現下の世界情勢を巨視的に考えると、多極化或いは反グローバリズムにどう対応するか、という観点がもっとも重要だと考えている。しかし、自民党新総裁に選出された石破氏他、そのような観点から国際政治、世界情勢を論じた政治家は皆無であった。 多極化、反グローバリズム、さらにはDSという言葉は、国際政治経済のキーワードとして、環球時報やRTといった中露メディアには普通に使用されている。トランプの言動即ちMAGAとか、アメリカ第一主義も反グローバリズムだし、欧米でも、フランスのルペン氏やイタリアのメローニ氏、ドイツAFDの主張は本質的にEUに対する国家主権の対置或いは独立ということだろう。 反グローバリズム=一極覇権の否定である。だから、これは必然的に多極化になる。 従って、世界情勢において、多極化、反グローバリズム、さらには反DSということは、事実現実として一つの潮流である。この事実現実としての潮流を日本の政治家は、ほぼ語ることはない。 この時代錯誤は、確実に国益を棄損するだろう。なぜなら、多極化を認めない、或いは理解しない発想は旧態依然たるアメリカ帝国への依存傀儡を容認する思想と行動に陥るから。つまり、既に崩壊した冷戦型思考という誤りである。 冷戦は日米安保体制による強固なアメリカ従属の大前提であった。しかし、ソ連邦崩壊により冷戦も消え去った。その後、中国の勃興や新興グローバルサウスにより、アメリカ帝国の覇権はますます低下している。その米帝覇権低下の、一つの現実的選択肢としてトランプ登場であった。 今や、日米安保体制は完全に冷戦の遺物であり、桎梏である。何故なら、核の傘は存在しないのに、アメリカ帝国に対する基地提供義務のみがあるから。 核の傘がないということは、日本は中露に戦争において敗北する、ということだ。だから、単に米軍基地は標的になるだけであろう。そして、沖縄をはじめ、周辺住民は無意味に無慈悲に死ぬ。勿論、アメリカ帝国本国国民は死なない。傍観するだけだ。 このあり得る状況が想定出来ない日本人は愚かとしか、言いようがない。 しかし、愚かなのはB層だけではない。自民党総裁選で見せつけられたのは、多極化や反グローバリズムの認識のない、旧態依然たる冷戦思考様式の政治家、否政治指導者ばかりなのが、日本の現実だということである。 日本には、未だに、アメリカ帝国と同盟して、中国に勝つ、みたいな非現実的空論を語るB層は多い。 政治指導者まで、そんなB層と同レベルでは、国民ほぼ全てB層になる。 核抑止力がない日米同盟は無意味だ。その事実現実を、本来政治家は正面から、国民に問わなければならない。その時、初めて、では核武装するか、否かが問われる。 私はあくまで核武装反対だ。 いずれにせよ、私が問題だと考えるのは、核の傘=核抑止力が日米同盟において機能しないのに、未だに、アメリカ帝国と同盟して中国に勝つみたいなトンチンカンな非論理を平然と語れる思考様式である。この思考様式が問題なのは、結果的にアメリカ帝国に従属し、日本の国土をアメリカ帝国の軍事基地=中露等の攻撃目標に提供し、オスプレイやパトリオットみたいなガラクタ武器を永遠に買わされ、アメリカ帝国軍産複合体に奉仕することにしかならないことだ。 これはゼッタイに国益にならない。それどころか、アメリカ帝国の駒として、進んで日本が戦争に突撃し、国民の命と財産を喪失に晒す道だと考える。 だから、私は自民党総裁選に絶望、失望しか感じない。 だが、私としては石破氏は消去法的な無難な選択という評価である。小泉、上川はアメリカ帝国の単なる傀儡。高市は、私は信用していないから。
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現下の世界情勢を巨視的に考えると、多極化或いは反グローバリズムにどう対応するか、という観点がもっとも重要だと考えている。しかし、自民党新総裁に選出された石破氏他、そのような観点から国際政治、世界情勢を論じた政治家は皆無であった。
多極化、反グローバリズム、さらにはDSという言葉は、国際政治経済のキーワードとして、環球時報やRTといった中露メディアには普通に使用されている。トランプの言動即ちMAGAとか、アメリカ第一主義も反グローバリズムだし、欧米でも、フランスのルペン氏やイタリアのメローニ氏、ドイツAFDの主張は本質的にEUに対する国家主権の対置或いは独立ということだろう。
反グローバリズム=一極覇権の否定である。だから、これは必然的に多極化になる。
従って、世界情勢において、多極化、反グローバリズム、さらには反DSということは、事実現実として一つの潮流である。この事実現実としての潮流を日本の政治家は、ほぼ語ることはない。
この時代錯誤は、確実に国益を棄損するだろう。なぜなら、多極化を認めない、或いは理解しない発想は旧態依然たるアメリカ帝国への依存傀儡を容認する思想と行動に陥るから。つまり、既に崩壊した冷戦型思考という誤りである。
冷戦は日米安保体制による強固なアメリカ従属の大前提であった。しかし、ソ連邦崩壊により冷戦も消え去った。その後、中国の勃興や新興グローバルサウスにより、アメリカ帝国の覇権はますます低下している。その米帝覇権低下の、一つの現実的選択肢としてトランプ登場であった。
今や、日米安保体制は完全に冷戦の遺物であり、桎梏である。何故なら、核の傘は存在しないのに、アメリカ帝国に対する基地提供義務のみがあるから。
核の傘がないということは、日本は中露に戦争において敗北する、ということだ。だから、単に米軍基地は標的になるだけであろう。そして、沖縄をはじめ、周辺住民は無意味に無慈悲に死ぬ。勿論、アメリカ帝国本国国民は死なない。傍観するだけだ。
このあり得る状況が想定出来ない日本人は愚かとしか、言いようがない。
しかし、愚かなのはB層だけではない。自民党総裁選で見せつけられたのは、多極化や反グローバリズムの認識のない、旧態依然たる冷戦思考様式の政治家、否政治指導者ばかりなのが、日本の現実だということである。
日本には、未だに、アメリカ帝国と同盟して、中国に勝つ、みたいな非現実的空論を語るB層は多い。
政治指導者まで、そんなB層と同レベルでは、国民ほぼ全てB層になる。
核抑止力がない日米同盟は無意味だ。その事実現実を、本来政治家は正面から、国民に問わなければならない。その時、初めて、では核武装するか、否かが問われる。
私はあくまで核武装反対だ。
いずれにせよ、私が問題だと考えるのは、核の傘=核抑止力が日米同盟において機能しないのに、未だに、アメリカ帝国と同盟して中国に勝つみたいなトンチンカンな非論理を平然と語れる思考様式である。この思考様式が問題なのは、結果的にアメリカ帝国に従属し、日本の国土をアメリカ帝国の軍事基地=中露等の攻撃目標に提供し、オスプレイやパトリオットみたいなガラクタ武器を永遠に買わされ、アメリカ帝国軍産複合体に奉仕することにしかならないことだ。
これはゼッタイに国益にならない。それどころか、アメリカ帝国の駒として、進んで日本が戦争に突撃し、国民の命と財産を喪失に晒す道だと考える。
だから、私は自民党総裁選に絶望、失望しか感じない。
だが、私としては石破氏は消去法的な無難な選択という評価である。小泉、上川はアメリカ帝国の単なる傀儡。高市は、私は信用していないから。