底辺亭底辺の「今日も底辺!」

若者の落語離れ  作・底辺亭底辺

2017/02/23 21:26 投稿

コメント:1

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創作落語。
社会を進歩させ続けて来た人類にとって永遠の課題
「世代間ギャップ」をテーマとした。

アニメ版は下記URLリンクにて公開。 
http://www.nicovideo.jp/watch/1487836827





【著作 底辺亭底辺】


え~昨今。
「若者のナントカ離れ」などという言葉をよく耳にしますが
世代や時代によって趣味嗜好が異なるのは当たり前の話でございます。

『「ナントカ離れ」というフレーズで世論を煽って消費を煽りたい。』
という各業界のお偉方の気持ちもわからないでもないのですが。

あいにく、今日日(きょうび)の若い方は我々の様な老人と違って広告に踊らされるほど
馬鹿じゃあございません。

「若者の宣伝離れ」
とでも表現すれば良いのでしょうか?
アタシは結構なことだと思います。


もっとも、ナントカ離れでおまんまを喰いあげている人たちにとっては笑えない話で。


例えば「若者のジャンクフード離れ」
最近の若い人たちは真面目に料理を勉強する方が多いらしいですな。
勿論、ジャンクなフードを売っている人たちにとっては大問題だ。

他にも「若者の運動離れ」という嘆きを聞く。
社会運動に市民運動、他に政治運動。
昔の若者はガリ版刷りの機関紙で簡単に騙せて引き込めたみたいですが
今は引っかかる人間を探す方が難しいらしいですな。
これじゃあデモ屋さんやスト屋さんも商売上がったりでさあ。


「若者の博打離れ」なんて話もよく耳に入ってきます。
競馬に競艇、競輪麻雀、パチンコ屋さんなんぞは今やジジババの巣窟ですな。
いやいや結構結構。
落語の中に限っても、博打で身を崩す話は非常に多い。
その博打から前途有望な若人諸君が離れて下さるんだ。
ニッポンの未来は明るいねえ。


他にも例を挙げればキリがない。
町内会だったり借金だったり暴走族だったり年賀状だったり腕時計だったり
アタシが若い頃 嫌いだったものからぜーんぶ離れてるらしい。

あっはっは!
こいつは傑作だ。

どうせなら、こういう宜(よろ)しい風潮はアタシの若い時分に訪れて欲しかったねえ。



おっと、若い頃のアタシが一番嫌いだったもんを忘れてた。
こいつからも若い衆が離れてるらしい。


何だと思います?

へへへ。




はい、この話の演題ですなwww

「若者の落語離れ」でさあ。


あっはっはっはっは。



昨日もね?
古株が酒の席でぼやいてたんですよ。



「最近の若者はケシカラン!  何でもかんでも離れやがって!
おかげで客席がガラガラになっちまった!
『若者の落語離れ』とはよく言ったもんだぜ!」


おいおいおい、馬鹿言っちゃーいけねえ。
アンタもアタシも前座の頃から客席はガラガラのポンだったでしょ。
それを若い人たちに八つ当たりなんて料簡違いにも程がありやすぜ。


「うー、まー、確かにそうかもしんねえ。
昔を知ってるおめえに言われちゃあ、そーかもしんねえなあ。
ところでこの飲み会、やけに人が少なくねえか?
俺が若い時分はもっと盛況だったぜ?」


ははは。
『若者の宴会離れ』って言ってね。
飲みたくもねえ酒に付き合う習慣が減ってるのさ。
アタシらだってそうだったでしょ?



「おー、確かにそーだ。
なあ、覚えてるかい。
師匠連中に無理やり連れまわされた時は大変だったなあ。」



あったねえ、そんなこと。
アンタもアタシも酒が弱いから
そりゃあ難儀したもんだ。


「ははは。
べそかきながら、二人で背中さすりあったなあ。」



アタシはあの頃から生意気ばかり言ってとっちめられてたが
アンタはトバッチリも気にせずいつも庇ってくれてた。   


「そんなこともあったかい?
忘れたなあ。」


ま、今の若い人達があんな目に遭わずに済むんなら
ナントカ離れも悪いもんじゃないよ。


「ま、確かにそーかもなぁ。
でもなあ、悪いモンから離れてくれるのはありがてーが
落語からも離れられちまうのは寂しいや。
そこらへん、若い衆と一度腹割って話してみたいねえ」


あーダメダメ。
『若者の議論離れ』って言ってね
アタシらみたいに誰彼かまわず議論吹っ掛ける馬鹿は、もう居ないんだよ。


「結構なことじゃねーかwww」


だろお?


「でもよお。
それじゃあ、今の若い衆は一体何に近づいてやがんだい?
飲まねえ打たねえ買わねえって、まるで年寄りみてーじゃねーか?」


ははは、そこだよおめえさん。
そうやって若い人たちは、俺達年寄りに近づいてくれてるのよ!


「そいつは大変だ!
年寄りが相手じゃあ、俺の落語が下手くそだってばれちまうぜ!」



おあとがよろしいようで。




執筆時は「世代間ギャップ」が「世代間闘争」になってしまわないように気を付けていた。
主人公を傍流の中堅落語家に据えたのはその為である。

『古株』は主人公の5・6年先輩の設定。
主人公は入門時は気難しく口煩い先輩だと思い敬遠していたが、裏で自分を含めた若手を助けていることに気づき、いつの間にか親交を結ぶようになっていた。

この様な対立軸の存在する作品に関しては、カタルシス解消の為の攻防劇ではなく、性善説に基づく和解模索譚として描きたい。


  底辺亭底辺



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コメント

入り口が広いってのは良いですね。

No.1 83ヶ月前
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