RT 5 Dec, 2023 イスラエルは戦闘でハマスに勝てない、では次は? https://www.rt.com/news/588481-idf-israel-war-gaza/ ガザ紛争がもたらしているのは市民の不幸だけだが、米国は何時でもそれを止めることができる- ロバート・インラケシュ記 現在英国ロンドンに拠点を置く政治アナリスト、ジャーナリスト、ドキュメンタリー映像作家。パレスチナ自治区での取材・滞在経験を持つ。 イスラエルとガザのパレスチナ武装組織との間の戦争が7日間小康状態を保った後、敵対行為の再開がワシントンから再び許可された。イスラエルの同志たちを軍事的勝利に導けなかった米国は、危険なエスカレーションを容認し、これ以上 市民の被害を出さないための平和的解決策を拒否している。 アントニー・ブリンケン米国務長官がパレスチナ/イスラエルから去った僅か数分後、ガザでの戦争が再開され、パレスチナの民間インフラに対する大規模な空爆が行われ、200人近い民間人が死亡した。ホワイトハウスのジョン・カービー報道官は、イスラエルの「ハマスの後を追う権利と責任」を引き続き支持すると発表したが、その目的は不明だ。バラク元イスラエル首相が、ハマスが崩壊するには程遠いことを認めているように、この戦争の本当の目的は何なのか? 恐らく2万人以上のパレスチナ人が死亡したと思われる6週間の戦争の後、イスラエル軍は、ハマスと、包囲された沿岸の飛び地にいる他のパレスチナ武装集団の軍事力に大きな打撃を与えたという証拠を何一つ提示できていない。イスラエルは、ハマスがガザ北部の主要な病院を基地や指揮統制センターとして使用していると主張し、その病院への侵入を強行したが、イスラエル国防軍(IDF)が提出した証拠は、こうした主張を裏付けるものではなかった。米国政府は、シファ病院に司令部が存在するという考えを支持し、イスラエル軍が病院敷地内に入った際には、そこで発見したとする武器と空のトンネルを提示した。一般に公開されたこのような画像はイスラエル軍によって管理・編集されたものだが、もし独自に検証されれば、武装勢力の存在を示す証拠となり得る。それでも、指揮統制センターや司令部の証拠にはならない。また、イスラエルの主張を裏付ける確かな情報を持っているという米国の主張は、ジョー・バイデン米大統領が「テロリストが子供の首を刎ねている写真を確認した」と発言し、ホワイトハウスが後に撤回したことを考えれば、疑わしいものである。 この戦争が始まった時、イスラエルのネタニヤフ首相は「ハマス粉砕」を宣言し、この目標は米国政府も公的に支持していた。しかし、ハマスがイスラエルに対して史上最大の打撃を与えただけでなく、イスラエル軍を相手にガザを防衛し、無数の成功例を記録している。今、全世界がパレスチナ国家の樹立について話し合っているが、この構想は今次の戦争前、アラブ諸国とイスラエルの間の無条件正常化協定を優先させたために殆ど放棄されていたものだ。これに加えて、イスラエルによるガザ侵攻戦争の予測された結果の一つは、占領地全域でハマスへの支持が飛躍的に高まったことだ。中東やイスラム世界全体で、ハマスの過激派は英雄となり、勇敢な民族的抵抗者として広く見做されている。 バイデン政権の中東政策の中心となっていたサウジアラビアとイスラエルの国交正常化交渉は、リヤドがテヘランに接近している現在、暗礁に乗り上げている。イスラエルの世論調査データによると、ベンヤミン・ネタニヤフ首相はイスラエル国民の4%しか信頼しておらず、最も信頼されている国民はダニエル・ハガリ・イスラエル軍報道官と記録されている。ハガリはイスラエル国民から信頼されていたにも拘わらず、「リストの男」になってネットで拡散されてしまった。これは、同氏が単なるアラビア語の曜日カレンダーを記したものを「テロリストの名前のリスト」だと主張した動画を投稿した後のことである。同氏が係るリストに言及したその動画は、ハマスがランティシ小児病院で人質を取っている証拠を示すはずのものだった。 少なくとも10ヶ国がイスラエルから大使を引き揚げるか、イスラエルとの関係を停止した。ロンドンやワシントンDCのような首都では、西側諸国では過去最大規模の親パレスチナ抗議デモが続いている。