名を正す のコメント

先の戦争で、それ程の被害を与えてしまったのだという認識がなければ、謝罪することは難しいだろう。謝罪したとしても、口先の形だけで、時間が立つとすぐ忘れて本音が出てしまうことになる。戦後の日本は、これを繰り返している。謝った先から、閣僚の失言が出て、騒ぎになり、「そういう意味で言ったのではない、誤解を与えたとしたら申し訳ない」という形で、ますます不信感をまき散らすことになる。安倍首相も、就任後は「侵略の定義は国際的に定まっていない」述べて、謝罪することを避けてきたではないか。相手国から見て、このような人を信用できるだろうか。
そもそも謝罪とは、加害側が被害側と対等の立場で行うものではない。マイナスからのスタートなのである。それだけの被害を与えたわけだから。つまり、「こんなことをしてしまって、すみません。いまさら取り返しはつきませんし、謝ってすむことではありませんが、何とか許してください」というのが謝罪する側の基本的態度である。それを、こちらは謝るから相手は許して当然だと思いこんでいる。はたして許してくれるだろうかという思いは全くない。だからこそ、平気で「何度謝ったらすむのか」というとんでもない言葉が口を突いて出てくる。会社の仕事でも同じでしょう。明らかにこちらに非があり、多大な被害を与えておきながら、上記のような態度で謝罪に行ったとすれば、うまくいくわけがない。その上、謝った後で、別に悪くはなかった、何度謝ればすむのかなどとうそぶけば、火に油を注ぐことになる。
結論を言えば、長年にわたって甚大な被害を与えられた他者の痛みがわからないということであり、どうしても他者の痛みが自分のこととして理解できないということに、すべての原因がある。だから本気で、誠実に心からあやまることが出来ない。要するに、自己と他者の関係がわからない未熟な人間であるということ。もっとも、沖縄の犠牲者や、福島原発の犠牲者など、自国の国民の痛みにすら鈍感なのだから、求める方が無理か。大人になって、もっと成熟した人間になって出直しなさい。いい年をした、しかも総理や国会議員であるものに、今さらこんなことを言っても仕方がないが。

No.5 115ヶ月前

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