民主主義は歴史上かつて一度たりとも国民全体の意見を反映するものであった事はない。 古代ローマのアゴラにおいて政治論の中心にいたのは有資格の市民だけであり、奴隷の発言は無視された。 英国におこった近代民主主義において、民主主義の実践者として王に対抗したのは貴族と地主、富裕な土地持ちの農民、商人だけであり、小作人や都市の下積み市民には代表を選ぶ権利すらなかった。 さらに、その英国に謀反を起こし、やがって独立を果たした北米大陸の植民地においても、投票権は国民全体ではなかった。 今のように、ほとんどの国民に投票権が認められたのは20世紀以降である。全国民に投票権を与えれもうまく機能するかどうかという問いに対する答えは歴史には見つからない。国民の大多数は、社会全体を見渡し、合理的な結論(たとえば原発は是か非か、軍備は必要か不要かなどの答え)を導くための知識もほとんど持っていない。そんな状態でどうして民主主義が働くと思うのか。不思議である。
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孫崎享チャンネル
(ID:32175174)
民主主義は歴史上かつて一度たりとも国民全体の意見を反映するものであった事はない。
古代ローマのアゴラにおいて政治論の中心にいたのは有資格の市民だけであり、奴隷の発言は無視された。
英国におこった近代民主主義において、民主主義の実践者として王に対抗したのは貴族と地主、富裕な土地持ちの農民、商人だけであり、小作人や都市の下積み市民には代表を選ぶ権利すらなかった。
さらに、その英国に謀反を起こし、やがって独立を果たした北米大陸の植民地においても、投票権は国民全体ではなかった。
今のように、ほとんどの国民に投票権が認められたのは20世紀以降である。全国民に投票権を与えれもうまく機能するかどうかという問いに対する答えは歴史には見つからない。国民の大多数は、社会全体を見渡し、合理的な結論(たとえば原発は是か非か、軍備は必要か不要かなどの答え)を導くための知識もほとんど持っていない。そんな状態でどうして民主主義が働くと思うのか。不思議である。