野坂の本は一冊も読んだことがない。
でも同時代を生きたから名前くらいは知っているし
あちこちに書いた雑文なら読んだこともある。

鮮烈な思い出なのが、ベトナムの枯れ葉剤双生児
ベトちゃんドクちゃんの話。

野坂はこの双生児を世に出した側を鋭く批判した。
こんなバケモノは誰も見たくないはずと
言いたかったようだ。

昔の医者なら、出産時ひっそりと人目に触れないように
処理するたしなみがあったはずとまで書いた。

それ以降、野坂昭如の正体見たり、
わたしにとって口にするのも汚らわしい男となった。