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王妃マリー・アントワネット、じつは平凡な女性だった?

2016/11/04 12:30 投稿

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現在、森アーツセンターギャラリーで「ヴェルサイユ宮殿《監修》 マリー・アントワネット展 美術品が語るフランス王妃の真実」が開催されています。 不動の人気を誇るフランス王妃

本国フランスではたいがい首を傾げられる日本人のマリー・アントワネット好きですが、日本でのマリー・アントワネット人気は不動のもの。間違いなく漫画『ベルサイユのばら』の影響だと思いますが、ヨーロッパ随一の由緒と権威を誇るハプスブルグ家の女傑マリア・テレジアの第11皇女として生まれ、太陽王と謳われたルイ15世の孫ルイ16世に嫁ぎフランス王妃となるも、ギロチンにかけられ断頭台の露と消えた彼女の人生は、ストーリーテーラーにとっては興味をそそるに十分なもの

『ベルばら』以前に、彼女を題材とした小説も多々あり、有名なところではシュテファン・ツヴァイクが『マリー・アントワネット』を、遠藤周作が『王妃・マリー・アントワネット』を書いています。この2作は史実を基にしているとはいえ、あくまでも小説。全てがマリー・アントワネットの真実ではありませんが、人間としてどんな女性だったのか手がかりを得ることはできます。

激動の人生を送った"平凡な"女性 ウィリアム・ハミルトン『死刑に処されるマリー・アントワネット 1793年10月16日』(1794年、ヴィジル、フランス革命美術館、©Coll. Musée de la Révolution française/ Domaine de Vizille)

プライベートなど一切なく、しきたりづくめの宮廷の生活よりも田舎暮らしを好み、王妃としてよりも母親として生きることに幸せを感じていた彼女は、どこにでもいるごく平凡な女性のひとりだったように思えます。たまたま前近代から近代へと時代が大きく変わるタイミングにヨーロッパを代表する名門一族の子女として生を受け、嫁いだ先がフランス王朝であったこと。さらには、世界史を大きく変えることとなった近代革命の舞台時として時が重なったことが、彼女の運命をこんなにも非凡なものに仕立てたのでしょう。時代の流れから逃れられなかったマリー・アントワネットの人生は、一女性のそれとしてはあまりにも波乱に満ちあふれ、けっして幸せとは言い難いもののように映ります。

彼女の最期については多くの書物でよく語られるところで、母マリア・テレジアの血に恥じることなく美しいまで決然としたものだったと記録に残ります。想像を絶する過酷な人生がどこにでもいる平凡な女性をそこまで強くしたのかと思うと、マリー・アントワネットの血には、やはり非凡なまでの強さが流れていたのだなと、その血筋を思わずにはいられないのですが。

ヨーロッパのファッションリーダー エリザベト=ルイーズ・ ヴィジェ・ル・ブランと工房『フランス王妃マリー・アントワネット』(1785年、ヴェルサイユ宮殿美術館、©Château de Versailles (Dist. RMN-GP)/ ©Christophe Fouin)

ソフィア・コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』では、ファッションリーダーとしてのマリー・アントワネットが描かれていますが、当時ヨーロッパの中で最も洗練されたフランス宮廷のモードを彼女が統率していたことは事実。異なる時代に生まれていたら一体どんな生涯を歩んだのだろうか? と想像力を掻き立てられるヒロインであることは間違いありません。

今回の展示では、マリー・アントワネットの自室が再現されるとのことなので、ぜひ彼女がどんな女性でどんな生活を送っていたのか事前に書物に目を通してから出かけてみたいものです。

アンドレ・バセ(弟)刊『マリー・アントワネットのヴェルサイユ到着 1770年5月16日、結婚式の日』(1770年、ヴェルサイユ宮殿美術館、©Château de Versailles)

ヴェルサイユ宮殿《監修》 マリー・アントワネット展 美術品が語るフランス王妃の真実

開催期間:2016年10月25日(火)~2017年2月26日(日)

開館時間:10:00~20:00(火曜日および10月27日(木)は17:00まで) ※入館は開館時間の30分前まで

会場:「森アーツセンターギャラリー」(東京都東京都港区六本木6-10 六本木ヒルズ 森タワー52F)

main-image:【右】エリザベト=ルイーズ・ ヴィジェ・ル・ブラン『マリー=テレーズ・シャルロット、通称マダム・ロワイヤルとその弟の王太子ルイ・ジョゼフ・グザヴィエ・フランソワ』(1784年、ヴェルサイユ宮殿美術館、©Château de Versailles (Dist. RMN-GP)/ ©Christophe Fouin)、【左】エリザベト=ルイーズ・ ヴィジェ・ル・ブラン『ゴール・ドレスを着たマリー・アントワネット』(1783年頃、ワシントン・ナショナル・ギャラリー、ティムケン・コレクション、Courtesy National Gallery of Art, Washington)

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