PL紳士 のコメント

最高裁の判決が出るたびに思うことがある。殆どの判決が政権寄りで、真に国民の方を向いた判断になっていない。裁判官が内閣によって指名される以上、ある程度はやむを得ないにしても、いくつか問題をはらんでいる。

 まずは、裁判官の選考過程がまったくブラックボックスで国民にいっさい明らかにされていないこと。15名の裁判官の出身分野が、以前からずっと裁判官6名、弁護士4名、検察官2名、行政官2名、学者1名に固定されたままだが、その根拠はただ従来からの慣例というのみで、法的なものがあるわけでも何でもない。

 裁判官出身および検察官の裁判官はそろって保守的で、殆どが政権寄りの判断しか下そうとしない。国民にとって頼りにできるのは弁護士出身の裁判官にほぼ限られている(今回の判決でも、「憲法違反」判断を下した4名の裁判官中、3名までが弁護士出身の裁判官で占められている)。

 政権べったりの判決しかしようとしない最高裁の現状を改めることは、実は簡単である。裁判官の出身分野別の比率を変えて、弁護士出身の裁判官の数を増やせば良いのだ。
 それと、裁判官の選考過程を明らかにするとともに、例えばできればアメリカのように選任に議会の承認を必要とするようにでもしたい。

 最高裁の裁判官については、せっかく国民審査の制度が設けられているのであるから、これを少しでも有効に機能させるべく、メディアも判決が出される都度、各裁判官の個別の判断結果を細かく国民に伝えることが大切である。現状では、国民審査に必要な情報がまったく不足している(各家庭に配られる広報には、各裁判官の「抱負」「趣味」など、まったく下らない項目が並んでいるが、ナンセンスである)。

 いずれにしても、司法に対する国民の関心があまりに低すぎる。日本の現状を改めさせるカギは、何も国会議員の選挙ばかりではない。司法の抜本改革が待たれる。

No.3 121ヶ月前

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