(・・・続きます・・・) それで、やはりそういった「見識」や「哲学」の差が、目には見えない、 理屈にできないところで、大局に影響してくることがある。 その良い例が、ウクライナ問題だと思っています。 問題が深刻化した原因は、欧米側に「自制」ができなかったこと。 そして、「自制の必要性」を自覚するためには、相手への理解や配慮、 ウクライナの歴史、冷戦時代の失敗に学ぶ、などといった、一見すると 国益とは無関係に思える、「見識」や「哲学」が必要になります。 ご存知の通り、ウクライナ政変は、米国の覇権を維持しようとする 好戦派のネオコンと、近視眼な戦略家達によって引き起こされました。 彼らの頭の中にあるのは、短絡的な「利益と覇権の追求」のみ。 これに対して、90歳になるキッシンジャー博士は、 別の視点から異議を唱えている。 <プーチンは大国主義・拡張主義の権化だろうか? > http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2014/589.html 下記に要約します。 ・ウクライナはロシア発祥の地であり、西側は、ロシアにとって 特別な地であることを理解しないといけない →(つまり、ウクライナを奪われると、ロシアは激怒する) ・ウクライナは国としての歴史が浅く、指導者には妥協することを 知らない未熟者が多い →(つまり、過激な民族主義に走る未熟者がいる) ・プーチンとアメリカは、互いの価値観を理解することが難しい →(つまり、辛抱強く相手を理解する努力をするべき) ・双方の指導者は強硬さを競争するのではなく、結果がどうなるかを 冷静に見極めるようにするべきだ →(つまり、一歩間違えると、第三次世界大戦、核戦争に発展する) 上記の通り、一見すると関係のない、「ロシア歴史」や「価値観の違い」 といった観点を含めた、多面的・複合的な要因に基づく判断をしている。 「利益と覇権」だけを追求すると失敗することを知っているわけです。 こういった合理性だけの戦略だけに拘らないのは、戦略家としての奥深さ である、「見識」や「哲学」の差なんだろうと思います。 ただ、注意したいのは、キッシンジャーは、あくまで「戦略家」であり、 「社会学者」ではありません。 フレデイさんが前に指摘したように、キッシンジャーの「指導理念」 では、21世紀の多極型世界を運営していくことは困難だと思います。 また、氏の「最大の欠点」はユダヤ人であり、中東政策をイスラエルの 国益を優先させることで失敗に導いているところでしょうか。
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(・・・続きます・・・)
それで、やはりそういった「見識」や「哲学」の差が、目には見えない、
理屈にできないところで、大局に影響してくることがある。
その良い例が、ウクライナ問題だと思っています。
問題が深刻化した原因は、欧米側に「自制」ができなかったこと。
そして、「自制の必要性」を自覚するためには、相手への理解や配慮、
ウクライナの歴史、冷戦時代の失敗に学ぶ、などといった、一見すると
国益とは無関係に思える、「見識」や「哲学」が必要になります。
ご存知の通り、ウクライナ政変は、米国の覇権を維持しようとする
好戦派のネオコンと、近視眼な戦略家達によって引き起こされました。
彼らの頭の中にあるのは、短絡的な「利益と覇権の追求」のみ。
これに対して、90歳になるキッシンジャー博士は、
別の視点から異議を唱えている。
<プーチンは大国主義・拡張主義の権化だろうか? >
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2014/589.html
下記に要約します。
・ウクライナはロシア発祥の地であり、西側は、ロシアにとって
特別な地であることを理解しないといけない
→(つまり、ウクライナを奪われると、ロシアは激怒する)
・ウクライナは国としての歴史が浅く、指導者には妥協することを
知らない未熟者が多い
→(つまり、過激な民族主義に走る未熟者がいる)
・プーチンとアメリカは、互いの価値観を理解することが難しい
→(つまり、辛抱強く相手を理解する努力をするべき)
・双方の指導者は強硬さを競争するのではなく、結果がどうなるかを
冷静に見極めるようにするべきだ
→(つまり、一歩間違えると、第三次世界大戦、核戦争に発展する)
上記の通り、一見すると関係のない、「ロシア歴史」や「価値観の違い」
といった観点を含めた、多面的・複合的な要因に基づく判断をしている。
「利益と覇権」だけを追求すると失敗することを知っているわけです。
こういった合理性だけの戦略だけに拘らないのは、戦略家としての奥深さ
である、「見識」や「哲学」の差なんだろうと思います。
ただ、注意したいのは、キッシンジャーは、あくまで「戦略家」であり、
「社会学者」ではありません。
フレデイさんが前に指摘したように、キッシンジャーの「指導理念」
では、21世紀の多極型世界を運営していくことは困難だと思います。
また、氏の「最大の欠点」はユダヤ人であり、中東政策をイスラエルの
国益を優先させることで失敗に導いているところでしょうか。