アメリカ帝国の大統領選挙に直接的に関係するわけではないが、アメリカ帝国に匹敵する軍事大国であり、核大国であるロシアが、国際情勢やアメリカ帝国をどのように見て、評価しているのかは、国際政治の中にアメリカ帝国大統領選挙を位置づけた時に重要な要素であると考えている。 去る11月後半から12月始めにかけて、モスクワにある「HSE大学」(国立研究大学経済高等学院)において開催されたシンポジウムに田中宇氏が参加されたとのことで、この間、同氏による「田中宇の国際ニュース解説」HPにおいて報告を書いておられる。 その際配布された「世界の多数派に向けたロシアの政策」と題された冊子の翻訳を田中氏が上記ニュースサイトに掲載してくれているので、そこから若干ロシアによるアメリカ帝国や西側の評価を引用させていただく。 この冊子は、「ロシア連邦外務省の後援のもと、高等経済学校世界経済・国際問題学部、外交防衛政策評議会、および『グローバル・アフェアーズ』誌ロシアによる状況分析プログラムの一連の研究、会議、状況分析セッションを経て作成された」とのことである。 https://tanakanews.com/231201majority2.htm (★が引用。但し、引用は個人的に刺さった部分の単なる箇条書き的抜き取りなので、脈絡や論理構成は関係ありません) ★この報告書で使われているワールド・マジョリティという用語は、米国および米国が後援する組織と拘束的な関係を持たない非西洋諸国の共同体を意味する。 ★今起きている多極化は、戦場の米覇権の終わりだけでなく、コロンブス以来の西側の世界支配の終わりにもなる。 ロシアと西側の対立は、地政学的、地理経済学的だけでなく、価値観や完全な文明論的性格を持つ根本的なものであるため、対立が長期化することを意味する。 ★ロシアがアメリカや西側の覇権から解放された世界で自由で安全な発展を遂げる権利を守るか、アメリカとその同盟国がロシアを独立した統一国家として排除するかのどちらかである。 西側の大部分との関係を中期的にでも正常化することは、不可能であるばかりでなく、有益でもない。なぜなら、今後15年から20年の間に、深刻な紛争が頻発する不安定な世界で生きていくために、ロシア経済と社会を再構築することや、ロシアを新たな市場へと方向転換させることから注意をそらすことになるからである。 国交正常化が実現した暁には、世界大国の中心的立場のひとつであるロシアの立場から実行されなければならない。 ★ロシアは、西側諸国との闘争の最前線に立つ勢力であり、それは偶然ではなく、その歴史と民族的アイデンティティのためである。 したがって、西側のロシアに対する攻撃は、世界的多数派の解放と戦うことを目的としている。 ★これらの国々とその国民は、我々と正常な人間的価値観を共有している(彼らはしばしば保守的と呼ばれる)。 現代西洋のエリートたちが彼らの社会や全世界に押し付けているポスト・ヒューマン、さらにはアンチ・ヒューマンな価値観に対抗して、これらの価値観の周りに団結することは、ロシアの対世界多数派政策の重要な部分である。 ★過去何世紀にもわたる西洋のイデオロギーやその他の支配は、世界の自然な姿を歪め、地域全体や個々の国の発展を歪めてきた。 ★イデオロギーという概念そのものが西洋文明の産物である。 ★この30年間に起こったことは、世界の発展の共通項には当てはまらないほど過激な行き過ぎであり、実際、ほとんどの国(東欧諸国さえも含む)から拒絶されている。 言い換えれば、西洋は自らを孤立させ、その特異性を露呈させているのである。それは、ヘゲモニーとしてではなく、数ある文明の中のひとつの文明として当然のことなのだが。 ★西洋で現在進行中の自由主義思想の過激な変異は、国際化の対象とはならない西洋文明特有の産物として分類されるべきである。 ★環境問題から現代技術に関連する倫理的問題に至るまで、人類の発展に対する最も深刻な課題に対して、異なる文明の文化的・哲学的伝統と一致する独自の対応が必要である。 欧米のアジェンダに盲従することは、役に立たないだけでなく、有害でもある。 とりあえず、以上であるが、全文は田中宇氏のニュースサイトを参照されたい。こうして羅列してみて、言えるのは、どちらかと言うと、ロシアの見方は共和党トランプ派と親和性が高いと言えよう。
