スタイリスト、トレーナー、心理カウンセラーなどが全面サポート
10代のころから友達の仲を取り持ってきたエミリー・ホームズ・ハーン。29歳になった今、出逢いをコーディネートするプロフェッショナルとなり、自分の会社「ラスト・ファースト・マッチメイキング」で日々、動き回っています。2012年に「ラスト・ファースト」を作る前はパリのラルフ・ローレンに勤務。キャリアの入り口は、ファッション畑でした。
「私が変わったのは、最初に取りもったカップルの結婚式に行ったとき。そのカップルの初めての赤ちゃんを抱いたときに、私はここに人生を捧げたいと感じたんです。」
ニューヨークに拠点を置いて、ラスト・ファーストは50人前後と一緒に出逢いをセッティングする日々。スタイリスト、トレーナー、心理カウンセラーを含むチームが、出逢いを求める顧客にアドバイスします。ニューヨークで同じようなサービスの料金はかるく1万ドル以上となるなか、価格はおさえめ。そんな彼女の、目が回るようなビジネスの一週間に同行しました。
月曜日
朝は、リストに目を通して、フォローするお客様を確認。お客様全員が、毎日をデートするか、仕事をしているか、どちらかでなければマズイというのが私たちの考え方。1週間に1回は、全員に目を通し、旅行しているのか、または、会社の紹介でうまく出逢いが進行中なのかをチェックします。
確認する要素はいろいろ。結婚は何回目?子供はほしい?若い人がいい、などなど。そうした希望に合わせて価格もきちんと決めていくのです。でもときには、希望をあえて外すことも。「子持ちの相手は絶対ない」という男性が、結局、子持ちの女性とうまくいくなんて例もあるんです。説得して、結婚までゴールイン。いまではいいパパ。分からないものなんです。
昼食のときには、チームみんなでジャン・ジョージ・ヴォンゲリヒテンさんのベジタリアンレストランや『abcV』に。デートスポットの候補を知っておくのも大事な仕事。味をちゃんと確認。『abcV』のフレッシュジュースが最高と思ったから、次週以降、カップルにおすすめします。
オフィスに戻ったら、データの準備のためヒアリング。ある新築祝いに出席して、女性とのコネづくり。そこからも出逢いは生み出せます。候補の方々にはまずは75問のアンケート。ポイントは「エナジーリーディング」。言葉で説明できないその人の魅力などを見ていくんです。笑い方、座り方、クセ、ジェスチャーなど。どう伝えるかが大切。ガイドラインもあります。結婚観のほか、仕事やトピックスなども聞いて、出逢いを近づける工夫もします。
夜は、お気に入りのフィットネスクラブ『ソウルサイクル』。そこでも仕事は無関係でありません。隣り合った人と話して、独身で魅力的ならアプローチ。「ラスト・ファースト」の名刺は必須です。ルックスは確かにマッチしやすくなる要素というのは確かですね。投資銀行の女性などとつながりました。
火曜日
ちょうどオフィスを引っ越したところ。家具の配達をしてもらって、簡単に設置して、仕事にでかけます。オフィスでは3年間の成婚カップルの写真を飾り付けていて、“ウェディングの壁”と呼んでいます。100組近くとなって、振り返ると思わずジーンとくるほど。
アイスコーヒーと、危険なほど強いイタリアンエスプレッソがお気に入りの『ラ・ペコラ・ビアンカ』で、これから出逢いを考えている方と面談。男性です。ルックスや想いはどんな感じか、知っておくため。どんな食べ物が好きなのか、また一回結婚しているので、離婚の原因も聞いたりします。会ったばかりでも、込み入った話はします。プロのマッチメーカーのポイントは、心を開いてもらうこと。そこは醍醐味です。
休憩を取ると髪が爆発…。美容院へ。自分でセットするのが苦手。夜にサックス5番街のシャネルブティックで会を開くんです。スタイリストにヘアセットをやってもらっている間、私はEメールをチェック。そのあとのパーティーでは、本当にたくさんのデート候補のご 紹介をいただきました。次週ヒアリングの予定です。デート候補はいろいろなルートから来られるんです。みんな強い思いを持っている。私たちも全力で応えようとしますし、だからこそ出逢いもアレンジできますし、信頼関係も築けるのだと思います。
