ワシントンの影響力が非常に破壊的であることを示す明確な、また量的な証拠がある。保守系雑誌The National Interestによると、1992年から2017年の間に、米国は188件の「軍事介入」に関与している。このリストは不完全なもので、例えば1990年の湾岸戦争や、ウクライナでロシアを挑発し、代理戦争を仕掛ける上でワシントンが果たした極めて重要な役割は含まれていない。更に、出典を見れば予想がつくだろうが、これは保守系の数字である。米国政治に精通した左派の評論家であるベン・ノートン氏は、1991年以降、2022年までに251の軍事介入を行っていることを発見した。
更に、これらの戦争は極めて破壊的である。ブラウン大学のCosts of Warプロジェクトが行った徹底的な調査によれば、2001年以降のいわゆる「対テロ世界戦争」だけでも、90万5000人から94万人の「直接戦争死」が発生している。同調査プロジェクトは、これらの戦争による「経済、公共サービス、インフラ、環境の破壊」が「9・11以降の紛争地域で360万~380万人の間接的な死」を更にもたらしたと指摘している。これらの死者の殆どが「間接的」なものであるという事実は、直接暴力に関与しなくても、ワシントンが致命的な混乱を広める並外れた才覚を持っていることを示している。
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RT 17 Nov, 2023
米国は世界情勢 不安定化の最大の原因でありながら、解決策であるかのように装っている
https://www.rt.com/news/587409-israel-hamas-war-washington-problem/
イスラエルとハマスの戦争は、ワシントンが世界で最も破壊的な唯一の勢力であることを示している-
タリク・シリル・アマール記
イスタンブールのコチ大学でロシア、ウクライナ、東欧、第二次世界大戦史、文化的冷戦、記憶の政治学を研究するドイツ出身の歴史学者
イスラエルによるガザ攻撃と、長く占領されてきたヨルダン川西岸地区での入植者による暴力の激化は、警鐘を鳴らすものである。
およそ1,200人の命を奪った10月7日のハマスの攻撃に呼応して始まった戦争で、4,650人の子供を含む11,000人以上のパレスチナ人が殺されている。
中途半端に公平な国際社会であろうと、介入し、複数の国際的な声が大量虐殺/民族浄化と呼んでいるイスラエルによる不釣り合いな報復の犠牲者を保護しなければならないだろう。そうしなければ、深い偏見と機能不全を露呈することになる。それだけは明らかだ。
しかし、この破滅的な危機にはもう一つの側面がある。イスラエルの侵略を食い止めることができなかった世界的な失敗は、世界の一部、つまり西側諸国の所為である。そして西側諸国は、米国のリードに従っている。倫理的には、大量虐殺の犠牲者のために立ち上がらない者、あるいは更に悪いことに加害者の味方をする者は、自らの失敗に責任がある。しかし、力という点では、米国の行動は決定的である。もしワシントンが別の反応を示し、イスラエルを抑制した世界を想像してみてほしい。その同盟国や従属国は勿論従っただろう。
そうはせずに、バイデン政権はイスラエルに干渉しようとする誘惑に駆られる者を抑止した。ワシントンはまた、武器弾薬、情報、特殊部隊の支援を提供し、外交的な隠れ蓑を提供した。公正で信頼できる最低限の世界秩序、ひいては安定にとって、唯一最大の危険因子は米国なのだ。これは極論ではなく、米国の「一極支配の瞬間」の始まりとなったソビエト連邦の崩壊以来、ワシントンの持続的な能力と経験的な記録を冷静に分析した結論である。
米国が平和を乱す異常な能力を持つ前提条件は、歴史的に見ても異常な経済・軍事力の集中である。現在、米国は世界のGDP(購買力平価ベース)の少なくとも13.5%を占めている。今となっては、中国に次いで「単なる」2位である。しかし、一人当たりの(名目)GDPでは、米国は依然として上位10位以内に入っており、その豊かさを反映している。また、ドル覇権という「法外な特権」(フランスの元財務大臣の言葉)もまだ持っている。米国は依然として自国の経済と国家権力の両方に異常に安価に資金を調達でき、更にドルの世界的準備と貿易機能を悪用して、没収と強制を行うことができる。このレバレッジの無分別な濫用が、裏目に出始めている。危機的に過大な国家債務と、ドルの力に対する必然的な抵抗と代替通貨採用の動きは、いずれも米国の金融覇権の衰退を示している。今のところ、これはまだ考慮すべき事実ではある。
このような経済的な勢いは、莫大な軍事予算に繋がる。名目であれ購買力平価ベースであれ、米国は他国を圧倒しており、2022年には世界の軍事費の40%を費した。
指標を増やしたり、カテゴリーの細分化もできる。しかし、全体像は変わらない。現時点でも米国は超大国であり、その上、世界で最も強力な同盟複合体のトップに君臨している。米国の力の大きさだけでは、それがどのように使われるかは殆ど分からない。しかし、余りにも見落とされがちなのは、米国に これだけの力がなければ、その政策がどうであれ、これほどの影響力を持つことはできなかったということだ。
ワシントンの影響力が非常に破壊的であることを示す明確な、また量的な証拠がある。保守系雑誌The National Interestによると、1992年から2017年の間に、米国は188件の「軍事介入」に関与している。このリストは不完全なもので、例えば1990年の湾岸戦争や、ウクライナでロシアを挑発し、代理戦争を仕掛ける上でワシントンが果たした極めて重要な役割は含まれていない。更に、出典を見れば予想がつくだろうが、これは保守系の数字である。米国政治に精通した左派の評論家であるベン・ノートン氏は、1991年以降、2022年までに251の軍事介入を行っていることを発見した。
米国は、外交や「単なる」経済戦争、つまり制裁ではなく、軍事力によって海外での自国の利益を追求する傾向が強いだけではない。少なくとも同様に懸念されるのは、政策の手段として直接的な暴力を好む傾向が加速していることだ。National Interest誌によれば、1992年から2017年にかけて、米国は1948年から1991年の4倍(「僅か」46回)の軍事介入を行っている。同様に、タフツ大学戦略研究センターの軍事介入プロジェクトは、米国が「1776年以来500回以上の国際的軍事介入を行っており、その60%近くが1950年から2017年の間に行われた」こと、そしてこれらのミッションの「3分の1以上」が1999年以降に行われたことを明らかにしている。米国の好戦性は時代とともに(一様ではないが)高まっており、最近では冷戦と旧ソ連の終焉後、その高まりが加速している。
更に、これらの戦争は極めて破壊的である。ブラウン大学のCosts of Warプロジェクトが行った徹底的な調査によれば、2001年以降のいわゆる「対テロ世界戦争」だけでも、90万5000人から94万人の「直接戦争死」が発生している。同調査プロジェクトは、これらの戦争による「経済、公共サービス、インフラ、環境の破壊」が「9・11以降の紛争地域で360万~380万人の間接的な死」を更にもたらしたと指摘している。これらの死者の殆どが「間接的」なものであるという事実は、直接暴力に関与しなくても、ワシントンが致命的な混乱を広める並外れた才覚を持っていることを示している。