ウクライナの敗北は確定した。まだ、戦争は続くだろうが、その時間はロシアの勝利を確実にするためだけであろう。 だから、もはやこの戦争に関して、諸々評価してもよいだろうと考えている。 ①ウクライナ応援団 完全に間違っていたことが確定した。軍事力から考えるなら、ウクライナが敗北することは自明であった。また、ウクライナ内戦やネオナチの露系ウクライナ人虐殺を考慮するなら、ウクライナ人には戦争の大義もなかった。その2点を間違え、大義なき無駄な抵抗を煽った罪は重い。 ウクライナの戦いをレジスタンスと見誤った浅はかさは蒙昧と言う他ない。 ウクライナ応援団は猛省するべきだが、猛省しているようには見えず、罪にほっかむりしている観である。まさに、文字通りの凡庸な悪ぶり。 ②ロシアの特別軍事作戦のあり方―民間人の死者の比較 戦争では虐殺がつきまとう。だから戦争反対なのであるが、民間人の死者の数から、個別の戦争の実像が浮かび上がるのも、また「真実」ではないか? そんな観点から、民間人死者の比較をしてみたい。 ただし、比較の前提条件として、戦争の規模(人口比)、死者増大の速度・期間、状況等を考慮するべきであることは付言しておきたい。 まず、現状のロシアによる特別軍事作戦での民間人死者。「ウクライナの民間人死亡者数が1万人を突破 - 国連人権事務所」とのことだ。現在、戦争開始から2年近くなろうとしている。また、2014年以降のネオナチやウクライナ軍による露系ウクライナ人虐殺では約14000人が犠牲になったと言う。 https://www.reuters.com/world/europe/civilian-death-toll-ukraine-tops-10000-un-human-rights-office-2023-11-21/ 次に20年間続いたアフガニスタン戦争。民間人は47,245人犠牲になったという。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%95%E3%82%AC%E3%83%8B%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E7%B4%9B%E4%BA%89_(2001%E5%B9%B4-2021%E5%B9%B4) イラク戦争。2003年から8年間で、諸説あるようだが、少なく見て10万3160名–11万3728名。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E6%88%A6%E4%BA%89 現在進行中のハマスとイスラエルの戦い。約1月半で約13000人。 https://jp.reuters.com/world/security/Z2OJRZNRN5IQNFOFZO7XUBNYSI-2023-11-20/ その上で、前にも触れたが、次のような論評を引用したい。 https://gordonhahn.com/2023/11/16/in-putins-russia-politics-is-war-by-other-means-and-war-is-revolutionizing-russian-military-affairs/ 「NATO-ロシア・ウクライナ戦争に関して言えば、西側諸国の誤解に反して、プーチン大統領はテロも全面戦争も行っていない。政府および民間の施設および物品は、軍または戦争遂行(司令部の住居、武器の保管、軍隊の野営地)に引き渡されない限り、標的にはされていません。」 「プーチン大統領のロシアは、ウクライナの軍事目標を除いて、死傷者を制限するためにあらゆる手を尽くしている。これは、イスラエル国防軍がガザ地区でハマスに対して懲罰遠征を行ってきたやり方とは顕著に対照的である。実際、ウクライナ軍自身も、ドンバスに対する「対テロ作戦」を開始した2014年4月から民間人を標的にしており、現在の戦争中も断続的に継続している。」 さて、勿論プロパガンダを考慮しなければならない。しかし、イスラエルが示したように、戦争だから、病院を攻撃することはやろうと思えばいくらでもできるのである。要は、口実をでっち上げて、やるかやらないかの違いであろう。 イスラエルはやった。その事実は重いし、だからこそ、世界中が戦慄した。 ③西側の制裁―特別軍事作戦下のロシアの政治経済 ロシアは孤立してもいないし、経済制裁に全く効果は無かった。 購買力平価GDPではロシアは2023年世界5位で前年より順位を上げている。 https://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=PPPGDP&c1=RU&c2=JP https://www.globalnote.jp/post-3386.html ロシアが非米側グローバルサウスの雄であることは、説明の必要もないだろう。 今後の問題は、アメリカ帝国ら西側陣営の敗北を踏まえた多極世界における世界平和の構築であろう。 その際、日米安保条約をどうしていくのかも俎上に載せるべきだが、いかんせん、B層ばかりのこの国で、そのような議論の片鱗も見ることが出来ていない。 虚しく、ウクライナ応援団の蒙昧なる凡庸な悪ぶりを人知れず追求するのみである。残念な国だ。この日本は。
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(ID:119568177)
ウクライナの敗北は確定した。まだ、戦争は続くだろうが、その時間はロシアの勝利を確実にするためだけであろう。
だから、もはやこの戦争に関して、諸々評価してもよいだろうと考えている。
①ウクライナ応援団
完全に間違っていたことが確定した。軍事力から考えるなら、ウクライナが敗北することは自明であった。また、ウクライナ内戦やネオナチの露系ウクライナ人虐殺を考慮するなら、ウクライナ人には戦争の大義もなかった。その2点を間違え、大義なき無駄な抵抗を煽った罪は重い。
ウクライナの戦いをレジスタンスと見誤った浅はかさは蒙昧と言う他ない。
ウクライナ応援団は猛省するべきだが、猛省しているようには見えず、罪にほっかむりしている観である。まさに、文字通りの凡庸な悪ぶり。
②ロシアの特別軍事作戦のあり方―民間人の死者の比較
戦争では虐殺がつきまとう。だから戦争反対なのであるが、民間人の死者の数から、個別の戦争の実像が浮かび上がるのも、また「真実」ではないか?
