しょうちゃん のコメント

日本がアメリカの属国であることは、敗戦後の事実であることを認めないわけにはいかない。日本以外の国はそのことを承知している。しかし、当の日本国民はそれを認めたくないというのも事実である。属国であるという事実、その事実を認めたくないという事実。つまり、日米関係に現れている客観的事実と、国民の心理的な事実、どちらも事実であるが、その事実が相反しているということである。ここに、心理学でいう典型的な「認知的整合性理論」があてはまる事態が生じている。属国であるという不愉快な事実を認めたくないがゆえに、政府は一見独立国家のように国民に対して振る舞い、一方でアメリカに対しては秘密裏に属国としてアメリカの要求に従う。安保条約、北方領土、沖縄返還などにまつわる密約や裏話は属国そのもののあり方だが、属国であることを正面から受け止められるだけの覚悟と耐力が国民にはない以上、この事態は今後も続くであろう。原発事故の対応にも同じ反応が現れている。事故の引き起こしている悲惨な状況を直視できないがゆえに、根本的対策が常に後手に回ることになる。できれば原発事故はなかったことにしたい。しかし、いくらそう願っても、放射能による汚染は待ってくれない。見て見ぬふりをしても物理的事実だけは待ってくれず、容赦なく襲ってくる。必要なことは、現実を直視し、敗戦を終戦などと言い換えたり、冷温停止しているということだけで事故の収束宣言をしたりせず、まず事態を正確に表現することである。この点で、マスコミの劣化は目に余るが、よく考えれば、これは今に始まったことではなく、戦前から続いている現象である。病の根は深い。

No.2 136ヶ月前

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