これは、ジョー・バイデンの支持率の大幅な低下と相まって、ガザでの、米国が支援する この戦争にとって悲惨な結果をもたらす。 ホワイトハウスは、ガザ南部への侵攻を計画するイスラエル軍に一定の制限を加えていると主張するが、同時にイスラエルの行動を無条件で支持している。米国政府は、10月7日以降に起こったことに対して如何なる責任も取らず、彼らの嘘に対する謝罪もなく、戦略の変更もなく、ハマスの攻撃を促進したガザの現地状況を作り出す上で米国政府が果たした役割についても認めていない。 今、本当に問われていること:これからどうするのか?イスラエルはガザで無目的に戦い、何千人ものパレスチナ市民を殺し続け、ハマス敗北の兆しは見えず、国連救援総長のマーティン・グリフィスが「過去最悪」と評する人道状況は更に悪化している。これらの要素を全て深刻に受け止める一方で、イスラエルによるガザへの攻撃がエスカレートした場合、地域戦争が勃発する恐れもある。レバノンのヒズボラは現在、レバノン国境沿いで頻繁に戦闘を繰り広げており、イスラエルの軍事目標への攻撃範囲を拡大している。 イスラエルとハマスの間で行われた囚人交換は、パレスチナ人グループが外交的に関与する能力があることを証明した。この交換はまた、イスラエルが何の罪状もなく女性や子供も拘束していることを世界に知らしめることにもなった。解放されたイスラエルの民間人捕虜の大半は、解放時にハマスの戦闘員と笑顔で握手し、感謝の言葉を述べているところを撮影されているが、その体験についてメディアに直接語ることは封じられている。一方、パレスチナの女性や子供たちは、イスラエルの看守の手によって受けた虐待、拷問、屈辱を語った。これはイスラエル政府にとって、広報上、またしても大失敗だったことを意味し、イスラエル政府はハマスよりも罪が重く見えるようになった。 戦争の主導権を握っているのは米国政府だ。何時でも紛争を終結させる力を持ちながら、この惨事を長引かせ続けている。敵対行為の7日間の休止期間中、イスラエルの勝利を可能にするようなイスラエルに有利な変化は何もなかった。ガザでの戦争に軍事的解決はあり得ない。米国は、パレスチナの人々に正義と自由が与えられるまで、この紛争は決して終わらないことを認識しなければならない。75年間、西側諸国の政府はパレスチナ人の苦しみを無視してきた。彼らは決して客観的な平和の仲介者ではなかった。暴力は暴力を生み、憎しみは憎しみを生む。パレスチナ人を単に殺害して服従させることは不可能だ。仮にハマスが敗北したとしても、彼らの仇を討ち、国家樹立のために戦うグループが今後更に現れるだろう。国際社会が団結すれば、この連鎖を断ち切ることができるが、それには勇気が必要だ。
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RT 5 Dec, 2023
イスラエルは戦闘でハマスに勝てない、では次は?
https://www.rt.com/news/588481-idf-israel-war-gaza/
ガザ紛争がもたらしているのは市民の不幸だけだが、米国は何時でもそれを止めることができる-
ロバート・インラケシュ記
現在英国ロンドンに拠点を置く政治アナリスト、ジャーナリスト、ドキュメンタリー映像作家。パレスチナ自治区での取材・滞在経験を持つ。
イスラエルとガザのパレスチナ武装組織との間の戦争が7日間小康状態を保った後、敵対行為の再開がワシントンから再び許可された。イスラエルの同志たちを軍事的勝利に導けなかった米国は、危険なエスカレーションを容認し、これ以上 市民の被害を出さないための平和的解決策を拒否している。
アントニー・ブリンケン米国務長官がパレスチナ/イスラエルから去った僅か数分後、ガザでの戦争が再開され、パレスチナの民間インフラに対する大規模な空爆が行われ、200人近い民間人が死亡した。ホワイトハウスのジョン・カービー報道官は、イスラエルの「ハマスの後を追う権利と責任」を引き続き支持すると発表したが、その目的は不明だ。バラク元イスラエル首相が、ハマスが崩壊するには程遠いことを認めているように、この戦争の本当の目的は何なのか?
