中庸左派 のコメント

 大きな流れの中で習近平氏とバイデンの会談を解釈するなら、中国がいよいよ世界的な大国としてアメリカ帝国に伍して台頭する時代が到来したということだ。

 その流れの中で、台湾の野党統一候補擁立という動きは合理的である。アメリカ帝国による介入や軍事支援は台湾を戦争の危険に晒すだけである。我々、日本人にとっても、対立や戦争の火種を回避するために好ましい動きと見るべきだ。

 大事なことは戦争の回避に尽きる。

 一つの中国の考え方に基づき、台湾の平和統一を成し遂げるための中国の取組を何故否定する必要があろうか?台湾と中国とで、交渉、話し合いにより一つの中国になれば良い。

 日本はその流れを見守れば良いだけで、余計な介入も口を挟むべきではない。

 アメリカ帝国の覇権低下と中国の強大化は多極世界の裏表である。その流れを踏まえるなら、台湾が中国との融和に傾き、平和統一に向かうことは極めて自然であり、合理的である。

 11月18日付Indian Punchlineは、中米政府による、それぞれの会談に関する要約を比較して、習近平氏とバイデンの会談を評して次のように書いた。

https://www.indianpunchline.com/no-serious-effort-to-reset-us-china-relations-at-san-francisco-summit/

 「この2つの読み上げ資料、そしてその後の報道を丹念に調べると、バイデンは主に国内の政治的聴衆を前に大見得を切ったのに対し、習近平は世界の聴衆を意識して話したという印象を受ける。」

 バイデンは習近平氏を評して、「独裁者」と呼んだわけであるが、これは内向きの居酒屋談義のようなものであったわけだろう。内輪で相手方をこき下ろしているようでは、みっともない小者感が滲む。このような姿勢そのものが、アメリカ帝国の覇権低下の傍証ではないか?

 アメリカ帝国の自己評価と実態、そして他者評価はますます分裂気味になっている。ウクライナでの完敗、イスラエル支援における世界的な孤立はアメリカ帝国の覇権低下を推し進めている。

 欧州と中東の2正面での覇権低下にあって、アメリカ帝国が台湾問題において中国に強気に出ることそのものが大いなるカンチガイである。

 Indian Punchlineは最後にこう結んでいる。

「大きな疑問が残る:バイデンは、ウクライナ戦争での敗北や中東で始まったばかりの永遠の戦争にもかかわらず、アメリカは中国との関係において「強者の立場」にあると断言することに成功したのだろうか?別の言い方をすれば、中国はロシアやイランとの関係を後退させようとするアメリカの懇願に耳を傾けているのだろうか?兆候はそれとは正反対である。」

No.8 12ヶ月前

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