あなたは、どうすれば動じない心を作ることができると思いますか?


今回は、自分に対する自信や価値観にまつわる相談をもとに、動じない心をつくるためのオブザービング・セルフについて解説させてもらいます。


Q. 人間不信を払拭し自立したいのですが、金銭的な自立以外に自信を持つことができません。自分の価値観に問題があるのかと思っていますが、自分の価値観に影響を与える方法はあるでしょうか?


金銭的な自立以外の自立というのがよくわかりませんが、金銭的な自立をしているのであればそれでいいのではないでしょうか。

現代社会では金銭的な自立ができていればとりあえず生きていくことができます。

それができているのであれば、それで十分だと思います。


まず自信を持つということは自分を受け入れるということです。

今の状態の自分でも大丈夫だと考えることができるかどうかが重要です。

こちらの本でそんな正しい自信について学んでみてください。

大事なのは自信満々になることではなく、自分も捨てたものではないと思えることです。

1yNgbzCyIhbUJkfWYVtU6xSsMsKOTP01zGYdagln

自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる ――マインドフルネスと心理療法ACTで人生が変わる (単行本)


また、価値観を変えようとするよりも、自分の価値観を認めるために自分の性格や特性を利用することを考えてみてください

僕は協調性が低くて人にいろいろ言われて落ち込んだことも過去にありましたが、今は協調性が低かったおかげで人とは違うことが出来たと思っています。

自分の性格を変えようとするのではなく、その性格を使って成功体験を作って下さい。

そうすると、自分の性格は意外と捨てたものではないと思えるようになります。


自分の性格を否定するのではなく、利用して何か小さな事でもいいので成果を出してみてください。

そうなると自分の性格を認められるようになると思います。


以上がDaiGo師匠からのアドバイスでした。




動じない心を作る:オブザービング・セルフ


ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー) の最も重要なポイントとして、オブザービング・セルフというものがあります。

これは人間の思考や心を2つに分けて考えるという概念です。

これができるようになると、身の回りの余計なことや煩わしいことをスルーする力が上がります。


周りで起きていることや悩んでいることによって、僕たちの心は毎日揺れ動いてしまいます。

例えば、誰かに嫌なことを言われてイラッときたら、そのイラッときた感情によって、傷ついたり落ち込んだり、余計な行動をしてしまいます。


オブザービング・セルフとシンキング・セルフという2つの違いを理解するだけで、誰かに何かを言われたところで全く気にならなくなります。


例えば、皆さんの前にゾンビが現れて襲いかかってきたら、驚いてすぐに逃げると思いますが、目の前の映画でゾンビが現れて襲いかかってきても、気にせずスマホを触ったりすることができると思います。

これぐらい気にせず過ごせるぐらいの差が生まれます。


自分にとって本当に重要なもの以外は、どうでもいいものだと思えるようになります。

オブザービング・セルフを極めるというのは終わりはありません。

ネガティブな感情だけでなく、自分の余計な欲求や欲望をコントロールするためにも、常に鍛えていくものだと考えてください。


オブザービング・セルフとシンキング・セルフ

シンキング・セルフは、「思考する自己」です。

自分の中にあり、色々なことを考え、価値判断を行います。


オブザービング・セルフは、「観察する自己」です。

これも皆さんの中にあり、善悪や良し悪しを判断せず対象を観察するだけです。

この2つが皆さんの中にあります。


例えば、テニスをしていてボールが飛んできたとします。

ボールが飛んできているのを見ているのは、オブザービング・セルフです。

そのボールを見ながら、スピードが速いとか、打ち返せなかったらどうしようなどと考えるのが、シンキング・セルフです。


このように、自分の頭の中に湧いてくる思考が、オブザービング・セルフなのか? それとも、シンキング・セルフなのか? を区別できるようになってください。


例えば、ラジオで曲が流れている中で作業をしていて、目の前の作業に没頭してラジオは流れているけれど、何の曲が流れていたのかもわからないというような経験もしたことがあると思います。

