メンタルヘルスのプロに聞いた、精神力の鍛え方
セラピスト、マインドフルネスのコーチ、オリピック選手といった、メンタルヘルスのプロに、どのように精神力を鍛えたのか聞いてみました。みな自分なりの方法で力を養っています。
お話を伺ったのは次の3人です。
ニック・ホルト:認知行動療法の認証心理士でソーシャルワーカー(LCSW)。幼い頃から薬物乱用やメンタルヘルスの問題に直面しており、自分は「プロの自殺のサバイバー」だと語る。
ララ・ジェイ:Lara Jaye LLCのCEOでマインドフルネス専門家。うつ病や結婚生活の破綻、深刻な健康問題に立ち向かった経験がある。
ジョアンナ・ザイガー:トライアスロンのオリンピック選手で医学博士。アスリートとしては「天才」ではなく、ケガや挫折の多い人生を送っていると話す。
3人の共通点は何でしょう?
それは精神力を養うために力をふりしぼって気概や決意をあらわにしたこと。メンタルを鍛えるために、今日から始められる8つの秘訣を教えてもらいました。
1. 自分の思考に対する認識を深める
精神力が大切なのは「世界は不確かなことや変化、マイナスなことに満ちているから」と語るのはホルトさん。
「もっと一貫性や自制心、回復力のある人になるために自らを高めていくと、人生でよりたくさんのサポートや心の平安、愛情を得られる可能性が高くなります」。精神力などについても、大抵は単純だけど難しいこと、つまり自分を認識することから始まります。
「自分の思考や感情と通じあうのに長い時間がかかりました」とホルトさん。「人生の大半は、私は多くの思考や感情を無視していました。それらは日常の習慣に溶け込んでしまい、正当か有用かも顧みられないまま自分の人生を支配していたのです」。
現在ではホルトさんは、特に思わしくない事態になったとき、自分の人生経験を観察することで思考や感情の力を利用しています。「自分自身、自分の思考、そして自分の身体と通じあっているという新たなレベルに到達すると、どんどん自信や自尊心がついてきます。自制心が強くなり、不安なときも平穏でいられるようになって、最終的には精神的にも強くなれるのです」
自己認識は「心の中のノイズを消すこと」から始まる、と考えているのはジェイさん。「奥に隠れている本当の声に耳を傾けて。自分に何と話しかけますか? 自分について本当に信じていることは何ですか? 考えをノートに書き出しましょう」。
2. 視覚化の実践
視覚化とは、アスリートがよく行うテクニック。ザイガーさんも著書『The Champion Mindset』に書いています。しかし、アスリートに限らないメソッドです。
「視覚化の重要性については、いくら強調しても足りないくらい」とザイガーさん。「視覚化は、状況に対処できるよう心の準備をする訓練。たいていは完璧なシナリオを想像するのに視覚化を利用します。スポーツなら完璧な試合。ビジネスなら、重要な取引が結ばれるとか、取引につながるまでの会話や行動ですね。物事がうまくいくことを想定して視覚化するのは、自信を植えつけることができる重要なリハーサルです」。
視覚化によって何が起きても心の準備ができるようになる、とザイガーさん。「何事もうまくいかないのが人生。だから成功することだけを思い描くのではなく、突発的な問題にどう対処するのかも視覚化すべきです。それを“最悪のシナリオ”と呼んでいるのですが、どこかの時点で大惨事に見舞われることがあっても、困難を切り抜ける方法を想像してあらかじめ備えておくことで対処する力がついています」
ジェイさんは、毎朝1日をスタートする前にアラームを30分後にセットして視覚化を実践しています。「人生で感謝したいことにフォーカスし、それから15分間の瞑想を行って、特定の状況の理想的な展開や、そうなったらどう感じるのかを想像します。ときには5年先の人生について考えたり、次の講演会で聴衆とどんなコミュニケーションをするのかを思い描いたり、幸せで健康な自分が暖かいビーチで元気に暮らしている様子を空想することも。毎朝、目標を思い出し、それを達成したときに感じるであろう気持ちになって、心身をリセットしています」
3. 前向きなセルフトークをしてみる
ネガティブな考えが芽生えたとき、それをしのぐのが、「前向きなセルフトーク」。アスリートは長い試合に耐えている最中にネガティブなセルフトークをやってしまいがち、とザイガーさん。「つい自分に言ってしまうんですよね、もうダメだとか、もうやめたほうがいい、って」。
試合の最中でなくても、誰もが似たようなことを経験します。渋滞に巻き込まれたとき、パートナーと意見が衝突したとき、健康面で問題に直面したとき、ネガティブな考えが浮かびます。
「そんなとき、“何とかなる”とか”私は屈しない”といった前向きなフレーズは、重荷を軽くするのによい」とザイガーさん。「私たちは日々、怒りがわく状況に直面します。そのときの反応の仕方ですぐに前に進めるかが決まるんです。私たちの思考にはパワーがあり、否定的な考えから前向きな考えへ、あるいはその逆にも、考え方ひとつで気分を変えることができるのです」
4. 自分のモットーを考えて、それを何度も利用する
前向きなセルフトークをマスターしたら、自分のモットーを決めて、それを頻繁に利用しよう、とザイガーさん。好きな言葉を引用してもいいし、自分に合った言葉を考え出してもかまいません。
頭の中に自然にモットーが浮かぶようになるまでは、おそらくある程度の練習や根気が必要。ザイガーさんいわく「メンタルを強くするには実践するのみ。精神的に強くなりたいと思うのと、実際に強くなるのは違います。修練を積んでいくしかないです」
5. マインドフルになって五感をフルに活用する
