この間、やはり中国の中東和平に向けた存在感や努力が目立ってきた。 Indian Punchlineが、アラブ諸国と中国の動きを詳述している。 https://www.indianpunchline.com/us-faces-defeat-in-geopolitical-war-in-gaza/ 中国とアメリカ帝国の動きは、真逆というか、対照的であり、そこにある種の問題が本質的に浮かび上がっているかのようだ。 それは「人道」を巡る好対照である。 まず、中国の動きである。 「2023年10月12日、中東問題に関する中国政府特使のザイ・ジュンはサウジアラビア外務省のサウド・M・アルサティ政治担当次官とパレスチナ・イスラエル情勢について電話会談した。 」 https://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/wjbxw/202310/t20231014_11160952.html 「2023年10月13日、中東問題に関する中国政府特使のザイ・ジュンは、アラブ諸国の中国外交特使および在中国アラブ連盟代表団の責任者らと後者の要請に応じてグループ会合を行った。 」 https://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/wjbxw/202310/t20231014_11161042.html 「中国はパレスチナとイスラエルの間の緊張激化による民間人の多大な犠牲を悲しんでおり、民間人に危害を加える動きに反対し、国際法に違反する行為を非難すると述べた。最優先事項は、冷静さを保ち自制心を保ち、民間人を保護し、人道危機を緩和するために必要な条件を提供することです。」 中国とアラブ側とのやりとりは、いずれもガザ地区等パレスチナの人道危機が焦点となっている。即ち、イスラエルによるガザ総攻撃に反対する姿勢である。 このままイスラエルがガザ地区総攻撃に向かう場合、対抗としてアラブの大義を掲げてイランやヒズボラの軍事介入を招きかねず、衝突の拡大も憂慮される状況にあって、極めて道理にかなった対応と言える。 一方、アメリカ帝国。 https://www.state.gov/secretary-blinkens-call-with-peoples-republic-of-china-prc-director-of-the-office-of-the-foreign-affairs-commission-and-foreign-minister-wang-yi/ 2023 年 10 月 14 日、国務省発表。 「アントニー・J・ブリンケン国務長官は本日、中国の王毅外交部長兼外相と会談した。 イスラエルに寄り添い、ハマスによるテロ攻撃を非難するための政権の集中的な外交活動の一環として、長官はイスラエルの自衛権に対する米国の支持を改めて表明するとともに、ハマスの攻撃の即時停止と人質全員の解放を求めた。同長官はまた、地域の安定を維持し、他の当事者が紛争に参入するのを阻止することの重要性についても述べた。」 2023 年 10 月 15日、サウジ側との会談。 https://www.state.gov/secretary-blinkens-meeting-with-saudi-crown-prince-and-prime-minister-mohammed-bin-salman/ 「同長官は、ハマスによるテロ攻撃の阻止、人質全員の解放の確保、紛争の拡大防止に米国が揺るぎなく注力していることを強調した。」 このように、米国が人質問題に焦点を当てていた一方で、中国やサウジ側はガザ地の人道危機に注意を向けたということだ。 アメリカ帝国は、ハマスの行為をテロと決めつけた上で、人質を獲ったハマスを非難している。また、アメリカ帝国はガザ地区を支配するハマスには民衆の支持がない、などと喚いている。逆に、イスラエルはガザ地区民衆はハマスを打倒しなかった罪がある、と喚いている。そう言えば、第一次インティファーダ以外は全てテロだとご託宣をたれたヤカラもいた。 西側の非人道的屁理屈、自己正当化は縦横無尽、変幻自在だ。 日本のB層も、こういう主張にコロッと騙され、同じことを喚くのだろう。 しかし、ガザ地区総攻撃を止めなければ、人質の解放は勿論、事態の収拾も不透明になるだろう。また、ハマスを支持しない〝らしい〟大多数の無辜の民衆に対して総攻撃をかけるイスラエル、それを支持するアメリカ帝国は、その矛盾をどう説明するのか? テロだの、人質だのという前に、なんの正当性もないイスラエルによるガザ地区総攻撃を止めることが最大の課題である。しかし、アメリカ帝国は全くその役割を果たそうとはしていない。
