妄想の万年中年 のコメント

TSMCの創業者であり、製造専門の台湾電気・電子工業に多大なる貢献をしたモーリス・チャンという人物がいる。
1990年代、米国が国家として情報通信産業を育てるため、サンノゼにベンチャーキャピタルや経験豊かな技術者を集め、秀でたアイデアに対し投資を行い、その金で技術者を集め開発を行った。
半導体の場合、CADツール(ケイデンスやメンター社など:設計・検証・パターン設計などの一連の設計開発ツール)にTSMC社の製造データも採用させたのは、TIの半導体トップであったチャン氏の人脈の広さのおかげであった。数社の試作品を一つのレティクル(焼き付けマスク)に入れ、製造単価を数社で分担するシステムを採用することで、ほぼすべてのベンチャーがIBMでなくTSMCの製造ラインを採用した。
ベンチャー企業をM&Aした大手半導体企業も、製造はTSMCに委託するようになってしまった。米国での製造を守り続けたインテルも現在倒産に瀕している。米国には、多くの半導体製品設計の資産があるが、TSMCがなければ製品として作ることができない状態に陥っている。
チャン氏は台湾でなく大陸の出身者であり、中国の最大手のシリコンファンドリーSMIC社の創業者はTI時代の彼の部下であることを考えると、中国半導体の父でもあるし、また習近平氏とも面識がある。
米国にとって、台湾の危機は米国の危機でもある。
TSMCの熊本工場や、米マイクロン社の広島工場における10nm以下の開発が、米国の危機緩和になればよいのだが。

No.4 1ヶ月前

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