水曜日
トレーニングと朝のジョギングの後に、従業員の面接にオフィスへ。今チームは5人メンバーがいて、2人が先週、フォードハム大学でインターンとアシスタントの採用活動に行ったんです。すると履歴書が殺到。面接はビデオチャットなんかも使って、午前中いっぱい時間を費やしました。
水曜はチームみんなとランチを注文。ノートPCを完全に閉じて1時間は、仕事をオフにするんです。結局、仕事について話しちゃうんですが、いい感じです。残りの時間は、お客様のポラロイド写真をあれこれ見て、次週のマッチングを計画。ネットワークには2000人以上もいるだけに、顔をおぼえるためには大切です。
夜、ラスト・ファーストが懇意にするレストランのオーナーと支配人とのミーティング。お客様のデートの予約を取っていただくのはもちろん、毎回のデートでVIP待遇していただきたいとお願いをするんです。自ら食事やワインにいくことで、責任者の方々との関係を築いていかなければなりません。
木曜日
早起きして、スタジオ『インスケープ』で瞑想セッション。瞑想の時間を取ることで、1日の集中力は上がります。元気も湧く。あるお客様は、あれもこれも、と欲張りになっています。“お菓子屋さん症候群”と私たちは呼んでいるんですが、その男性は、会う女性、会う女性を好きになってしまう。それでまったく先に進めません。次の相手が気になって仕方がないから。
私の会社の名前、「ラスト・ファースト」は、「あなたを最初で最後の出会いに送り出す」という使命から。男性とはじっくりこれまでの出逢いを振り返り、最初に会った人の良さに気づいてもらえたので、もう一度会ってもらうことに。
夜は私自身のデート。婚約者ロスはオフィスに迎えにきてくれて、近所のお気に入りのレストラン、トライベッカの『ザ・オデオン』まで徒歩で一緒に。今度のカリフォルニア旅行について語り、ワインを1本空けると、テーブルで寝てしまう……。家に帰って『ファーゴ』の新エピソードを見られるよう、ダブルエスプレッソを注文しました。
金曜日
『ソウルサイクル』で汗を流して1日を開始。週末にはロスとイースト・ハンプトンにお出かけ。小さな家があって、「ラスト・ファースト」の夏期キャンプにとって絶好の場所になるんです。お客様はそこで“卒業”。独身の二人にとって、とても素敵な場所となっています。金曜日は、オフィスで仕事をしてもいいし、バスに乗って、プールサイドで仕事をしてもいいことにしています。プールサイドがいいというみんないうのですが、今日は私だけ。
午後は、デートの後のお客様に電話。昨晩5組が最初のデートだったので、チームは忙殺状態です。最初の2、3組と電話している間、私は外で散歩。基本、電話は聞くだけ。説教したくないからです。ときどきは、デートで間抜けな服を着たとか、変なジョークを言っちゃったとか、そういうところは“つっこみ”を入れてね、などは言います。デートの後の電話は、お客様のデートの好みやスタイルを知るには大切。常にまっさらな気持ちで耳を傾けます。
4組目の電話では、お客様が興奮していたので、お話をタイピング。彼の相手に電話をしたところ、彼女もOK!早速、彼には、彼に“ディナー以外”のイケてる2度めのデートプランをメールしているところ。空中ブランコクラスやピザ作りなど!
いつも金曜日はチームメンバーからの週末の報告で終わりです。ビデオチャットでオフィスにつなぎ、プロジェクトマネージャーのレイチェルから、今週の成果と来週の目標についての報告を聞く。達成したことにワクワクもしますが、週末の準備も万全です!
Ronnie Koenig/I’m A Professional Matchmaker—Welcome To A Week In My Life
コメント
コメントを書く