ビタミンC、ビタミンA、ビタミンE、カリウム、食物繊維、葉酸などが豊富なキウイフルーツ。さまざまな種類の栄養素が高く、低カロリー。日本で消費されているキウイは、その多くがニュージーランドで生産されているとご存知でしょうか? 今回は、ニュージーランドで活躍する料理研究家のおふたりに、キウイの栄養価と日本とは違う食べ方を伺いました。

栄養素はりんごの6個分!? 栄養密度の高いスーパーフード、キウイ

キウイフルーツは身近な果物のなかで、栄養素充足率がトップクラスのスーパーフードだと言われています。

図1

栄養充足率とは、100gあたりに含まれる主要17栄養素の割合を指し、17栄養素は、たんぱく質、食物繊維、カルシウム、鉄、マグネシウム、カリウム、亜鉛、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンAを含んでいます。

その栄養密度はキウイ1個分がりんご6個分に相当するのだとか。(図1参照)

図2

たとえば、血行促進や抗酸化作用の高いビタミンEは、サンゴールドキウイ1個でりんご7個分が摂取できます。(図2参照 ゼスプリ インターナショナル調べ)

図3

サンゴールドキウイの場合肌の新陳代謝の活性化や免疫力の向上に効果のあるビタミンCはレモンの8個分(図3参照)、グリーンキウイの場合整腸作用がありお通じを促進する食物繊維はバナナ3本分(図4上参照)、過剰な塩分を体外へ排出するカリウムはみかん2個分以上が摂れると考えられています。(図4下参照)

図4

特にビタミンCはカラダに貯めておけないので、毎日、新鮮な果物や野菜から摂る必要があります。また、キウイのカロリーは51kcal/100gと、りんご57kcal/100gよりもやや低め。りんごダイエットなるものが一時期ブームになりましたが、キウイも低カロリーなフルーツなのです。(果物情報サイト「果物ナビ」より)

皮ごと食べると食物繊維が2倍摂取できる!

オヤツ代わりにキウイを皮ごとむしゃむしゃ食べる、エマさんの娘

なんと、ニュージーランド人はキウイを皮ごと食べるそう!

ニュージーランドで管理栄養士として活躍するエマ・バッツ(Emma Batts)さんによると、ニュージーランドでは、子どものランチボックスにキウイをそのまま入れるのだとか。子どもも大人もりんごを丸かじりするみたいに、キウイをかじるそうなのです。でも、皮に生えた毛がイガイガしそうですが!?

「私の家族は、グリーンキウイも皮ごと食べています。小さな頃からこういう食べ方をしているので、ニュージーランド人の多くが気にならないみたい。それに、サンゴールドキウイは皮ごと食べると食物繊維が2倍摂れるのですよ」(エマさん)

エマさん曰く、毛が気になる人はグリーンキウイを薄くスライスして食べたり、皮に毛があまり食べていないイエローキウイを食べたりしているそう。キウイを皮ごと食べても安全ですが、消化器官が発達していない子どもや、消化器官が弱い大人、アレルギー体質や敏感肌の人は注意が必要です。

食前に食べると血糖値の上昇がゆるやかに!

「ダイエットをしている人にもキウイがおすすめ。果糖は糖分のなかでも、血糖値の上昇がゆるやかだと言われています。果物のなかでも、キウイは低GI食品と呼ばれていて、血糖値の急激な上昇を防ぎます。血糖値が高いとインスリン分泌量が増え、余分な糖が肝臓や脂肪組織に蓄積されて太りやすい体質に。

それに、血糖値がいきなり上がると、インスリンが大量に分泌され血糖値が急激に低下します。すると、体調が悪くなったり、暴飲暴食をしたくなったりするのです。ですから、食事の前にキウイを食べる、食事にキウイを取り入れる、などに気をつけています」(エマさん)

食後の血糖値の変動を表す“GI値”(グリセミック指数)が低ければ低いほど、血糖値の急激な上昇を防ぎ、糖質をエネルギーとしてカラダに取り込むための負担を抑えます。過剰に摂取した糖は脂肪になりやすいので、高GI食品よりも低GI食品を摂取したほうが体脂肪になりにくいと考えられています。キウイの種類によっても変わりますが、キウイはGI値が約38~50だと言われ、低GI食品のカテゴリーに入ります。

