実際の話、膣を清潔に、健康に保つために手を貸す必要はほとんどありません。毎年の婦人科検診、5年ごとのパップ・テストとHPV検査、通気性のよい下着をつける、尿路感染を避ける、などと基本的なメンテナンスも、本来はかなりラクなのです。
年齢とともに、膣は多くのことを経験し(特に出産と閉経)、外性器の見かけや内部の乾燥度が変わります。膣によいと主張する最近流行りのさまざまな手法にひかれるかもしれませんが、どうも具合がおかしいという場合は、このような流行に飛びつくよりも、まっすぐ病院に行くのがベスト。でも残念ながら、かなり「独創的な」方法で結果的に膣を雑に扱ったり、きれいにしたいとか言い張る人がまだいます。そこで、とってもまずい結果になりやすいのによく見かける「膣の取り扱い方」を4つご紹介します。
まず、とにかく避けた方がよさそうな「膣スチーム」
できる限り最高に健康的な人生をおくるという、グウィネス・パルトロウのサイト「Goop」の考え方には大賛成。でも、グウィネスが明らかによくないアドバイスを発表しはじめたら、一線を引かなくては。膣はカーペットではないのです。スチームで掃除してはダメ。姉妹サイト「Women’s Health」のデジタル版記事によると(実に正当な反論があったせいで「goop」がグウィネスの投稿を削除してしまったので)、グウィネスは膣スチームについて次のように言っています。「小さな便座のようなものに座って、赤外線ともぐさの蒸気を組み合わせたもので子宮などをきれいに洗うの。ただのスチームドゥーシェではなく、エネルギーの解放で、女性ホルモンのバランスをよくしてくれるわ」。
膣スチームはなかなか消えないトレンド。信奉するファンも激しく批判する人もいます。モデルのクリッシー・テイゲンが最近、自宅で膣スチームをしている写真をアップしたためにまた大きな話題になりました。
写真に添えられた投稿によると、「フェイスマスクパック、温熱パッド、膣スチーム、どれも効くのかどうかわからないけど、害にはならないでしょ? 膣が溶ける」と。
クリッシーが身体のお手入れに熱心なのはとてもすばらしいのですが、膣スチームはもうやめようと思うかも。というのも、ハーブと熱い蒸気の上にしゃがむのは膣を「清浄」するためで、けいれんも緩和するし、おりものもきれいにする効果もあるそうですが、実はクリッシーやほかのみんなが考えているより危険なのです。
多くの専門家は、現実に炎症を起こす可能性があるとして反対の立場。「膣スチームは絶対にダメ。膣がやけどしかねません」と、ニューヨーク大学ランゴーン医療センター産婦人科の臨床准教授、ラクエル・ダーディックさん。
カナダの産婦人科医、ジェニファー・ガンターさんも、クリッシーの投稿でこのトレンドが再び盛り上がってから、効果がないし有害と思われる理由を挙げて、膣スチームを批判しました。
「1.すすめられているハーブの多くはアレルゲン。2.スチームは外性器にとどまりそうですが、膣の中に入ってしまうと、空気も一緒に入るのでよくない。3.子宮は掃除が不要。4.スチームは子宮まで届かない」(ガンターさんのツイート)。
これに対して、クリッシーは次のようにジョークでコメント。「残念ながら、私の膣は巨大だから、スチームが簡単に子宮に流れ込むの」。するとガンターさんは、「そんなに広大な膣はありません!」
このおかしな洗浄法については、嘘と正式に証明されたものと見なした方がよさそう。
自己診断で薬を使う
市販の膣クリームや膣カンジダ症用の座薬にはそれなりの役目があります。ここで問題にしているのは、試す人がときどきいるもっと素朴な方法。
「ニンニクやティーツリーオイルのような自家製薬は絶対に試してはいけません」と、ダーディックさん。少なくとも、効果はありません。最悪の場合……? まぁ、ぞっとしない結果に。「インターネットですすめられている方法で化学やけどを負ったケースを何人も見ています。膣の中の化学やけどなんて、誰にもなってほしくありませんね」(ダーディックさん)
大丈夫そうに思えるUFO(不衛生な異物)の挿入
膣に入れてもよいものについてはもうご存知でしょう。タンポン、指、セックス玩具(大人のおもちゃ)、ペニス、潤滑剤、避妊具、月経カップ、それだけ。ほかはすべて、コメディ映画『モンティ・パイソン&ホーリー・グレイル』の有名なセリフの通り、「何者も通らざるべし」。
コロンビア大学医療センター産婦人科の助教、コンスタンス・ヤングさんによると、「基本的には、常識と個人的な習慣の問題。セックス玩具、ペッサリー、月経カップは、使ったら必ず洗ってきれいにするべきです」。ほかは何でも(キュウリとかバナナとか、ペニスみたいなあのキッチン用品とか)、膣からは遠ざけておくこと。徹底的に消毒しても、触感だけでも重大な炎症の原因になることがあります。
本当にやめた方がいい膣洗浄(ビデ)
多分もうよくご存知でしょうが、念のため。そもそも、膣は熱帯のそよ風のような香りがするところではありません。「こういった製品は膣のマイクロバイオーム(微生物叢)にまったくよくなく、感染しやすくしてしまうのです」と、ヤングさん。
女性の身体は実にすばらしくできている
ここで、膣は言わば「セルフクリーニング機能付きオーブン」である、と長々と説くつもりはありません。この例えは前に目にしているでしょうし、正直、生殖器のケアについて料理関係の比喩は控えたいもの。
しかし! まったくその通りなのです。膣は、その中にいる乳酸菌のおかげで、独自のpHバランスを持つ環境を維持。そこに膣洗浄液など使えば、いつもは酸性の環境が中性に変わってしまい、膣が自分で自分を守れなくなります。
そんなによくないものなら、どうして多くの製品が売られているの? 確かにそうなのですが、「科学的な裏付けのない宣伝文句で商品を売ろうとしているということ」と、ヤングさん。どうしても、絶対に、さっぱりさせたかったら、無香料の石けんと水という実証済みの方法にします。でも、それも「外側」だけです。
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