ウクライナ敗北は確定した。 声援だけでなく、寄付等までして戦争を煽った日本のウクライナ応援団は、自らの不明と罪を恥じるべきだ。 しかし、客観的情勢や事実現実に関わらず、日本のウクライナ応援団は意図的か、或いは蒙昧故にか、ウクライナ敗北の事実現実から目を逸らし続けている。 IWJの岩上安身氏は、「約40年のジャーナリスト人生で、ここまで一方的な報道に終始しているのは初めてだ」という趣旨の発言をしていた。 私は同感だ。 正直、新型コロナ報道、それに続くウクライナ報道は、私の人生観を変えるくらいのインパクトがあった。 日本のメディアは信用出来ない、と。 この日本で、自分が「大本営発表」に遭遇するとは、正直想定していなかった。しかし、大本営発表は、長い人生において、ホントにあり得るのだな、と。 主流権威筋メディアを鵜呑みにしては、いけないな、と。これは、ホントにこの歳での「学び」であった。 今、典型的な日本のウクライナに関する言説は、こんなカンジである。 テレビでのウクライナ応援の「専門家」。陸上自衛隊元陸将、渡部悦和氏(このヒト、もはや、専門家というより、事実現実を無視したウクライナ「サポーター」というのが正しい評価だろう)のツイート。 「ISWによる最新の戦況!露軍は10月28日、アウディイウカで攻撃したが、宇軍は見事に凌ぎ切った。露軍は無理な攻撃の為に多大の犠牲をだした。」 https://twitter.com/WatanabeKansha/status/1718557521462653267 「凌ぎ切った」という表現が、そもそもウクライナ劣勢を示唆するカンジではある。また、もう一つはISW、即ち戦争研究所に依拠した情報と分かる。 戦争研究所がアメリカ帝国軍産複合体の機関であることは常識であろう。ウクライナ戦争を長びかせると大儲けできる勢力だ。だから、渡部氏の発言は割り引く必要がある。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6%E4%BA%89%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80 アウディーウカは戦略的要衝とのこと。 https://www.bbc.com/japanese/67097770 さて、その上で軍事の「専門家」である渡部悦和氏の言説は正しいか?検証してみよう。 「ウクライナ危機到来:ゼレンスキー氏は窮地に陥る?」という記事。 https://asiatimes.com/2023/10/ukraine-crunch-coming-zelensky-on-the-rocks/ のっけから、「大々的に宣伝されていたウクライナの「反攻」が失敗して以来、ウクライナの状況は悪化している」、とのことだ。 「欧米とウクライナのニュースメディアは、ロシア軍はこれらの作戦で大きな損害を被っていると主張している。しかし、特にアヴディフカ周辺で増援を急いでいるのはウクライナ側のようで、ウクライナ軍がロシア軍に追い詰められていることを示唆している。」 「今また、ゼレンスキーはウクライナ軍に要求を突きつけた。今回は、彼の趣味の馬であるバフムートをめぐる要求であり、同時にアヴディフカ防衛の必要性も主張している。ここでもまた、ウクライナの指導者たちは、この2つの目的を、ますます不足する人員と装備を消費する罠だと考えていた。 戦闘はどちらの場所でも続いているが、ロシア軍はアヴディフカの戦略的なスラグの山を掌握しており、これによって市街地に対する射撃管制を妨げられることなく、市街地のスカイラインを支配する巨大なコークス工場への直接の進路を確保している。」 次にコチラ。 https://libertarianinstitute.org/articles/volodymyr-zelensky-is-in-a-sea-of-troubles/ 「ゼレンスキーの側近がタイム誌に語ったところによると、冬になる前に「軍事戦略の大きな変更」があり、少なくとも「反攻担当の上級将官」の一人が解雇されることになるという。ゼレンスキーは、バフムトとアヴディフカを何としても防衛せよという要求をめぐって、最高司令官ヴァレリー・ザルジニーを含む将官たちと対立していると伝えられている。軍指導部は、これらの町の防衛は、兵士、大砲、装備を食い尽くす戦略上の過ちだと考えている。」 ウクライナ軍は人員と装備が不足していて、軍上層部とゼレンスキーの対立がある。これは劣勢あるある、だろう。 さて、これから冬になる。 https://asiatimes.com/2023/11/winter-warfare-which-side-has-the-edge-in-ukraine/ 「この紛争の将来は主に天候ではなく、政治的意志と資源の利用可能性にかかっています。ウクライナにとっての核心は軍事装備と弾薬だ」 ロシアの人員と武器は枯渇していない。戦力において、ロシア優位は最初からわかっていた。ウクライナは負けるべくして、負けるのである。 日本のウクライナ応援団は、最初から負けることがほぼ確実であったウクライナに、何を求めていたのか?別の言い方をするなら、ウクライナ勝利に何を自己投影していたのか? 「悪いロシア」を打ち負かす、弱小ウクライナのストーリーであったのだろうか? しかし、これは事実現実を無視した日本人の歪みにしか、私は見えないのである。 敗戦国日本の生き方が二重に三重に歪んだ結果、無意味で、罪深いウクライナ応援に繋がっていかなかったか? この頑迷なウクライナ応援団の存在は、日本の精神史において特筆すべき汚点である、と私は総括する。
チャンネルに入会
フォロー