そんな観点から、民間人死者の比較をしてみたい。
ただし、比較の前提条件として、戦争の規模(人口比)、死者増大の速度・期間、状況等を考慮するべきであることは付言しておきたい。
まず、現状のロシアによる特別軍事作戦での民間人死者。「ウクライナの民間人死亡者数が1万人を突破 - 国連人権事務所」とのことだ。現在、戦争開始から2年近くなろうとしている。また、2014年以降のネオナチやウクライナ軍による露系ウクライナ人虐殺では約14000人が犠牲になったと言う。
https://www.reuters.com/world/europe/civilian-death-toll-ukraine-tops-10000-un-human-rights-office-2023-11-21/
次に20年間続いたアフガニスタン戦争。民間人は47,245人犠牲になったという。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%95%E3%82%AC%E3%83%8B%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E7%B4%9B%E4%BA%89_(2001%E5%B9%B4-2021%E5%B9%B4)
イラク戦争。2003年から8年間で、諸説あるようだが、少なく見て10万3160名–11万3728名。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E6%88%A6%E4%BA%89
現在進行中のハマスとイスラエルの戦い。約1月半で約13000人。
https://jp.reuters.com/world/security/Z2OJRZNRN5IQNFOFZO7XUBNYSI-2023-11-20/
その上で、前にも触れたが、次のような論評を引用したい。
https://gordonhahn.com/2023/11/16/in-putins-russia-politics-is-war-by-other-means-and-war-is-revolutionizing-russian-military-affairs/
「NATO-ロシア・ウクライナ戦争に関して言えば、西側諸国の誤解に反して、プーチン大統領はテロも全面戦争も行っていない。政府および民間の施設および物品は、軍または戦争遂行(司令部の住居、武器の保管、軍隊の野営地)に引き渡されない限り、標的にはされていません。」
「プーチン大統領のロシアは、ウクライナの軍事目標を除いて、死傷者を制限するためにあらゆる手を尽くしている。これは、イスラエル国防軍がガザ地区でハマスに対して懲罰遠征を行ってきたやり方とは顕著に対照的である。実際、ウクライナ軍自身も、ドンバスに対する「対テロ作戦」を開始した2014年4月から民間人を標的にしており、現在の戦争中も断続的に継続している。」
さて、勿論プロパガンダを考慮しなければならない。しかし、イスラエルが示したように、戦争だから、病院を攻撃することはやろうと思えばいくらでもできるのである。要は、口実をでっち上げて、やるかやらないかの違いであろう。
イスラエルはやった。その事実は重いし、だからこそ、世界中が戦慄した。
③西側の制裁―特別軍事作戦下のロシアの政治経済
ロシアは孤立してもいないし、経済制裁に全く効果は無かった。
購買力平価GDPではロシアは2023年世界5位で前年より順位を上げている。
https://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=PPPGDP&c1=RU&c2=JP
https://www.globalnote.jp/post-3386.html
ロシアが非米側グローバルサウスの雄であることは、説明の必要もないだろう。
今後の問題は、アメリカ帝国ら西側陣営の敗北を踏まえた多極世界における世界平和の構築であろう。
その際、日米安保条約をどうしていくのかも俎上に載せるべきだが、いかんせん、B層ばかりのこの国で、そのような議論の片鱗も見ることが出来ていない。
虚しく、ウクライナ応援団の蒙昧なる凡庸な悪ぶりを人知れず追求するのみである。残念な国だ。この日本は。