「本の執筆、お疲れさまでした」

アシスタントのMさんが届けてくれた小さな包みには、小さく折りたたまれた手紙が添えられ、たったひと言だけれど、とても優しく温かい言葉が綴られていました。それから、金色のリボンの間に、ちょこんと挟んだ葉は、Mさんが家の庭で摘んだもの。そっと外して小さな花瓶に挿し、食卓に飾っています。

包みの中身は、「スノーボール」というお菓子。文庫本より少しだけ大きな箱の中に、15粒の焼き菓子が、行儀よく肩を寄せ合い並んでいます。お菓子の材料は、小麦粉、バター、砂糖、クルミ、シナモンとシンプル。その名の通り雪を食むように、ホロホロと口の中でほどける柔らかなクッキーです。

いつだったかMさんが、好きなお菓子屋さんの話をしてくれたことを思い出しました。「私の家の近くに『プチグレース』という、おばあさまが一人で営まれているお菓子屋さんがあるんです。お菓子屋さんというよりも、お家の一角で手作りのお菓子を分け売りしてくださっているような控えめな雰囲気。品物は、スノーボール、雪月花、ショートブレッドの3品のみで、それがとても美味しくて」

あのとき聞かせてくれたお菓子だ! Mさんの心遣いが、じんわり沁みいります。窓の外はぴかっと晴れているけれど、おやつの時間の食卓は雪景色。お菓子はさまざまな気持ちや景色を見せてくれます。

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