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この間、やはり中国の中東和平に向けた存在感や努力が目立ってきた。
Indian Punchlineが、アラブ諸国と中国の動きを詳述している。
https://www.indianpunchline.com/us-faces-defeat-in-geopolitical-war-in-gaza/
中国とアメリカ帝国の動きは、真逆というか、対照的であり、そこにある種の問題が本質的に浮かび上がっているかのようだ。
それは「人道」を巡る好対照である。
まず、中国の動きである。
「2023年10月12日、中東問題に関する中国政府特使のザイ・ジュンはサウジアラビア外務省のサウド・M・アルサティ政治担当次官とパレスチナ・イスラエル情勢について電話会談した。 」
https://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/wjbxw/202310/t20231014_11160952.html
「2023年10月13日、中東問題に関する中国政府特使のザイ・ジュンは、アラブ諸国の中国外交特使および在中国アラブ連盟代表団の責任者らと後者の要請に応じてグループ会合を行った。 」
https://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/wjbxw/202310/t20231014_11161042.html
「中国はパレスチナとイスラエルの間の緊張激化による民間人の多大な犠牲を悲しんでおり、民間人に危害を加える動きに反対し、国際法に違反する行為を非難すると述べた。最優先事項は、冷静さを保ち自制心を保ち、民間人を保護し、人道危機を緩和するために必要な条件を提供することです。」
中国とアラブ側とのやりとりは、いずれもガザ地区等パレスチナの人道危機が焦点となっている。即ち、イスラエルによるガザ総攻撃に反対する姿勢である。
このままイスラエルがガザ地区総攻撃に向かう場合、対抗としてアラブの大義を掲げてイランやヒズボラの軍事介入を招きかねず、衝突の拡大も憂慮される状況にあって、極めて道理にかなった対応と言える。
一方、アメリカ帝国。
https://www.state.gov/secretary-blinkens-call-with-peoples-republic-of-china-prc-director-of-the-office-of-the-foreign-affairs-commission-and-foreign-minister-wang-yi/
2023 年 10 月 14 日、国務省発表。
「アントニー・J・ブリンケン国務長官は本日、中国の王毅外交部長兼外相と会談した。
イスラエルに寄り添い、ハマスによるテロ攻撃を非難するための政権の集中的な外交活動の一環として、長官はイスラエルの自衛権に対する米国の支持を改めて表明するとともに、ハマスの攻撃の即時停止と人質全員の解放を求めた。同長官はまた、地域の安定を維持し、他の当事者が紛争に参入するのを阻止することの重要性についても述べた。」
2023 年 10 月 15日、サウジ側との会談。
https://www.state.gov/secretary-blinkens-meeting-with-saudi-crown-prince-and-prime-minister-mohammed-bin-salman/
「同長官は、ハマスによるテロ攻撃の阻止、人質全員の解放の確保、紛争の拡大防止に米国が揺るぎなく注力していることを強調した。」
このように、米国が人質問題に焦点を当てていた一方で、中国やサウジ側はガザ地の人道危機に注意を向けたということだ。
アメリカ帝国は、ハマスの行為をテロと決めつけた上で、人質を獲ったハマスを非難している。また、アメリカ帝国はガザ地区を支配するハマスには民衆の支持がない、などと喚いている。逆に、イスラエルはガザ地区民衆はハマスを打倒しなかった罪がある、と喚いている。そう言えば、第一次インティファーダ以外は全てテロだとご託宣をたれたヤカラもいた。
西側の非人道的屁理屈、自己正当化は縦横無尽、変幻自在だ。
日本のB層も、こういう主張にコロッと騙され、同じことを喚くのだろう。
しかし、ガザ地区総攻撃を止めなければ、人質の解放は勿論、事態の収拾も不透明になるだろう。また、ハマスを支持しない〝らしい〟大多数の無辜の民衆に対して総攻撃をかけるイスラエル、それを支持するアメリカ帝国は、その矛盾をどう説明するのか?
テロだの、人質だのという前に、なんの正当性もないイスラエルによるガザ地区総攻撃を止めることが最大の課題である。しかし、アメリカ帝国は全くその役割を果たそうとはしていない。