p_f のコメント

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非人間化の第二段階: パレスチナ人にこれほど多くの若者がいるという事実は、私たちはエコノミスト誌から、人間の人生の正常な結果ではないことを学ぶ。著者は、パレスチナ人を世界の更に貧しい人々と比較することで、彼らの出生率の高さは異常であり、それは過激派政治、即ちPLOの故ヤセル・アラファトからハマスに至るパレスチナ指導者たちの出生促進主義によって説明されると結論付けている。要するに、パレスチナ人は、今で言うところの、自分たちの生殖、ひいては子供たちを、武器化する人々として描かれているのだ。

悪質ではあるが、その意味するところは明らかだ。イスラエルの主要な西側同盟国である米国の目には、民間人を飢えさせたり、殺害することを含むガザ攻撃は、イスラエルが自衛権を行使していると映っていることを思い出してほしい。(国際法上、イスラエルは軍事占領国であるため、占領地に対する武力行使を正当化する「自衛」は適用できないことは置いておこう)。エコノミスト誌が、パレスチナの子供たちは「揺りかごによる」長期的な人口統計上の戦争戦略の一部であると述べていることと合わせて考えてみよう。ここから、2つの点を結ぶだけで、もし子供たちが「武器」であるならば、子供たちに対する「自衛」の行使は容認されるという結論に達する。たとえ著者から編集者に至るまで、この雑誌の誰も自分の主張が道徳的な奈落の底を開くことになると考え抜いた者がいなかったとしても、その失敗だけでも恥ずべきことを暴露するものだ。

現実には、パレスチナ人は、歴史的に組織的な民族浄化、アパルトヘイト、大量虐殺に晒されていない人々には分からないような緊急性をもって、自分たちの子供たちを自分たちの未来として理解することを学ばなければならなかった。それなのに、イスラエルの加害者たちによるパレスチナの子供たちの虐殺を、パレスチナの犠牲者たちが容赦ない抑圧の中であえて多くの子供を産んだからだと非難するのは、あきれるほど皮肉な話だ。

勿論ユダヤ人も、歴史的に近過去、ドイツが自分たちを絶滅させようとしたことから、このような切迫感を知っている。しかし、あのユダヤ人大量虐殺は、現代のシオニスト指導者たちの共感には繋がっていない。彼らにとって、「二度とあってはならない」というスローガンは、「我々に対しては、二度とあってはならない」を意味する。

更に、人口政策について考えを持っているのはパレスチナの指導者だけではない。実際、人口政策は 19 世紀後半の当初からシオニスト計画の中核であり、その形態は 2つある:1つはユダヤ人入植者、ひいてはユダヤ系イスラエル国民の数を増やすことに対する継続的、積極的な関心として。そして同様にパレスチナ人口の増加に対する根強い恐怖として。1948年のアラブ・イスラエル戦争前に始まり、その後も続いた大多数のパレスチナ人(少なくとも70万人)に対する最初の民族浄化以来、パレスチナ人の数を減らし、その数を低く抑えてきたことが、イスラエルが国連総会決議第194号で確認されたパレスチナ人の帰還の権利を常に否定してきた主な理由の一つとなっている。

ひいてはそれが、永続的な和平解決を不可能にしてきた主な要因でもある。言い換えれば、イスラエルはパレスチナ人とその子供たちを国家の安全保障に対する根本的な脅威と見做しているのであり、それはパレスチナ人に正義をもたらし、終わりのない極めて危険な危機―とっくに収束しているはずだった―から世界を解放する和解を阻む、最悪の障害の一つなのである。

エコノミスト誌のような権威ある、世論を形成する雑誌が、このような記事を、しかも他ならぬ今、1万人以上が殺され、その半数近くが子供であるガザへの攻撃が続いている最中に、なぜ掲載することができるのだろうか?その答えは、米国人ジャーナリストで作家のアリ・アブニマが説明するように、パレスチナ人に対する組織的な非人間化、つまり言説が「道徳的な疑念なしに消滅させることができる、文字通りの生物学的生命」にまで格下げされたことには、長い歴史があるからだ。

鋭い観察者たちは、西側諸国がイスラエルの行動を支持することで、世界の他の国々、つまり殆どの国々において、イスラエルの威信が損なわれていると指摘している。それは事実であり、当然の報いである。なぜなら、非人間化の言葉よりも更に悪いのは、それが全く付随的な現象に収まらなくなることだからだ:西側諸国では、犠牲者がパレスチナ人である限り、人はこの大量虐殺を促進する行為に参加し、軽蔑や非難を受けるどころか、共鳴と正当な評価を得ることができる。西側諸国は、自らを「価値観」の「花園」と幻覚しているが、驚くべき偽善と結びついた驚異的な暴力の長い記録を持っている。しかし、現在進行形の歴史の中で、この瞬間、パレスチナ人に対するおぞましい虐待は、言葉と行為において、最も酷い堕落行為である。そして人類は忘れることも許すこともない。

No.7 12ヶ月前

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