折角20代の諸君宛に書いた孫崎さんの文章に年寄りの私がケチをつけるのは申し訳がないが、
１）「この選挙は原発をテーマにしての選挙であった」と決めつけるのは、原発をテーマにしての選挙出あって欲しかったと思う孫崎さんの意向を述べたに過ぎず、選挙結果からそれを演繹することは無理であろう。
２）「原発の事故当時に１８歳以下だった子どもの甲状腺検査で、結果がまとまった２５万４千人のうち７５人が甲状腺がんやがんの疑いがあると診断された」と２月７日付朝日新聞が報道したのは事実だろうが、日本経済新聞記事ではその文章に続けて、「しかしそれは放射能による効果とは認められない」とした調査委員会の委員長の発言を報告している。朝日新聞ないしは孫崎氏が故意に偏った報道をしていると思われる。
３）原子力発電所には一基あたり約５万本、総延長１２０キロパイプが走っていると言われる。冷却水等の稼働は事故防止に不可欠である。しかし、大地震でこれが正常に固定されているとは考えにくい」と孫崎さんは言うが、「考えにくい」と言っているのは、多分配管系および配管工事（配管の種類と強度、その固定方法）並びに地震の振動において縦波と横波とは何をいみするかについても知らない（だろうと思われる）素人の孫崎氏の想像に過ぎないのではないか。120キロメートルという長さを挙げるのは一見科学的に見せかける言葉のトリックにすぎない。危険性だという結論を導く論理が全く欠けている。
田母神氏に若い世代が投票したのは孫崎氏の指摘どおり、若い世代が戦争の原因と実体について無知だからであり、また、戦後生まれで彼自身戦争を経験しておらず、戦争を机上の空論として捉えている田母神氏の言葉に酔っているに過ぎない。なにしろ、田母神氏は結構人当たりの良い、おどけることの好きな（すなわち真剣な議論よりムード的な議論を好むかそれしかできない）おもちゃの兵隊さんだ。空将に上り詰めたといっても、彼は自衛隊の飛行機には50時間しか乗ったことのない、パイロットとしての経験もない、むしろ事務屋さんなのである。安部首相は自民党が桝添氏を党として応援することを決めているのに、1月30日田母神氏の応援演説にで演説したことで、馬脚を現した。今後党内で批判が高まるかも知れない。