孫崎享チャンネル
(ID:119568177)
ウクライナ敗北は確定した。
声援だけでなく、寄付等までして戦争を煽った日本のウクライナ応援団は、自らの不明と罪を恥じるべきだ。
しかし、客観的情勢や事実現実に関わらず、日本のウクライナ応援団は意図的か、或いは蒙昧故にか、ウクライナ敗北の事実現実から目を逸らし続けている。
IWJの岩上安身氏は、「約40年のジャーナリスト人生で、ここまで一方的な報道に終始しているのは初めてだ」という趣旨の発言をしていた。
私は同感だ。
正直、新型コロナ報道、それに続くウクライナ報道は、私の人生観を変えるくらいのインパクトがあった。
日本のメディアは信用出来ない、と。
この日本で、自分が「大本営発表」に遭遇するとは、正直想定していなかった。しかし、大本営発表は、長い人生において、ホントにあり得るのだな、と。
主流権威筋メディアを鵜呑みにしては、いけないな、と。これは、ホントにこの歳での「学び」であった。
今、典型的な日本のウクライナに関する言説は、こんなカンジである。
テレビでのウクライナ応援の「専門家」。陸上自衛隊元陸将、渡部悦和氏(このヒト、もはや、専門家というより、事実現実を無視したウクライナ「サポーター」というのが正しい評価だろう)のツイート。
「ISWによる最新の戦況!露軍は10月28日、アウディイウカで攻撃したが、宇軍は見事に凌ぎ切った。露軍は無理な攻撃の為に多大の犠牲をだした。」
https://twitter.com/WatanabeKansha/status/1718557521462653267
「凌ぎ切った」という表現が、そもそもウクライナ劣勢を示唆するカンジではある。また、もう一つはISW、即ち戦争研究所に依拠した情報と分かる。
戦争研究所がアメリカ帝国軍産複合体の機関であることは常識であろう。ウクライナ戦争を長びかせると大儲けできる勢力だ。だから、渡部氏の発言は割り引く必要がある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6%E4%BA%89%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80
アウディーウカは戦略的要衝とのこと。
https://www.bbc.com/japanese/67097770
さて、その上で軍事の「専門家」である渡部悦和氏の言説は正しいか?検証してみよう。
「ウクライナ危機到来:ゼレンスキー氏は窮地に陥る?」という記事。
https://asiatimes.com/2023/10/ukraine-crunch-coming-zelensky-on-the-rocks/
のっけから、「大々的に宣伝されていたウクライナの「反攻」が失敗して以来、ウクライナの状況は悪化している」、とのことだ。
「欧米とウクライナのニュースメディアは、ロシア軍はこれらの作戦で大きな損害を被っていると主張している。しかし、特にアヴディフカ周辺で増援を急いでいるのはウクライナ側のようで、ウクライナ軍がロシア軍に追い詰められていることを示唆している。」
「今また、ゼレンスキーはウクライナ軍に要求を突きつけた。今回は、彼の趣味の馬であるバフムートをめぐる要求であり、同時にアヴディフカ防衛の必要性も主張している。ここでもまた、ウクライナの指導者たちは、この2つの目的を、ますます不足する人員と装備を消費する罠だと考えていた。
戦闘はどちらの場所でも続いているが、ロシア軍はアヴディフカの戦略的なスラグの山を掌握しており、これによって市街地に対する射撃管制を妨げられることなく、市街地のスカイラインを支配する巨大なコークス工場への直接の進路を確保している。」
次にコチラ。
https://libertarianinstitute.org/articles/volodymyr-zelensky-is-in-a-sea-of-troubles/
「ゼレンスキーの側近がタイム誌に語ったところによると、冬になる前に「軍事戦略の大きな変更」があり、少なくとも「反攻担当の上級将官」の一人が解雇されることになるという。ゼレンスキーは、バフムトとアヴディフカを何としても防衛せよという要求をめぐって、最高司令官ヴァレリー・ザルジニーを含む将官たちと対立していると伝えられている。軍指導部は、これらの町の防衛は、兵士、大砲、装備を食い尽くす戦略上の過ちだと考えている。」
ウクライナ軍は人員と装備が不足していて、軍上層部とゼレンスキーの対立がある。これは劣勢あるある、だろう。
さて、これから冬になる。
https://asiatimes.com/2023/11/winter-warfare-which-side-has-the-edge-in-ukraine/
「この紛争の将来は主に天候ではなく、政治的意志と資源の利用可能性にかかっています。ウクライナにとっての核心は軍事装備と弾薬だ」
ロシアの人員と武器は枯渇していない。戦力において、ロシア優位は最初からわかっていた。ウクライナは負けるべくして、負けるのである。
日本のウクライナ応援団は、最初から負けることがほぼ確実であったウクライナに、何を求めていたのか?別の言い方をするなら、ウクライナ勝利に何を自己投影していたのか?
「悪いロシア」を打ち負かす、弱小ウクライナのストーリーであったのだろうか?
しかし、これは事実現実を無視した日本人の歪みにしか、私は見えないのである。
敗戦国日本の生き方が二重に三重に歪んだ結果、無意味で、罪深いウクライナ応援に繋がっていかなかったか?
この頑迷なウクライナ応援団の存在は、日本の精神史において特筆すべき汚点である、と私は総括する。