FOREST島人通信

『FOREST 島人通信』2015.9.16号

2015/09/16 21:00 投稿

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▼ 2015.9.16号
▼ 『FOREST 島人通信』
▼ FOREST ISLAND
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▼ご挨拶 

 

みなさま、いつもFOREST ISLANDをお楽しみいただきありがとうございます。

 

缶バッジ、まったくもってごめんなさいm(__)m。

皆様の御宛名を一件ずつ手書きで書かせていただいておりますが、ちょっと時間がかかってしまっております。

もう間もなく終わり、発送できますので、すみませんがもう数日お待ちください。

すみません!

 

さて、本日はこれから、二宮歩美さんと心霊スポットに参ります。

放送は22時より、こちらのURLになります。

http://live.nicovideo.jp/watch/lv235241126

 

どうぞお楽しみに!

 

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        FOREST ISLANDホラー劇場『神社の肝試し』②

 

なるべく脇を見ないようにしながら足早に進み、翔くんは神社の敷地内へと足を踏み入れた。

途端に、周囲の様相が一変する。

鬱蒼と木々が生い茂り、翔くんを飲み込まんばかりに覆い被さってくる。

枝が手を伸ばせば届くほどのところにあり、その枝の間から何かが飛び出てくるような気持ちになる。

これに比べれば、墓地の中はそれでも開放感があった、と翔くんは思った。

懐中電灯の明かりも、待機している隆介くんたちに見えただろうし、同じ空気を共有しているという思いがあった。

ここは違う。神社の中に足を踏み入れたら、全くの別世界だ。

翔くんは身を屈めるようにして進んでいった。茂みの間から手でも出てきてつかまれるような気がしていた。

突き当たりを右に曲がる。隆介くんの言った通りだ。

今度は左側が石を積み上げた土手のようになっている。右側は相変わらず鬱蒼と茂った林だ。

懐中電灯の明かりが、急にパパッと点滅する。電池が無くなったのか、それとも接触が悪いのか。

思わず足を止め、それ以上の異常が起こらないことを確認してから再び歩み出す。

左手の土手の切れ目の角を曲がると、鬱蒼とした林を抜け、少し開けたようになっていた。

そして、正面に神社の本殿が見える。

本殿と言っても、とても小振りだ。周囲を回ってもおそらく20メートルもないだろう。

本坪鈴の下に、鉛筆が三本残っている。身を屈めて一本を拾う。残りは二本。隆介くんと、加奈ちゃんの分だ。

頭を上げた瞬間、首を誰かに押さえつけられた。思わず叫び声を上げたのと同時に、本坪鈴がガシャンと音を立てる。

紐にぶつかってしまったのだ、とようやく気づく。

今度の叫びは闇に吸い込まれ、誰にも聞こえなかったようだ。

静まりかえった境内を見回すと、翔くんは踵を返して寺を目指そうとした。

重苦しい木の音が響いたのは、その瞬間だった。

背後から聞こえたその音に、翔くんは振り向いた。

見ると、拝殿の扉が少しだけ開いている。

中に見えるのは、漆黒の闇。

しかし翔くんには、ゆっくりとそれを確かめている余裕は残されていなかった。

叫ぶのをやっとの事で堪え、一目散に神社を後にする。

懐中電灯で足下を照らし、全ての神経をそこに集中させた。

神社の森の中は砂利道で、小さな虫も多くうごめいている。

足下に意識を集中させて一直線に神社を抜ける。

墓地に出た途端、敷かれていた石の段差に足を引っかけ、転んでしまった。

「墓地で転ぶと早死にする」と以前にお母さんに言われたことを思い出すが、どうでも良かった。

 急いで立ち上がると、ずんずん進む。打ち付けた膝が痛む。もしかしたら擦り剥いたのかも知れない。

 墓地の角を曲がると、懐中電灯を囲むようにして待っている7人の顔がうっすらと見えた。

 中には翔くんのただならぬ様子に気づいた子もいたようだ。数人が、お互いの顔を見回す。

 その空気に気づいているのかいないのか、隆介くんは大げさに迎えた。

「よお、帰ってきたか! どうだった?」

 翔くんは黙って鉛筆を見せた。

「やるじゃん、お前。正直無理かもと思ってたんだよ。東京に住んでても臆病じゃないんだな」

 都会の人間を一緒くたに臆病だと決めつけるな。それに僕が住んでいるのは神奈川だ。

 と、訂正している場合じゃない。

「扉、開いたよ」

 翔くんの言葉に、一瞬隆介くんは怪訝そうな顔をする。

「何の話?」

「神社の扉だよ。ぎいって音がして、振り向いたら開いてた」

 加奈ちゃんを初め、何人かの顔色が変わる。

「ほんとかよ? なあ、隆介。やっぱりやばいんじゃねーの?」

 一人の男子が情けない声を出す。

「怖がらせようとして嘘を言うのはやめなさいよ」

 二番目に行った、しっかり者の女の子は、翔くんの言葉を疑って責めてきた。

「嘘じゃないよ。本当に開いてたんだ。別に怖がらせようなんて思ってないって。肝試し、中止にした方がいいと思う」

 翔くんの言葉に、みんな黙ってしまった。怖がらせる目的で言ったのであれば、肝試しの中止を提案するはずはない。そのくらいは分かる。ならば本当なのだろうか?

 下を向いてしまった加奈ちゃん以外の7人は、顔を見合わせた。

 誰もが、誰かが次の意見を言うのを待っているようだった。

「中止にしよう」と。

 沈黙を破ったのは隆介くんだった。そして、彼の言葉はその期待を裏切った。

「次は俺の番だな」

「やめなって」

 翔くんは反対した。

「いいじゃん、俺、行きたいよ。行って確かめてくるって。それでいいだろ?」

 そう言われてしまうと、誰も反対は出来ない。みんな自分の番は済んでしまっている。

 怖い思いをするのは隆介くんだけだ。

 いや、隆介くんだけじゃない。まだ加奈ちゃんの順番が残っている。

 しかし、当の加奈ちゃんは下を向いてしまったまま、顔を上げようともしない。

「みんな、いいよな。じゃあ、行ってくるぜ。翔、懐中電灯くれよ」

 結局、誰も隆介くんを止めることが出来ないまま、隆介くんは墓地の中へと消えていった。


                                   <続く>


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