料理研究家に聞いた! ニュージーランド流「キウイレシピ」2つ

1.マヌカハニー&ジンジャーラムのキウイマリネ

<材料>4人分

・ラムステーキ 400g
・ざく切りにしたグリーンキウイ 2個(皮ごと使ってもよい)
・粉末ショウガ 小さじ1
・マヌカハニー 大さじ1(ハチミツでも可)
・みじん切りにしたニンニク 1かけの半分(お好みで)
・岩塩&コショウ適量
・オリーブオイル&バター 各大さじ1
・砂糖 大さじ1

<作り方>

(1) キウイ、ショウガ、マヌカハニー、ニンニクをブレンダーで混ぜ合わせマリネードソースを作る。ラム肉は薄切りにする。

(2)ラム肉をセラミック皿に置き(1)のマリネードソースを肉にかける。6時間~1晩冷やす。

(3)肉からマリネードソースを手でふき取る。

(4)オリーブオイルとバターをフライパンに熱し肉を入れ、肉に塩コショウで味付けをする。中火で片側2~4分ずつ焼く。
(5)肉をフライパンから取り出し、皿に乗せアルミホイールで包み10分寝かせる。
(6)フライパンに(3)のマリネードソースと砂糖を加え、温めながらねっとりとするまでかき混ぜる。ラム肉にかけてでき上がり。

グリーンキウイに多く含まれる“アクチニジン”という酵素がたんぱく質の分解を促進します。このアクチニジンには肉を柔らかくする働きがあるので、肉や魚と一緒にキウイを漬け込むのがニュージーランド流なのだそう。

また、キウイは肉や魚を消化しやすくするので胃腸への負担が軽減されるのだとか。甘酸っぱい風味と香りに包まれたラム肉は、とても柔らかく、ラム肉特有の臭みも全くなく絶品でした!

2.トロピカル・グリーンキウイ・スムージー

さて、次に取材した食のプロは、料理研究家でローフードカフェオーナーのミーガン・メイ(Megan May)さん。彼女はニュージーランドでローフードを流行させ、著書も多数あります。

「グリーン・スムージーは、野菜ジュースのように家族の健康に欠かせません。おいしくて手間いらずで簡単に栄養を摂ることができます」(メーガンさん)

<材料>(大きなグラス1杯分)

・冷凍パイナップル 1/2カップ
・ケール ひとつかみ
・レモンジュース 大さじ1
・ミント 少々
・ココナッツウォーター 1/2カップ
・氷 1/2カップ
・冷凍キウイ 1/2カップ
・皮ごとスライスしたキウイ 1個(オプション)
・泡立てた豆乳ホイップクリーム 適量(オプション)
・エディブルフラワー(オプション)

<作り方>

(1) ハイスピード・ブレンダーにキウイ以外の材料を全て入れ、約1分間、滑らかにするまでブレンドしますにします。

(2) キウイを入れパルス機能を何度か使って混ざり合うようにします。こうすることで、キウイの食感が残ります。

(3)グラスに注いで出来上がり。または、ボウルに注いで、泡立てた豆乳ホイップクリームやエディブルフラワー、皮ごとスライスしたキウイを飾るのも、とてもおしゃれです。

パイナップルとキウイの甘酸っぱさと、ミントの清涼感がケールの苦味を消した、なんとも爽快なスムージー! 飲むとすーっとカラダに入っていく、清々しい食感が新鮮でした。これなら野菜嫌いさんでも飲めそう。 キウイはビニールに入れて冷蔵庫で保管します。成熟していないキウイなら1ヶ月、熟したキウイでも1~2週間も長持ちします。女性の気になる、美肌、整腸、ダイエット効果のあるキウイ。ぜひ、ニュージーランド流レシピを試してみてくださいね。

ゼスプリ インターナショナル

エマ・バッツ(Emma Batts)さん
ニュージーランドで活躍する管理栄養士で料理研究家。過去の小学校教師の経験から、子育てのための栄養にも熟知している。フードスタイリングも手がける。

ミーガン・メイ(Megan May)さん
料理研究家、ローフードカフェ『Little Bird Organics』オーナー。シェフとして働いた20代のときに自ら体調を崩した経験から、食生活を大きく見直し、ローフードをコンセプトとしたカフェをオープン。ニュージーランドでローフードが流行したきっかけとなった。近年はレシピ本も多数出版。

取材・文/此花さくや

RSS情報:https://www.mylohas.net/2018/05/166618.html