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アメリカ帝国の大統領選挙に直接的に関係するわけではないが、アメリカ帝国に匹敵する軍事大国であり、核大国であるロシアが、国際情勢やアメリカ帝国をどのように見て、評価しているのかは、国際政治の中にアメリカ帝国大統領選挙を位置づけた時に重要な要素であると考えている。
去る11月後半から12月始めにかけて、モスクワにある「HSE大学」(国立研究大学経済高等学院)において開催されたシンポジウムに田中宇氏が参加されたとのことで、この間、同氏による「田中宇の国際ニュース解説」HPにおいて報告を書いておられる。
その際配布された「世界の多数派に向けたロシアの政策」と題された冊子の翻訳を田中氏が上記ニュースサイトに掲載してくれているので、そこから若干ロシアによるアメリカ帝国や西側の評価を引用させていただく。
この冊子は、「ロシア連邦外務省の後援のもと、高等経済学校世界経済・国際問題学部、外交防衛政策評議会、および『グローバル・アフェアーズ』誌ロシアによる状況分析プログラムの一連の研究、会議、状況分析セッションを経て作成された」とのことである。
https://tanakanews.com/231201majority2.htm
(★が引用。但し、引用は個人的に刺さった部分の単なる箇条書き的抜き取りなので、脈絡や論理構成は関係ありません)
★この報告書で使われているワールド・マジョリティという用語は、米国および米国が後援する組織と拘束的な関係を持たない非西洋諸国の共同体を意味する。
★今起きている多極化は、戦場の米覇権の終わりだけでなく、コロンブス以来の西側の世界支配の終わりにもなる。
ロシアと西側の対立は、地政学的、地理経済学的だけでなく、価値観や完全な文明論的性格を持つ根本的なものであるため、対立が長期化することを意味する。
★ロシアがアメリカや西側の覇権から解放された世界で自由で安全な発展を遂げる権利を守るか、アメリカとその同盟国がロシアを独立した統一国家として排除するかのどちらかである。
西側の大部分との関係を中期的にでも正常化することは、不可能であるばかりでなく、有益でもない。なぜなら、今後15年から20年の間に、深刻な紛争が頻発する不安定な世界で生きていくために、ロシア経済と社会を再構築することや、ロシアを新たな市場へと方向転換させることから注意をそらすことになるからである。
国交正常化が実現した暁には、世界大国の中心的立場のひとつであるロシアの立場から実行されなければならない。
★ロシアは、西側諸国との闘争の最前線に立つ勢力であり、それは偶然ではなく、その歴史と民族的アイデンティティのためである。
したがって、西側のロシアに対する攻撃は、世界的多数派の解放と戦うことを目的としている。
★これらの国々とその国民は、我々と正常な人間的価値観を共有している(彼らはしばしば保守的と呼ばれる)。 現代西洋のエリートたちが彼らの社会や全世界に押し付けているポスト・ヒューマン、さらにはアンチ・ヒューマンな価値観に対抗して、これらの価値観の周りに団結することは、ロシアの対世界多数派政策の重要な部分である。
★過去何世紀にもわたる西洋のイデオロギーやその他の支配は、世界の自然な姿を歪め、地域全体や個々の国の発展を歪めてきた。
★イデオロギーという概念そのものが西洋文明の産物である。
★この30年間に起こったことは、世界の発展の共通項には当てはまらないほど過激な行き過ぎであり、実際、ほとんどの国(東欧諸国さえも含む)から拒絶されている。
言い換えれば、西洋は自らを孤立させ、その特異性を露呈させているのである。それは、ヘゲモニーとしてではなく、数ある文明の中のひとつの文明として当然のことなのだが。
★西洋で現在進行中の自由主義思想の過激な変異は、国際化の対象とはならない西洋文明特有の産物として分類されるべきである。
★環境問題から現代技術に関連する倫理的問題に至るまで、人類の発展に対する最も深刻な課題に対して、異なる文明の文化的・哲学的伝統と一致する独自の対応が必要である。 欧米のアジェンダに盲従することは、役に立たないだけでなく、有害でもある。
とりあえず、以上であるが、全文は田中宇氏のニュースサイトを参照されたい。こうして羅列してみて、言えるのは、どちらかと言うと、ロシアの見方は共和党トランプ派と親和性が高いと言えよう。