名を正す のコメント

孫崎さんは「日本はいつから、こんなに“危ない”国になってしまったのか」と言われるが、明治から今日まで日本はずっと危ない国です。明治以降アジアでいち早く、そして唯一帝国主義に目覚めた国です。つまり、強いものが盗り放題の、列強の無法なバーゲンに遅れて来た新入の帝国主義国家です。帝国主義はヨーロッパ近代の産物で、領土の収奪にとても貪欲です。
遅れてやってきた新参の日本は、帝国主義の気分にあふれていて、遅れて来た分だけ盗り返せとばかり、欲張ってもっと権益を手に入れようとあがいているうちに、バーゲンは既に終わっているのにまだ会場に残っていて、力の強い警備員(アメリカ)に追い出されてしまったようなものです。
それまでの東アジアは、伝統的に冊封体制でした。中国の皇帝が朝貢をしてきた周辺諸国の君主に官号・爵位などを与えて君臣関係を結んで彼らにその統治を認めるという体制です。朝貢してきた国に対して、その何倍も土産物を持たせたので、
あまり朝貢に来られて困っていたという事情もあります。
領土の収奪には関心がありませんでしたから、事実上朝貢する側にはメリットはあってもデメリットはありません。沖縄などのように、独立を保てるからです。このような伝統の中に、アジアで帝国主義に目覚めた日本が、ひそかに沖縄、尖閣、台湾などに領土的野心をもってその収奪を画策して実行し、そのあげく、満州は日本の生命線などと平気で言うほど領土欲に取りつかれてきたと言うのが戦前の歴史です。
戦後は平和憲法で日本は変わったと思うのは間違いで、冷戦期に焼け太りした日本は、高度成長時代、再びおごり高ぶってアジア蔑視の本領を発揮し、東南アジアへの農協団体の買春ツアーなど、エコノミックアニマルと言われて世界のひんしゅくを買っていたのを思い出します。
体質は変わっていませんから、9条がありながら、自衛隊の存在にも平気なのです。安倍氏のような人間が、しかも2回も首相になるほど、体質は変わっていないのです。歴修正主義などという高度なことではなく、単に歴史意識が希薄なだけです。過去も未来も重要でなく、今、ここ、自分、これが最も重要な価値観で、だから福島の事故にもかかわらず原発再稼働はするし、たった70年前の歴史を顧みることなく戦争法案に邁進できるのです。明確な憲法違反をしてしまった政権の支持率がまだ30%台であるのも驚きではなく、当然でしょう。

No.6 111ヶ月前

このコメントは以下の記事についています

継続入会すると1ヶ月分が無料です。 条件を読む

孫崎享チャンネル

孫崎享チャンネル

月額
¥110  (税込)
このチャンネルの詳細