著者が旧ソ連やイギリスやカナダでの、また駐イラン大使や駐ウズベキスタン大使、さらには外務省国際情報局局長としての経験中に接した諸外国のスパイについて書かれた注目の書。ご本人から「こういう本を今準備している」と知らされていたもので、人生を賭けた書に思えた。ご本人は注意に注意を重ねてスパイと恋仲などになったりはしてないが、そういう深みにはまった多くの外国の外交官の話も出てきて「外交官の実際」がよくわかる。情報収集活動部門で主に活動した「スパイ」の実際である。後にMI6の幹部になる人物や旧ソ連でKGBに囲まれて生活すると「スパイの実態」がここまでリアルに書けるようになる、ということだろうか。最後には安倍晋三暗殺事件の怪についても謎にも触れられている。
 また、「情報の収集と分析」の最前線の話では、ニクソンの訪中を予測した外務省内の意見を上層が最後まで「ありえない」としていたという話や、CIAがイラ