りゃん のコメント

わたしはゆとり教育世代で、こどものころは親戚のおじさんに
ゆとりちゃんと呼ばれたりしていた。

そのころにもこの手の議論がよくあった。
「エクセターのハークネス法」のはなしではなく、もっと漠然と、
「米国の教育では討論を重視している」というようなはなしだったとおもう。
それを聞いてわたしは、数学を討論でどうやって学ぶのだ、とかおもったりしていた(※)。

※日本の中学高校レベルの数学のはなしである。

いま「エクセターのハークネス法」のはなしを聞いてやはり同じことをおもうが、一方で、たとえば今のガザ戦争の問題を教えるなどは、そういう教育が適しているだろうと想像する。ただし、うまくいかせるには、生徒の資質はもちろんだが、それ以上に教師の実力が重要だろう。生徒ひとりひとりの議論を聞きながらうまく気づきを与え、突拍子もない質問にも適切に答え、全体の方向性をそれとなく誘導してゆくというのは、なみたいていのことではない。

さらに想像するのは、「エクセターのハークネス法」は「既存の知識を理解する教育」と別に矛盾しない。生徒たちは、エクセターに入学する時点で、すでに同年代の生徒の2年も3年も先の知識を身につけているかもしれない。また、エクセターの後、推薦で大学にすすめば、多分あきれるほどの詰め込みが必要だろう。

そう考えてくると、「エクセターのハークネス法」は、「既存の知識を理解する教育」を不要だと考えるべき事例だというよりも、適切に議論討論をおこなうことの重要性を認識すべき事例だと考えるべきではないかと思う。

さらにいうと、これは結局米国のエリート教育の伝統に根ざすものであり、米国では実際にうまくいっているのだろうが、仮に日本に導入してうまくいくかはまた別の問題だとおもうのだが、そこまで展開するのは想像がすぎるのでやめておく。

No.8 10ヶ月前

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