自己認識を深める方法のひとつがマインドフルネス。ジェイさんはマインドフルネスとメディテーションを次のように区別しています。「メディテーションとマインドフルネスを交互に用いる人も多いのですが、ふたつは異なるものです。メディテーションは、マインドフルであることを実践する方法のひとつで、黙想して内省すること」。
メディテーションのほかに、深呼吸やヨガ、ウォーキング、自然の中で過ごす、ダンスする、食べるといった際にもマインドフルになるよう、ジェイさんはすすめています。「マインドフルネスとは人間に備わった基本的な能力で、今ここに存在すると意識すること。自分がいる場所、自分がしていることを認識し、まわりで起きていることにオーバーに反応して呑まれることのないようにする。マインドフルになるには、いま自分がしていることが何であれ、五感を総動員してください」。
たとえば食べ物をじっくり味わう、暖かな風を感じるためにスローダウンする、文字通り立ち止まってバラの香りを嗅ぐ、といったことをやってみましょう。
6. セルフケアと静かな時間を最優先に
セルフケアを行う平穏なひとときは、次の日に強いメンタルでいられるようエネルギーを充電するのによいのです。セルフケアと自分をいたわる行為は「毎日」行っている、と語るのはホルトさん。
自分が弱い人間だと認識しない限り、自分を思いやることはできない、とホルトさんは言います。「弱さを認識することが、感謝、共感、思いやり、心遣い、セルフケア、そしてもっともっとたくさんのことの理解につながるのです」
ザイガーさんは、アスリートでさえもパワーダウンの必要性があることをわかっています。「自分に厳しくすることだけが、精神力の強さではありません。負けるときを知るのも強さです」。メンタルを休ませる必要があるときに自分を責めないように、とザイガーさん。
自分の本当の気持ちや考えを探るのには沈黙が有効、とアドバイスするのはジェイさん。「じっとしましょう。毎日静かな時間を利用して反省し、感謝し、瞑想をして、批判はせずに現在の瞬間に対してマインドフルになりましょう」。
7. 感情を恐れない
感情はときに疑いようもなく恐ろしいものです。自信を喪失する問題に直面したり、配偶者との不幸を経験したりといった事態に進んで向き合いたい人などいません。でもそうした問題が発生したとき、沸きあがるあらゆる感情を受け入れることはとても大切だと、ジェイさんは語ります。そうすることで、本当にあなたが求めているメンタルの強さを手に入れられるようになるのです。「自分をごまかすのはやめて、感情や思考を素直に受け入れ、身体で感じましょう」
ジェイさんは感情に負けそうになったら「RAINメソッド」を使うことをすすめています。
R: Recognize (何を経験し、何を考えているかを理解する)
A: Accept (感情を受け入れる)
I: Investigate(考えや感情についてじっくり考える)
N: Non-judgement (考えや感情を批判しない)
「感情が自然に落ち着くままに任せましょう。なぜなら抵抗すればするほど、それはいつまでも消えてくれないからです」
8. ネガティブな状況から脱出する
これまで挙げてきたことが全部うまくいかず、精神的な強さもなかなか得られないようなら、あなたを傷つけたり、あなたの考え方に悪影響を与えたりしているネガティブな人々や場所、状況から、あなた自身を引き離してあげる時なのかもしれません。
ジェイさんいわく「原因となる人々や状況を見つけ、気づいたことをノートに書き出してみてください」。同じくホルトさんも、重要なのは「自分をもっといたわること、あなたを心地よくしてくれる人々との関係を深めること」だと言います。
「嫌いなことをしているのに、精神的に強くあれというのは難しい」とザイガーさんも指摘。「不幸せに感じる状況や嫌いなことをやっている状況に囚われているなら、可能であればそこからもっと好ましい方向へ逃れましょう。それが無理な場合、たとえば嫌いな仕事をどうしても辞められないといったときは、前向きなことのリストをつくり、マイナスなことではなく、そちらに集中するようにしましょう」
なぜなら、1日の終わりにはそれが精神力の基礎になるから。ポジティブなことに集中して、マイナスなことは排除し、あなた自身の最高の姿を定着させていきましょう!
Shelby Deering /8 Little Ways To Build Mental Strength Every Single Day
訳/Maya A. Kishida
コメント
メンヘラのプロ?
つよそう
前向きだのポジティブだの・・・
うつ病の専門家とやらがこんな事言ってりゃ、そりゃ自殺は減らないよな
真っ当なことが書いてあるよ。自力でメンタル鍛えるならこれで良いんじゃないかなってぐらい。
ただまあ現代だと、8番まで来ちゃっててそれが上手くできないから困ってるんだよって人が一杯居るんじゃないかなって思うけどね
(ID:14450252)
まるで専門用語で書かれたかのような記事。理解している人だけがわかる内容であり、それ故あまり意味がない文章。自分にはこの記事の言いたい事は9割方理解できるが、大抵の人はあまりわからないだろう。なんのための記事なのか。救いの手の1つではなかったのか。これでは自分の方法論に酔いしれて自慢しているだけじゃないか。自分だけを見て自分の中で完結させようとするケアは、ただの現実逃避だ。隣人が不幸ならあなたも不幸だという真実と意味を知らなければならない。自分1人ではどのような考え、哲学をもってしても幸せにはなれない。
優しさをもっと素直に表現できるようになることを願っている