もしこの時にラジオの曲の方に気を取られてしまうと、目の前の作業がおろそかになってしまいます。

ですが、目の前のやるべきことに集中していると、没頭することで、ラジオの曲も何が流れていたのかがわからなくなるわけです。


これと同じような感覚をオブザービング・セルフとシンキング・セルフを区別できるようになると作り出すことができます。


つまり、シンキング・セルフは、常に評価したり判断したりして頭の中で様々なことをつぶやいています。

余計なラジオが頭の中でずっと流れているような状況です。

それを完全に切り離して、自分のやるべきことである物事をありのままに見るオブザービング・セルフに没頭することができるようになります。


僕たちの集中力が途切れたり、人間関係や仕事で抱える悩みも、すべてシンキング・セルフが作り出しています

何の判断をすることなく目の前の問題をありのままに見ることができれば、それは単なる出来事にしか過ぎません。

そこにプラスもマイナスも何もないのに、シンキング・セルフが評価や判断を頭の中でつぶやいています。

その頭の中の判断に僕たちは惑わされてしまいます。


行動を妨げるのはシンキング・セルフ

僕たちの行動や挑戦を妨げてしまうのは、そのほとんどがシンキング・セルフによるものです。


例えば、皆さんがこれから起業しようとしたとします。

その時に、「起業したら安定を失う」「もしかしたら破産してしまうかもしれない」などと、シンキング・セルフが余計な価値判断を囁きます。

これがシンキング・セルフが作り出す恐怖のイメージです。


それによって行動が制限されてしまい、挑戦したり踏み出すことが出来なくなってしまいます。

シンキング・セルフは、人間の恐怖のイメージによってコントロールして、行動を制限することをしてしまいます。


人は怒りの感情に流されてしまうと、長期的に見た時に損をするような行動に出てしまいます。

ですが、自分の感情をちゃんと観察することができれば、自分の行動をコントロールすることもできるようになります。


怒りを感じてシンキング・セルフに流されてしまうと、その対象に手を出したり結果的に自分が損をしてしまいます。

オブザービング・セルフがしっかり働いていると、怒りを感じている自分を切り離して客観的に見ることができるようになります。

それによって、結果的に後悔する行動をとることもなくなります。


ワークその1 :10回の呼吸瞑想ワーク

まずはゆっくりと呼吸をしてみてください。

呼吸するたびに体がどのように動いているのかということに注目してください。

これをしばらく続けます。


そして、ある程度落ち着いてきたら、頭の中で浮かんでは消えていくシンキング・セルフが作り出すことに注目してみてください。

シンキング・セルフが、様々な思考を生み出しては消えて行くことを許してください


いろんな思考や話題をシンキング・セルフが作り出しますが、それに対して一切判断することなく、ただ受け流していきます。


ここでは、その浮かんでは消える思考に集中するのではなく受け流していく感覚が重要です。

シンキング・セルフが思考を作り出したらそれに気づくだけです。

シンキング・セルフがオブザービング・セルフに対して、何かしらの話題を提供してきただけです。

オブザービング・セルフは、それをただありがとうとだけ言って受け取り横に置きます。


これは瞑想がうまくできないという方にもおすすめです。

思考が浮かんできた時に、それを抑えようとすると余計にその思考にとらわれてしまいます。


思考する自己が観察する自己に話題を持ってきたら、それにありがとうとだけ言って横に置きます

これをただ続けていると、どんどん思考する自分と距離を置くことができるようになります。

これによって瞑想も上手にできるようになります。

自分の中に思考が湧いたら、オブザービング・セルフがそれを受け取ってただ横に置きます。

そして、また呼吸に意識を戻すというだけです。


瞑想で呼吸に注目すると言われるのは、呼吸というものが良いか悪いかなど価値判断はしないからです。

それと全く同じで、価値判断を全くしないオブザービング・セルフに意識を集中して、余計な思考をシンキング・セルフが作り出したら、それを受け流すというのが瞑想の極意です。


イメージとしては、オブザービング・セルフが呼吸に集中している間に、シンキング・セルフが余計な価値判断のラジオを流してくると考えてください。

そんなイメージを持ちながら、10回の呼吸瞑想を行ってみてください。

余計な思考が湧いたり、シンキング・セルフがラジオを流し始めたら、すぐにこの10回の呼吸瞑想を行うようにしてください。


ゆっくり呼吸をすればおそらく2分から3分ぐらいで終わると思いますが、慣れてきたらこの時間を少しずつ長くしてみてください。


それによって、オブザービング・セルフとシンキング・セルフを切り離します。

一旦切り離してしまえば、余計な価値判断に惑わされなくなります。


ワークその2 :イメージ脱フュージョンワーク

思考ではなくイメージが頭の中に湧いてくることがあると思います。

このイメージの力というものは非常に強力なものです。

例えば、人を説得する際も、相手の頭の中にイメージが沸くように表現したり描写することで説得力が上がります。

このイメージの力を脱フュージョンに使うワークです。


皆さんの頭の中に繰り返し湧いてくる嫌なイメージがあるとします。

例えば、仕事で失敗した時のイメージや女の子と喋っている時にスベってしまうイメージなど、嫌なイメージを想像してしまい行動できなくなることもあると思います。


そんな皆さんが繰り返し思い浮かべてしまう嫌なイメージを想像してみてください。

それを10秒から30秒ほどの TikTok のように頭の中で流してください。


ここまでだと落ち込んでしまうだけですが、ここから脱フュージョンで遊びまくります。

その皆さんが作り出したネガティブなイメージの TikTok を加工したり編集して遊びまくります


例えば、頭の中のテレビでそれが再生されていて、そのテレビをひっくり返したり回転させたり、動画を縦や横に伸ばしたり、スローや逆回転で再生させたりします。

TikTok によくあるような顔だけ猫になったりするフィルターを付けたりします。

その動画を思うままに加工して遊んでみてください。

BGM をつけたりアフレコをつけたりおもしろおかしく加工してもいいと思います。


これを1日に10秒から2分間ぐらいの間で行なってみてください。

慣れてきたら5分ぐらいで行なってみてください。


ここでのポイントはイメージを消し去ろうとしないことです。

単なる映像として、おもしろおかしく加工して遊ぶだけです。


映像として加工したり編集して遊ぶと、それは自分の中では単なる映像として認識されます。

これをしないと、シンキング・セルフが勝手に流してくる動画は、まるでそれが本当に起きていることかのように感じさせてしまいます。


仕事で失敗した時のイメージも女の子と喋っている時にスベってしまうイメージも、皆さんはそれが単なるイメージだということは理解しています。

嫌な記憶や経験があったとしても、それがまた繰り返されるとは限らないということを理解しています。


理解しているけれど、頭の中で映像が流されてしまい、それで怖くて挑戦できなくなってしまいます。

ですから、その頭の中に湧いてくるイメージが、単なる映像であり動画であると捉えられるようになるのが、このイメージ脱フュージョンです。


今回紹介するワークは全部で6つあります。

これらのワークを日常に取り入れて、動じない心で日々成長していきたい方は続きをチェックしてみてください。