中庸左派 のコメント

 しょうもない思い出話なのだが、昔から労働組合内部では、社会党と共産党の対立というものは実は根深くあった。

 その昔、日本の左派の草創期には理論的にも、労農派(ブルジョア革命不要)と講座派(ブルジョア革命必要)が対立していた。後に、労農派は社会党協会派(左派)に、講座派は日本共産党に引き継がれていった。

 戦後、社会党系労組が主導した総評が戦闘的労働運動を繰り広げる中、現場組合内部では、同様に左派系として主導権を争うため、共産党組合或いは組合員は、社会党系組合或いは組合員と鋭く対立を繰り広げていたのは、あまり知られていないかも知れない。

 罵りあいから、労組役員ポストの奪い合い、その意味で双方熾烈な潰し合いである。組合のエネルギーが溢れた時代と呼ぶには、聞こえが良すぎるだろう。現場の様々な場面で、今から考えると不毛な闘いを繰り広げていた。

 だから、その昔から労働組合は、かつての民社党系同盟系御用組合路線と、社会党系、共産党系の左派組合が、三つ巴で対立を繰り広げた歴史がある。

 そうした経過から、立憲民主党を支持する労組は旧社会党系の組合が多いと思われるが、現場レベルで共産党候補支援を巡り、不協和音が生じることはあり得ると思う。

 そうこうするうちに、非正規労働者が増大し、組織労働者は「労働貴族」のような、ある意味で恵まれたポジションになってしまった。そして、組織率は低下の一途。

 貧すれば鈍する。組織率の低下が人材の枯渇に繋がり、結果、芳野のような「大日本産業報国会」的連合会長が現れた、そんな印象を私はもっている。

 「芳野友子会長は「連合の考えは一貫している」」と開き直っているが、もともと連合誕生と共産党系組合の排除はコインの裏表であった。

 共産党系労組の全国組織は、全労連という。ある意味で、連合に排除された組合の集合体だ。芳野の開き直りは、現実的歴史的には一理ある。

 また、各産別ごとに組織内議員がいる組合もあるが、今は組織率の低下、社会全体的な組合離れから、かつてのように組合が集票マシーンとして機能しなくなっている。そうしたことから、組織内候補を勝たせることに必死で、労組は野党共闘候補の応援に人を割けるのだろうか?

 しかし、個人的に言うなら、私は現役時代から共産党との共闘やむ無しという考え方であった。否、労組組織率の低下傾向を踏まえたリベラル勢力の結集を企図するなら、共闘は合理的選択だと考えていた。

 一有権者として見るなら、反戦平和、脱原発等国論が分かれる課題はある。自民党に対抗しうる結集軸が大同団結して、共闘により着実に議席を獲得するのは合理的である。

 とは言え、より本質的な日本政治の課題は、多極化する世界の中で、アメリカ帝国とどう距離を置き、追従をやめ、国益を追求するか、ということであると考えている。かつて、鳩山元首相や小沢一郎氏はアメリカ帝国と対峙して失脚させられたと受け止めている。

 その観点からは、本質的に野党に求められる姿勢は、アメリカ帝国、DS、軍産複合体、戦争屋との対決姿勢だと、私は考えている。その点では、期待できる野党そして政治指導者は見当たらないのも、残念な事実だ。

No.10 13ヶ月前

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