恐らく2万人以上のパレスチナ人が死亡したと思われる6週間の戦争の後、イスラエル軍は、ハマスと、包囲された沿岸の飛び地にいる他のパレスチナ武装集団の軍事力に大きな打撃を与えたという証拠を何一つ提示できていない。イスラエルは、ハマスがガザ北部の主要な病院を基地や指揮統制センターとして使用していると主張し、その病院への侵入を強行したが、イスラエル国防軍(IDF)が提出した証拠は、こうした主張を裏付けるものではなかった。米国政府は、シファ病院に司令部が存在するという考えを支持し、イスラエル軍が病院敷地内に入った際には、そこで発見したとする武器と空のトンネルを提示した。一般に公開されたこのような画像はイスラエル軍によって管理・編集されたものだが、もし独自に検証されれば、武装勢力の存在を示す証拠となり得る。それでも、指揮統制センターや司令部の証拠にはならない。また、イスラエルの主張を裏付ける確かな情報を持っているという米国の主張は、ジョー・バイデン米大統領が「テロリストが子供の首を刎ねている写真を確認した」と発言し、ホワイトハウスが後に撤回したことを考えれば、疑わしいものである。
この戦争が始まった時、イスラエルのネタニヤフ首相は「ハマス粉砕」を宣言し、この目標は米国政府も公的に支持していた。しかし、ハマスがイスラエルに対して史上最大の打撃を与えただけでなく、イスラエル軍を相手にガザを防衛し、無数の成功例を記録している。今、全世界がパレスチナ国家の樹立について話し合っているが、この構想は今次の戦争前、アラブ諸国とイスラエルの間の無条件正常化協定を優先させたために殆ど放棄されていたものだ。これに加えて、イスラエルによるガザ侵攻戦争の予測された結果の一つは、占領地全域でハマスへの支持が飛躍的に高まったことだ。中東やイスラム世界全体で、ハマスの過激派は英雄となり、勇敢な民族的抵抗者として広く見做されている。
バイデン政権の中東政策の中心となっていたサウジアラビアとイスラエルの国交正常化交渉は、リヤドがテヘランに接近している現在、暗礁に乗り上げている。イスラエルの世論調査データによると、ベンヤミン・ネタニヤフ首相はイスラエル国民の4%しか信頼しておらず、最も信頼されている国民はダニエル・ハガリ・イスラエル軍報道官と記録されている。ハガリはイスラエル国民から信頼されていたにも拘わらず、「リストの男」になってネットで拡散されてしまった。これは、同氏が単なるアラビア語の曜日カレンダーを記したものを「テロリストの名前のリスト」だと主張した動画を投稿した後のことである。同氏が係るリストに言及したその動画は、ハマスがランティシ小児病院で人質を取っている証拠を示すはずのものだった。
少なくとも10ヶ国がイスラエルから大使を引き揚げるか、イスラエルとの関係を停止した。ロンドンやワシントンDCのような首都では、西側諸国では過去最大規模の親パレスチナ抗議デモが続いている。これは、ジョー・バイデンの支持率の大幅な低下と相まって、ガザでの、米国が支援する この戦争にとって悲惨な結果をもたらす。
ホワイトハウスは、ガザ南部への侵攻を計画するイスラエル軍に一定の制限を加えていると主張するが、同時にイスラエルの行動を無条件で支持している。米国政府は、10月7日以降に起こったことに対して如何なる責任も取らず、彼らの嘘に対する謝罪もなく、戦略の変更もなく、ハマスの攻撃を促進したガザの現地状況を作り出す上で米国政府が果たした役割についても認めていない。
今、本当に問われていること:これからどうするのか?イスラエルはガザで無目的に戦い、何千人ものパレスチナ市民を殺し続け、ハマス敗北の兆しは見えず、国連救援総長のマーティン・グリフィスが「過去最悪」と評する人道状況は更に悪化している。これらの要素を全て深刻に受け止める一方で、イスラエルによるガザへの攻撃がエスカレートした場合、地域戦争が勃発する恐れもある。レバノンのヒズボラは現在、レバノン国境沿いで頻繁に戦闘を繰り広げており、イスラエルの軍事目標への攻撃範囲を拡大している。
イスラエルとハマスの間で行われた囚人交換は、パレスチナ人グループが外交的に関与する能力があることを証明した。この交換はまた、イスラエルが何の罪状もなく女性や子供も拘束していることを世界に知らしめることにもなった。解放されたイスラエルの民間人捕虜の大半は、解放時にハマスの戦闘員と笑顔で握手し、感謝の言葉を述べているところを撮影されているが、その体験についてメディアに直接語ることは封じられている。一方、パレスチナの女性や子供たちは、イスラエルの看守の手によって受けた虐待、拷問、屈辱を語った。これはイスラエル政府にとって、広報上、またしても大失敗だったことを意味し、イスラエル政府はハマスよりも罪が重く見えるようになった。
戦争の主導権を握っているのは米国政府だ。何時でも紛争を終結させる力を持ちながら、この惨事を長引かせ続けている。敵対行為の7日間の休止期間中、イスラエルの勝利を可能にするようなイスラエルに有利な変化は何もなかった。ガザでの戦争に軍事的解決はあり得ない。米国は、パレスチナの人々に正義と自由が与えられるまで、この紛争は決して終わらないことを認識しなければならない。75年間、西側諸国の政府はパレスチナ人の苦しみを無視してきた。彼らは決して客観的な平和の仲介者ではなかった。暴力は暴力を生み、憎しみは憎しみを生む。パレスチナ人を単に殺害して服従させることは不可能だ。仮にハマスが敗北したとしても、彼らの仇を討ち、国家樹立のために戦うグループが今後更に現れるだろう。国際社会が団結すれば、この連鎖を断ち切ることができるが、それには勇気が必要だ。