昨今、協会内外での喧噪が散見される大相撲ですがレポートしていきます。本会としても非常に重要視する行事でした。当日は朝から雨模様の中、両国駅に集合して意気揚々と国技館へ。今回の企画は団体予約を受け付けない土曜日にも関わらず桝席(以下、桝)をべた押さえするという特別な配慮を頂いての開催。手配に尽力下さった関係者の皆様に深く感謝しております。
- 両国駅構内は相撲色 -
国技館への入場も通常口ではなく「お茶屋さん(案内所)」を通ってのもの。それだけでも高揚するような気さえしたものです。指定されたお茶屋さんの出方さんに誘導されて、いよいよ場内へ。テレビで目にする「あの画」が目前に開けてきた時には「おおおおー」と声が上がりました。恥ずかしながら興奮が抑えられないといった胸の内。
- 国技館入り口・お茶屋さん通路 ・土俵全景(取り組み)-
MAAが押さえることのできた桝はいずれも正面でした。二手に分かれており土俵に近い側と最後列のNHK実況席前という双方とも超が付くほどの良席。私は後者の桝でしたが生中継の様子が後ろから聴こえつつ、目にしているのは本物の土俵という特異な体験をしたと言って良いでしょう。画的にもこの桝は「相撲中継そのもの」の画角でしたね。どんなスポーツ・行事・催事でも言えることですが、やはり生で接する迫力は格別なものがあります。
- 放送席・実況風景-
私たちは相撲観戦時の作法については知識がなく緊張感をそれなりに持っていたのですが、実際はあまりセンシティブにならなくても大丈夫ではないかと感じました。心づけに関してもそれぞれ桝ごとにポチ袋を用意して、出方さんに渡すという対応で問題なかったですね(出方さんはお茶屋さんに所属しており、担当する桝に座るお客さんの手伝いをする役割の人)。先方から要求を受けるということもないので、あくまで「心次第」といったところではないかと思われます。大相撲観戦をサポートしてくれることに対する、感謝の心情を具体化する営みが伝統的に形成されてきたと想像します。出方さんは注文した飲食物などを持ってきてくれるのですが、残念ながら各席には彼らを「呼び出す機能」はありません。時折担当する桝を巡回しており、そのタイミングで声を掛けることになります。席を立つことなく様々な食事(名物の焼き鳥、枝豆、日本酒など)を運んで来てくれるのはちょっとした特別感もあって嬉しく感じますね。地下にはちゃんこ屋さんもあって、リーズナブルに本場の味を楽しむことが出来ます。国技館ならではの食べ物の一つでしょう。
「桝」そのものについてですが、4枚の座布団で一つの区切りとなっています。大人4人では窮屈を感じるのは避けられそうもないです。私たちは3人で「一桝」と設定しましたが、周囲を見ると4人ぎゅうぎゅうの方もいるにはいらっしゃいましたね。荷物が隣席にはみ出てしまっていて、やはりあまり現実的ではないような気がします。女性会員は3人横並びで足を延ばして座るという使い方をしておりましたね。国技館内の食事処やここならではの食べ物を注文したりして、午前中からの長丁場を楽しんでいた様子。また、場内には相撲博物館が併設されていて自由に入場ができます。過去の大力士にまつわる展示などが中心のようです。場所開催中は国技館への入場券が必要ですが普段は無料で見られるとのこと。
- MAA女性桝の様子・館内飲食物等・相撲博物館内 ・力士入場-
観戦ですが結論から言って大興奮・大満足・大感謝の1日でした。先場所優勝で長野県出身の関脇・御嶽海関、横綱・稀勢の里関、白鵬関、鶴竜関といった主要力士は皆勝利。ある意味で「勝つべき力士が勝つ」ということが会場の盛り上がりにも繋がる部分もあるのでしょう。今回、長野県から2名の会員が参加してくれていましたが、御嶽海関の勝利に直に接したことは大きな喜びとなったのではないかと感じます。また、大阪出身の会員が豪栄道関を応援するシーンもあったりで私もその場を共有できて歓喜もひとしお。同県人の活躍は掛け値なしに胸を揺さぶるものですよね。254勝10敗の大関として有名な雷電為右衛門関も長野県出身とのこと。御嶽海と聞くと雷電為右衛門が紐づく知識となりました。永谷園の広告を見るとホッとするのは、それだけ大相撲とセットの印象が深いからなのでしょうかね(笑)。
この日は午前中から会場入りしていたので序の口~幕下の取り組みもじっくりと見ることができて、濃密な時間を過ごせたかなと思います。通な人だと序盤に登場する力士を見て「大成するか否か」を考えたりするものなのかなとぼんやり考えたりもしていました。以下に写真も置きますが、白鵬関の取り組みでは「腰砕け」という珍しい決まり手も飛び出して会場が沸いていましたね。
- 土俵全景・懸賞広告と言えば永谷園・取り組み・星取表・弓取式 -
また、会場には直前に女子テニス全米オープンを優勝した大坂なおみさんも観戦に来られていて、入場時はかなりざわざわと。普段は「観られる側」でしょうけれど「観る側」になる姿はなかなかにレア度の高いことではないでしょうか。米国育ちと聞いていますが日本文化にも強い関心を持っているそうですね。
- 大坂なおみ選手も来場 -
それと、もう一つ忘れてはいけない貴乃花親方についてです。この日も審判部としてその任に当たる姿を目の当たりにしていました。物言いが付くたびに土俵に上がって協議するシーンも少なからずあって、どこから見ても貴乃花親方だなと思って注目していたのです(当たり前ですが)。実物の存在感はやはり確かで観戦の思い出を補強してくれていたのですが、まさかこの後すぐに退職という結末を迎えるとは予想だにしていませんでした。あくまで本レポート執筆時点での状況ですが、そうなればもう2度と土俵で姿を見ることはできなくなります。偶然に親方の最後の場所に接することになったかもしれないと思うと、人生における「機会」について考えないわけにはいかなかったですね。「できる時にやる、行く、触れる、動く」ということをしないと、取り戻せない出来事も起きるものだと…。
- 貴乃花親方 -
ともあれ、力士同士のぶつかり合う音・行司が張り上げる声・観客の熱狂・会場内の無量の情報が五感を通じて私たちに飛び込んできます。体全体で場の空気と一体になることの凄さを改めて感じた次第です。この日のことを生涯忘れることはないでしょう。国技館での作法も経験したことですし、今後は力むことなく大相撲観戦ができるのではないかなと思っています。贔屓の力士を持つようになれば一層楽しくなるんだろうなと感じながら、雨の上がった国技館を後にしました。
なお、この日はゲストとして私の知人であるケアプロ株式会社の川添高志社長がご参加下さいました。彼は我が国のソーシャルベンチャーの先駆けともいえる人物で、大衆の健康意識を向上させて社会に貢献しようと意欲的な挑戦を重ねています。私個人として開業当初からその意義に着目し、微力ながら応援を続けているところであります。彼は属性オープンの方なのでここで紹介させて頂き、お礼と代えさせて頂きます。
- 集合写真 -