FOREST島人通信

『FOREST 島人通信』2015.9.9号

2015/09/09 23:00 投稿

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▼ 2015.9.9号
▼ 『FOREST 島人通信』
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▼ご挨拶 

 

みなさま、いつもFOREST ISLANDをお楽しみいただきありがとうございます。

 

9月12日(土)に心霊スポットを巡ろうと思っております!

まだ枠は取っていないのですが、近日中に取ります。

お楽しみいただければ幸いです!

 

缶バッジの方、今週末に発送予定でございます。

お待たせして申し訳ございませんが、今しばらくお待ちくださいませ。

いつもの休憩の時に出てくる森島の顔を元にしたバッジになっております。

どうぞお楽しみに!

 

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        FOREST ISLANDホラー劇場『神社の肝試し』①

 

小学4年生の翔くんがこの夏休みに、長野に住んでいる親戚の家に泊まりに行った時のことである。

何度か訪れていることもあり、翔くんには近所の同い年くらいの友人も出来ていた。

お盆の間の何日間かの滞在ではあったが、翔くんは友人たちに連れられ、山や川で遊んで楽しい時を過ごした。

いよいよ自宅のある神奈川へ帰るという前夜、友人の一人の隆介くんが肝試しをしようと言い出し、最後の思い出にと翔くんも行くことにした。

晩ご飯を食べてから家を出る。幸いにも比較的放任主義の親戚であったからか、うるさいこともいわれずに外出を許可されたそうだ。

集合場所に着いたのは夜の9時。そこから20分ほど歩いて町外れの寺へと向かった。

参加者は男子が翔くんを入れて5人、女子が3人の合計8人だったそうだ。

寺の周囲は畑が並んでおり、最も近い民家でも二百メートルは離れている。

街灯もなく、明かりがなければとても歩けないような道であったが、隆介くんは用意周到にも、懐中電灯を二つ、持ってきていた。

その明かりを頼りに、8人は寺へと向かっていった。

寺の敷地内には住職がいるので静かに通り過ぎ、裏手にある墓地へと向かう。

この辺りから女子の中の二人は怖がりだし、一人は泣き出さんばかりになっていた。

翔くんも内心、来なければ良かったと後悔し始めていたのだが、みんなの手前、そのような様子はおくびにも出さず、平気な顔をしていた。

「この隣に神社があるんだよ」

 隆介くんが言う。

 古くは、お寺と神社は隣り合わせに建てられることも多く、お墓を渡りきったところに小さな神社があるというのだ。

「祟りの神社なんだぜ。翔は初めてだろうけど、みんなは知ってるよな?」

「やだあ!」

 女の子の中でも一番怖がりな加奈ちゃんが声を上げる。

 隆介くんは構わず、翔くんに説明を始める。みんなを怖がらせようとしているようだ。

 隆介くんの話によると、この隣にある神社もこのお墓も、幽霊や火の玉を見たといった噂が絶えないのだそうだ。

 そればかりか、隣の神社では神隠しがあったとも言われ、夕方遅くになってもその神社で遊んでいると、しっかりと鍵のかかっているはずの拝殿の扉が開いていて、中からおかっぱ頭の女の子が覗いているということであった。

 そこまで隆介くんが話したところで、また加奈ちゃんが悲鳴を上げる。

 いたずらっぽく笑う隆介くんの顔も、よく見ると青ざめているようだ。

「ルールも決めてあるんだ」

 隆介くんは言いながら、ポケットから鉛筆を7本取り出した。

「これから一人ずつ、墓を通って神社まで行く。神社の鐘のところがゴールだ」

 隆介くんが言う「鐘」とは、神社の本坪鈴のことである。

「最初のやつはこの鉛筆を全部持っていって、鐘の下に置いてくる。それから一人ずつ行って、鉛筆を一本ずつ持って帰って来るんだ」

 加奈ちゃんはもう無理だと言わんばかりに首を振る。それ以外の一同は、特に反対することも出来ないからか、ルールは隆介くんの言う通りに決まった。

「じゃあ、じゃんけんで順番を決めようぜ」

 そして、翔くんは最後から3番目になった。

 隆介くんがその次の順番、そして加奈ちゃんが最後だった。

 一番目になった男子生徒が、一人懐中電灯を持って墓地の中へと消えてゆく。

 それを、翔くんたちは、怖さを紛らわせるために笑いながら待っていた。

 時折、墓地の中から懐中電灯の光が見える。おそらく向こうからも、こちらの懐中電灯の明かりが見えるかも知れない。

 そう思うと、少しは恐怖心が和らぐのを覚えた。

「墓の中は直線だから、まあ、懐中電灯の光も見えるよな。墓を過ぎてから神社に行くまでの間に何度か曲がるから、そこからが怖いんだぞ」

 見透かしたかのように、隆介くんが言う。

 加奈ちゃんは怖がったまま、ずっと下を向いていた。

 二番目に行くのは、隆介くんと同じクラスの女の子だった。しっかり者なのか、ずんずんと進んでいき、あっという間に鉛筆を持って帰ってきた。

 三番目、四番目と順番は進み、怖がりながらもみんな鉛筆を持って帰ってきた。

 そして、いよいよ翔くんの番になった。

 懐中電灯を持ち、翔くんはゆっくりと墓地へと歩き出した。

 歩き出してすぐ振り返りたくなったが、怖がっていると思われるのが嫌で我慢する。

そのまま、なるべく余計な方向を見ないようにまっすぐ前を向いて進もうとする。

しかし、怖くなってどうしても周りを見てしまう。

周囲には整然と墓石が並んでいるのがぼんやりと見える。そのうちのひとつから顔が覗き込んでいるような気がして、ハッと懐中電灯を向ける。

それは墓石の模様が顔のように見えただけだった。

ほっとして前に向き直った刹那、暗闇の中に二つの光るものがあった。思わず叫び声を上げてしまってから、それが猫の目であったことに気づく。

猫の方も翔くんの叫び声に驚いたのか、慌てた様子で墓石の間に飛び込むと、姿を消してしまった。

「大丈夫かよっ!」

 隆介くんの声が聞こえる。叫び声を聞かれてしまったのか。

「つまずいただけ!」

 とっさに嘘をついて答え、翔くんは神社へと歩みを進めていった。


                                   <続く>



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