国会中継を見ていると、答弁に立った大臣が「仮定の質問にはお答えできません」という場面をよく見る。おそらく官僚の書いた答弁書を読んでいるのだろうが、将来起こり得ることを想定し、それに対処することこそ、政治に不可欠なのではないだろうか。だが、小学校時代から「優等生」だったはずの官僚たちは、先生の言ったことは丸暗記していても、「今後起こり得ること」を想定し、対策を考える能力はないらしい。 だから日米交渉で米国になにか言われると、反論もできず、素直に従ってしまうのだろう。原発を54基も稼働させながら、事故が起きては困るから「起きないでほしい」という願いが、「起きないはず」に変わり、事故の備えを怠ってきたから、いまだに汚染水処理の方法も見つからず、右往左往を続けている。 欧米では、小学校からディベート教育をしている。年齢に合わせたテーマについて、賛成派と反対派に別れて議論させるのだ。所定時間が来たら賛否を交代して、逆の主張をさせる。これによって、多様な考え方があることが身につくのだという。我が国で、こうした教育をなぜやらないのか、文部科学省に聞いてみたいものだ。
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孫崎享チャンネル
(ID:18982160)
国会中継を見ていると、答弁に立った大臣が「仮定の質問にはお答えできません」という場面をよく見る。おそらく官僚の書いた答弁書を読んでいるのだろうが、将来起こり得ることを想定し、それに対処することこそ、政治に不可欠なのではないだろうか。だが、小学校時代から「優等生」だったはずの官僚たちは、先生の言ったことは丸暗記していても、「今後起こり得ること」を想定し、対策を考える能力はないらしい。
だから日米交渉で米国になにか言われると、反論もできず、素直に従ってしまうのだろう。原発を54基も稼働させながら、事故が起きては困るから「起きないでほしい」という願いが、「起きないはず」に変わり、事故の備えを怠ってきたから、いまだに汚染水処理の方法も見つからず、右往左往を続けている。
欧米では、小学校からディベート教育をしている。年齢に合わせたテーマについて、賛成派と反対派に別れて議論させるのだ。所定時間が来たら賛否を交代して、逆の主張をさせる。これによって、多様な考え方があることが身につくのだという。我が国で、こうした教育をなぜやらないのか、文部科学省に聞いてみたいものだ。