前記事の続きとなります。この日は午前と午後に分けてインレクを行いました。前編・後編として記事化しています。午前の企画が上野で行われたので、「そう遠くない所で散策でも出来たら」という発想での開催となりました。以前から「ふらふらっ」と街歩きしてみるのもインレクとしてはありなんじゃないかという本会運営サイドの話が、ちょうどタイミング・場所的にも「はまった」という経緯でした。
午後からの参加者を加えてのスタート。時期としては寒風が吹きつけることもあり得そうでしたが、お散歩には絶好の天候に。この日のレクは最初から最後までスムーズに進んで「快調」の一言でしたね。皇居という特殊な場での非日常的な雰囲気を感じながらの歩み。色々と考えながらの時間となりました。相当なコストをかけての施設整備、参観のための警備体制、外国人観光客の賑わい、築城以来の人々の息遣い、歴史的事件の現場、未来にわたる姿の想像、などが頭を巡ります。入場に際して持ち物検査がありますが、昨今のテロ事情を踏まえると警戒度を高めざるを得ないのだと理解します。参観にあたっては宮内庁から音声ガイドアプリが提供されており、これを活用すると良いでしょう。
江戸城跡、松が整然と並んで凛としていて素敵なんですよ。決して華があるわけではないのだけれど、存在だけで「典雅な雰囲気」を生み出す木。じっと見つめていると対話出来ちゃいそうな気がするくらい。幾万の人間をその場で見てきたのか、そんなことを考えるだけで胸に迫ってくるんです。
もうざっと400年以上も我が国の政治・経済の中心地であり続ける江戸。当時の日本のあらゆる決定を下したお城。その地を確かに踏みながら空気を味わう。先人の足跡や呼吸をイメージしながら歩く。原宿や渋谷を散策するのとはもちろん趣きが違うのですが、私はこうした企画は嫌いではないですね。単に歴史好きという側面もあるのですけれど(笑)。城郭や城下町、古戦場など全国各地にこうした場所があります。月日をかけながら地道に訪ねて、その地域地域と向き合う時間が過ごせたら地味ではあるけれど豊かで意義深いことだと思うのです。
さて、歩みは進んで江戸城本丸天守台に昇って「江戸から東京を眺望」。降りた眼前に広がる皇宮東御苑の広場(芝生)に会員さんが持ってきたシートを敷いて小休憩を。とにかく「ぼーっと」する時間。いいですね、こういう間が。喫茶店や食事処での語り合いも良いけれど、囲いのない場で過ごすのも悪くありません。傾きかけた陽が私たちを柔らかく抱擁する。少しだけ瞼も重たくなるような。周りを見渡すと、飛び跳ねる子供たち、談笑するカップル、大の字で寝転がる外国人。ほのぼのした光景が江戸城ありし時代のせわしさと好対照を為しているように思え、時の流れというものを感じないわけにはいかないですね。「諸行無常・盛者必衰の理」。これは決して哀音としての響きではなく、「今、ここに自分は生きている」という確かな実感が立ち現れるイメージで。時の使い方、残りの自分の人生のあり方にもおぼろげに接続したり…。
しばしの和やかな幕間を終えて、「松の大廊下跡」をなぞるように歩く。忠臣蔵が残すメッセージ。世間では悪役設定が多い吉良も地元では敬意を集める主だったとも伝わります。赤穂浪士の美談も遠望すれば「正義と正義」がぶつかる様相だったのかと。互いの正義を分かった上での内蔵助の断固たる行動が魂を揺さぶる。内匠頭の、上野介の、赤穂浪士の、吉良家の面々の散らした命が今の時代に語り掛けるような。勝者も敗者も今となってはあったのでしょうか、悩ましい。断絶した浅野家、討ち取られた上野介。勝敗の間に漂う人間のサガ。松の廊下には解のない問いが横たわっているように思えてなりません。
その他にも域内には「都道府県の木」が植樹されており各地から来る人への心遣いなのでしょうか、図らずも出身地のそれを探してしまいます(笑)。ゆったりとした歩様で2時間程度はかかる行程。お散歩としては十分なボリュームだと感じました。散見される皇宮警察の姿や城外にそびえ立つ高層ビルが江戸時代と現代を分かつマイルストーンのようにも映って微笑ましい。旧時代と現代が交差する江戸城の魅力。また会員さんと一緒に味わいに来たいな、と考えながら閉門のアナウンスに耳をそばだてつつ、大手門をくぐって下城と相なりました。
-外国語でもアナウンスしていた警察-
-よく躾けられていました-
-本丸天守台跡に-
-東御苑広場から本丸天守台を望んで-
-シートを敷いてピクニック気分-
-日本中に衝撃を与えた事件現場-
-植樹されている都道府県の木-
-大手門と高層ビルのコントラスト-
-和田倉噴水公園のイルミネーション-
-公園からパレスホテルをパシャリと-
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