FOREST島人通信

『FOREST 島人通信』2015.8.19号

2015/08/19 21:00 投稿

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▼ 2015.8.19号
▼ 『FOREST 島人通信』
▼ FOREST ISLAND
▼ http://ch.nicovideo.jp/morishimachannel
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▼ご挨拶 

 

みなさま、いつもFOREST ISLANDをお楽しみいただきありがとうございます。

 

先週から今週にかけて、ニコ生公式「ホラーアベンジャーズ」出演、ろっくまんさんとゲッティさんの企画した「心霊スポット配信リレー」への参加など、大きなイベントが目白押しでした。

これらのイベントで、初めてFOREST ISLANDのことをお知りになったという方も多くいらっしゃったことと思います。

ドワンゴさん、ZeNrAさん、ろっくまんさん、ゲッティさん、金子丸さん、ゆーたさん、そしてご覧くださった皆様本当にありがとうございました。

 

さらに昨日、私・森島のVシネマ5作品を24時間上映するという企画で、本当に大勢の方にご覧いただきました。

最後のアンケートでも、「良かった」とお答えくださった方が50%を超え、感激でした。

今後も心霊スポット配信がメインではありますが、機会があればまたそういった作品も撮りたいと思わせる1日でした。

 

最後の『マタギ・ウォー・Z』では、初めて実況をさせていただきました。

実況を終え、そのまま雑談をさせていただいたのですが、これも非常に楽しく、雑談放送もまた行わせていただきたいと思いました。

本当に皆様ありがとうございました。

 

さて、次回の生放送は、三重県より二夜連続でお送りいたします。

 

一夜目 2015/08/21() 2257開場  2300開演

http://live.nicovideo.jp/watch/lv232062222

 

二夜目 2015/08/22() 2257開場  2300開演

http://live.nicovideo.jp/watch/lv232063063

 

どうぞお楽しみに!

 

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        FOREST ISLANDホラー劇場『老人ホームの来客』①

 

宮本雄一郎が86歳になった父・源蔵を老人ホームに入れたのは、雪のちらつき始めた年の瀬であった。

源蔵は数年前から足が極端に弱くなった。長年連れ添った妻を10年以上前に亡くしてから男やもめを貫いてきたが、最近では特に老化が著しく、日々の食事の支度さえままならないほどであった。

雄一郎は源蔵の自宅から電車で一時間ほどのところに住んでおり、毎日様子を見に行くことは出来ない。自分はまだ勤めを続けており、妻もパートに出ることがあるため同居することもままならず、源蔵に老人ホームへ入るよう何度も説得していた。

かたくなに老人ホームを拒んでいた源蔵であったが、その年に入ってから特に転倒することが多くなり、ついには数日前にトイレで転んだまま一晩起き上がることが出来ず、翌日訪れてきたデイケアサービスの係員に糞尿まみれで横たわっているところを発見され、九死に一生を得たのである。

このことがあって、ようやく頑固な源蔵も、首を縦に振らざるを得なくなった。

雄一郎がいくつか探してきていた候補のホームをあまり吟味することもなく、結局は雄一郎が進めるままのホームに決めた。

古い建物を改装し、改めて特養ホームとしてスタートしたばかりの新しい施設であった。

源蔵の部屋は、三階建てのホームの最上階の角部屋である。

前の建物が何であったのかは知らないが、部屋は一人に対しては充分と思える広さで、タンスなど必要最小限の家具を入れただけではがらんとさえして見えた。

1フロアーの定員は15名で、最大で45名の入居者が入れる。

それをケアするスタッフは入居者3人に対し一人で、法律で定められている最低基準であったが、その分価格に反映されているので贅沢は言えない。

スタッフの数はもちろん時間によって変動する。入浴や食事など、介助が必要な時間帯は多くなるし、逆に夜間は少なくなる。

このホームでは、夜勤で勤務するスタッフは、二人のみとのことであった。

源蔵が入った時、入居者は源蔵を含め、8人しかいなかった。これから増やしていくということであった。

三階のフロアーには、源蔵ともう一人の男性しかいない。

雄一郎が訪ねて行っても、ほとんど人のいない静かなフロアーのがらんとした部屋で、ぼんやりとテレビを観ている源蔵の姿があるばかりであった。

「今は人がいなくて寂しいかも知れないが、そのうち入居者も増えれば賑やかになっていくだろう」

 雄一郎は無理にでもそう考えることにし、源蔵にもそのように伝えて励ました。

 源蔵はそれに対し、聞いているのか聞いていないのか分からないような顔で頷くばかりであった。

 入居して二週間後、再び雄一郎は源蔵を見舞いに行った。

 週末の午後であったが、三階のフロアーはスタッフが一名いるばかりで閑散としていた。もう一人の入居者は、昼寝でもしているのか、その部屋のドアは閉じられていて何の音も聞こえなかった。

 雄一郎は源蔵の部屋を訪れた。源蔵はベッド脇の椅子に腰掛け、テレビを観ていた。テレビ画面をただ見つめている、と言った方が正しいのかも知れない。まるで、前回に会った時から動くことなくそこにいるかのようであった。

 なんだか一気に老け込んだように思えた。老人ホームへ入れたことが誤りだったのかも知れないという疑念を振り払い、雄一郎は源蔵に住み心地を訪ねた。

「まあまあだ」

 明らかに本心からではないと思える答えが返って来、雄一郎は曖昧に頷いた。

「何か不満とかはない?」

 あえて訊いてみる。特にない、という答えを期待していたのだが、源蔵はうつむいたまま黙りこくってしまった。

「どうしたの?」

 更に尋ねる。ややあって、いかにも重そうに、源蔵は口を開いた。

「誰かが訪ねてくる」

 雄一郎には、その言葉の意味するところが分からなかった。スタッフのことだろうか? それならば巡回で訪ねてくるのは当然である。それとも、同じフロアーに入居しているという老人であろうか?

「誰? ここの人?」

「違う。誰かは分からない」

 源蔵の言葉は要領を得なかった。

「男の人?」

「分からん」

「見たことのある人?」

 また源蔵は黙ってしまった。

 沈黙が支配する空間がやけに居心地が悪く、雄一郎は何か発せられる言葉を探した。

「誰か分からん」

 その沈黙を破って口を開いたのは源蔵であった。

 しかし、その言葉は何の解決にもならない、同じことの繰り返しであった。

「知らない人が入ってくるってこと?」

 問い返すと、しばらくの沈黙の後、源蔵はしっかりと頷いた。

 雄一郎は困惑していた。この部屋に入る人といえばここのスタッフか、同じフロアーの入居者くらいしか考えられない。その顔を覚えていないというのはどういうことなのだろう。

 源蔵は惚け始めたのかも知れない。

 雄一郎は、そう考えていた。


                                   <続く>

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              発行 FOREST ISLAND
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