば1日に1800カロリーしか食べないといったカロリー計算を目標にしているのではなく、マクロ栄養素の摂取目標を設定しているという意味になります。デイヴィスさんいわく「これは、よりバランスの取れた食事を促すもので、各栄養素をどの割合で食べればよいのか、栄養士がその人に必要だと判断した量を摂取するのに役立つ」とのこと。マクロを計算することで大きな変化が期待できる人には、スポーツパフォーマンスの目標を設定している人、深刻な病気から回復している最中の人、糖尿病の管理をする必要がある人などが含まれます、とデイヴィスさん。
マクロ栄養素について知っておくべきこと、そしてエネルギッシュな1日を送るには、どのようにバランスを取ったらよいのかは次の通りです。
マクロ栄養素01:たんぱく質
image via shutterstockたんぱく質は、筋肉をつけようとしているアクティブな人や、しょっちゅう空腹感に悩まされたくないダイエット中の人たちのお気に入り。でもたんぱく質には他にも多くの重要な役割があるとデイヴィスさん。たんぱく質は筋肉や臓器をつくるもととなり、基本的な生活機能を支える酵素となり、体内の組織の形成や修復にも必要です。
たんぱく質が足りていないときの最初の兆候はなんでしょう? まず、筋肉が落ち、疲労感が現れます。「日常生活を支えるのに十分なたんぱく質を摂取していないとき、あるいは重い病気になったときなど、私たちの身体は他の臓器を機能させるために筋肉のたんぱく質を使うようになってしまいます」(デイヴィスさん)。
いずれにしても最近の一般的なダイエットでは、人々はマクロ栄養素がヘルシーであることを理解しており、積極的に摂取しようとする傾向にあるので、たんぱく質不足にはならなそうです(たんぱく質が豊富な食品には、乳製品、肉類、魚介類、鶏肉、たまご、豆類が含まれます)。ただしデイヴィスさんいわく、過ぎたるは及ばざるがごとし、いくら身体によいからといって、たんぱく質を摂りすぎると、便秘や腹痛などの不快な症状を引き起こすことも。したがって、マクロを計算することが、身体のバランスを保つのに役立つのです。
マクロ栄養素02:炭水化物
image via shutterstock「炭水化物は、もっとも基本的なエネルギー源」とデイヴィスさん。基本的に消化の過程でほとんどの種類の炭水化物はグルコースに分解されます。これはもっとも効率的なエネルギーの形態で、人間の身体の組織は力を得るためにこのグルコースを日常的に使っています。
グルコース、すなわち炭水化物の最大の処理装置は脳です。デイヴィスさんによれば「私たちの脳がフル稼動するには、1日あたり最低でもおよそ150グラムの炭水化物を必要とします」とのこと。ジャガイモ、豆、トウモロコシなど、でんぷんを含む野菜のほか、ミルクやヨーグルトなど乳製品の一部なども炭水化物が含まれています。もちろん炭水化物といえば、パン、パスタ、米、砂糖などの食品も、言うまでもなくすぐに思いつくでしょう。
炭水化物がバランスよく摂れているかを知るには、膨満感や喉の渇きに注目しましょう。両方とも食べすぎを示す症状です。また疲労感や便秘があるなら炭水化物をもっと摂ったほうがいいかもしれないし、集中力が続かないのも炭水化物が不足している証拠かもしれません。
マクロ栄養素03:脂肪
昨年、人々が熱狂した低糖質ダイエット。人気の理由は、必要条件が炭水化物を減らすことであり、脂肪を多く摂取しても大丈夫だったから。高脂質の食品を多く摂取するのも、それがヘルシーな脂肪なら悪い考えではないかも。「ビタミンA、D、E、Kを吸収するには、食生活に脂肪が必要です」とデイヴィスさんも述べています。また脂肪は人間の細胞膜の構造に欠かせない要素でもあり、身体が機能するのに必要な分子、たとえばホルモンなどを生成するのにも使われます。
私たちが気づく脂肪の一番の直接的な影響はエネルギーというかたちで現れます。脂肪はマクロ栄養素のなかでもっともエネルギーの密度が高く、炭水化物(またはグルコース)が不足している場合に、身体は脂肪をエネルギー源とします。最近の食事でもっとも一般的な脂肪の摂取源は、料理油、バター、ラードなどだとデイヴィスさんは述べていますが、肉や鶏肉、魚、アボカド、卵、ナッツ、シードなどにも脂肪は含まれています。
食事のあとに満腹感を得られない場合、食事にじゅうぶんな脂肪が含まれていない可能性があります。反対に消化不良、下痢、便秘などはすべて脂肪を摂りすぎている兆候かもしれません。
どうやってマクロを計算したらいいの?
image via shutterstock人はみなそれぞれ違います。したがってマクロを考える食事法は、ひとつのアプローチが誰にでもあてはまるというわけにはいきません。あなた個人にとって最適な平均値を見つけるには、遺伝的な要因、健康状態、活動量などのすべてが重要な役割を果たします、とデイヴィスさんは言います。
例をあげるなら、炭水化物は少なめで脂肪をより多く摂取したほうが身体によいと感じる人もいれば、食事全体のカロリー半分以上を、炭水化物から摂取するのが身体に合っている人もいるのです。
ただ、マクロ計算を初めて試してみるなら、デイヴィスさんいわく、平均的には人間は炭水化物からのカロリーを大体40〜50%、たんぱく質15〜20%、脂肪30〜35%の比率にするとうまくいく傾向にあるとのこと。この数値を出発点としてまず使用してみて、その後パーセンテージを変えて実験しながら、アプリを利用するか食事記録をつけるなどして体調の変化の記録を追ってみましょう。
何をどのくらい食べたか、食後数時間でどんな気分になったかを記録しておくと、より明確に状況を把握するのに便利です。栄養士に相談してみてもいいですね。栄養士に健康全体やフィットネスの目標を評価してもらい、あなたのニーズに合った食事プランを立ててもらいましょう。
食事の円グラフを作るのが面倒な人には、デイヴィスさんからこんなアドバイスも。「平均的な人なら、日々自分の身体が何を欲しているのか、身体の言うことによく耳を傾け、自分にとってのベストなマクロ栄養素のバランスを見つけてみてください」。
私たちが思うよりも身体は賢いので、自分の身体に波長をあわせるための時間を設けることが、健康のバランスを保つのに必要なことなのかもしれません。
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訳/Maya A. Kishida