一度入ってしまうと、ずぶずぶと幸福感にしずみこみ、もう二度とそこから抜け出したくなくなる魔力を持つこたつ。セントラルヒーティングが基本のヨーロッパでは、屋内の気温は一定で、日本の家屋と比べればずっと快適なはずなのに、なぜか毎冬こたつが恋しくなります。きっと、思い出が美化されているせいだろうと思ってきましたが、じつはそれだけではなかったようです。
赤外線の熱の刺激でセロトニンがというのも、2016年5月Jama Psychiatryに発表されたアメリカ・ウィスコンシン大学マディソン校の研究によれば、赤外線で肌を温めることで、気分を上げる働きを持つセロトニンが生成されることが分かりました。
研究対象となったのは、うつ傾向にある338人。赤外線で1時間半、体温が発熱時相当に上がるまで、脚と胸部を温めたところ、被験者の精神状態は大きく改善され、またその効果は6週後も消えませんでした。
このことから、同研究グループは、
熱は、肌を温めることで、セロトニン生成を促進し、脳機能にまで影響を与える。言いかえれば、肌から吸収された熱により、脳が幸福感を感じる
(Le Parisienより翻訳引用)
と結論付けています。
いま冬は暖房よりもこたつ?この研究の「赤外線で脚を温める」というくだりを読んで、すぐに私が連想したのは、もちろん「電気こたつ」です。「なるほど、だからいつもこたつの思い出は幸福感を伴っていたのか! 」と、思わず膝を打ちたくなりました。
からだの感じる寒さだけでなく、こころの寒さも癒してくれるのが電気こたつということでしょう。これからの季節、こころが奮い立たないときは、暖房を入れるよりも、こたつに入った方が効果的とも言えそうです。
photo by Thinkstock/Getty Images
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