私は基本的には戦闘によりハマスは負け、ガザ地区は壊滅的被害を受け、多くの人命が失われる悲劇となる、と受け止めている。 だから、一刻も早い停戦を願わずにはいられない。 しかし、ハマスによる抵抗、軍事作戦は反植民地民族解放闘争であると評価している。だから、大義はハマスとパレスチナ人にあると考えている。 最終的には、イスラエルはハマスを軍事力によりねじ伏せに行くと考えているものの、様々な見解や論評にせっすると、いくつかのこれまでに無かった新たな要素はイスラエル側に相当な政治的軍事的打撃を与える可能性を含んでいるようだ。 注目点は次のあたりではなかろうか? ①レバノンのヒズボラが大規模な軍事介入するか、どうか? Indian PunchlineのMK バドラクマール氏は、この点について次のように書いた。 「ガザでの戦争が長引けば、イスラエルの資源は莫大に消耗し、国を弱体化させるだけだ。その結果は誰にもわからない。しかし一方で、イスラエルは外交的選択肢もないと考えている。その上、ヒズボラが参戦すれば、先週の土曜日にイスラエルで起きたことはすべてピクニックに思えるだろう。20万発近いロケット弾をイスラエルのほぼ隅々まで撃ち込んでいるヒズボラには、イスラエルを包括的に破壊する能力がある。」 https://www.indianpunchline.com/iran-warns-israel-against-its-apocalyptic-war/ ②アメリカ帝国は中東での軍事介入まで行う余力はない。 以下もMK バドラクマール氏の見解。 「東地中海への2隻の米空母の配備は、ヒズボラに強いメッセージを送ることを主な目的としている。その一方で、ウクライナと台湾に加え、西アジア地域が当分の間、米国と関わりを持ち続けることも強調している。これが帝国の行き過ぎでないとしたら、何なのか。何かが道を譲らなければならない。」 ③イランがハマスの強い後ろ盾になっている。その更に後陣には中露、グローバルサウスがいる。 「ガザとの終末的な戦争に突入したイスラエルに「連帯」を表明する国が、インドなど一握りのケースを除いて、グローバル・サウスにほとんどないのは明らかであり、イスラエル国内の矛盾は遅かれ早かれ崩壊するのを待っている。」(Indian Punchline) ロシアについては、プーチンとネタニヤフは比較的親しいという間柄とか、多数いる露系イスラエル人の存在から、中立を装ってきたが、今後政策を転換するだろう、という観測がある。 「イスラエルとアラブの間の等価性と曖昧さの政策から、ロシアはアラブ側に関与する政策に到達した。その原動力は、ウクライナを通じてロシアを敗北させ、破壊しようとするアメリカの戦争である。新たなパレスチナ戦争が長引けば長引くほど、中東におけるロシアの軍事的・政治的戦略は、新たな反米路線を追求することになる。その結果は、ロシアが現在ヨーロッパに与えている米国とNATOの敗北や、世界の商品市場と海上貿易路における西側の制裁戦争と同じくらい大きい。」 https://johnhelmer.net/the-silence-of-the-bears-russia-is-reorienting-towards-the-arabs/ 更にプーチン氏とトルコのエルドアン氏は電話会談し、「イスラエルとパレスチナの緊張、人道支援について語」ったとのこと。 https://www.dailysabah.com/politics/diplomacy/erdogan-putin-discuss-israel-palestine-tensions-humanitarian-aid 具体的には次のようなことらしい。 「これは、エルドアンとプーチンが、シリア沿岸のタルトゥス基地からロシア海軍が、またフメイミム基地からロシア空軍が、イスラエル軍の攻撃から守りながら、ガザへの支援物資を輸送するトルコ船団を考えていることを示唆している。この海上での人道的作戦は、イスラエルによる沿岸封鎖を破り、さらに沖合にあるUSSジェラルド・フォードとその飛行隊の試練を乗り越えることを目的としている。 2010年のガザ船団を思い起こさせるこの作戦が現在計画中であり、ワシントンと米海軍にそのように予定するよう警告している。 ガザへの海上人道支援船団をロシア軍が保護する計画は、エジプトにも及んでいる。 このことは、エジプトのサメ・シュクリ外相がセルゲイ・ラブロフ外相と交わした会話の中で触れられている。 その後、エジプトの報道機関が、ガザ南端のラファ陸橋を渡ってガザに援助物資を運ぶエジプトのトラックを止めるよう、イスラエルが警告し、爆撃を行ったことを明らかにした。」 エジプトはパレスチナ難民の受け入れの余地がないため、ロシア、トルコの主導により海上人道回廊を設置に動いているようだ。 それにしては、醜悪なのは、空母を差し向けてのヒズボラ、パレスチナ人威嚇をし、しかもイスラエルに武器支援をして、戦闘を煽るアメリカ帝国である。プーチン氏の爪のアカでも煎じて飲ませるのが、バイデンには相応しい。 様々な要素を総合的に評価すると、大義のない抑圧者イスラエルは、戦闘で勝っても政治的には弱体化する可能性があるのではなかろうか?それは、アメリカ帝国の弱体化、世界の多極化が終局的にはパレスチナ人に有利に作用するのではないか、と考えているからだ。 アメリカ帝国とシオニストの没落が中東の平和の鍵だと考えている。
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私は基本的には戦闘によりハマスは負け、ガザ地区は壊滅的被害を受け、多くの人命が失われる悲劇となる、と受け止めている。
だから、一刻も早い停戦を願わずにはいられない。
しかし、ハマスによる抵抗、軍事作戦は反植民地民族解放闘争であると評価している。だから、大義はハマスとパレスチナ人にあると考えている。
最終的には、イスラエルはハマスを軍事力によりねじ伏せに行くと考えているものの、様々な見解や論評にせっすると、いくつかのこれまでに無かった新たな要素はイスラエル側に相当な政治的軍事的打撃を与える可能性を含んでいるようだ。
注目点は次のあたりではなかろうか?
①レバノンのヒズボラが大規模な軍事介入するか、どうか?
Indian PunchlineのMK バドラクマール氏は、この点について次のように書いた。
「ガザでの戦争が長引けば、イスラエルの資源は莫大に消耗し、国を弱体化させるだけだ。その結果は誰にもわからない。しかし一方で、イスラエルは外交的選択肢もないと考えている。その上、ヒズボラが参戦すれば、先週の土曜日にイスラエルで起きたことはすべてピクニックに思えるだろう。20万発近いロケット弾をイスラエルのほぼ隅々まで撃ち込んでいるヒズボラには、イスラエルを包括的に破壊する能力がある。」
https://www.indianpunchline.com/iran-warns-israel-against-its-apocalyptic-war/
②アメリカ帝国は中東での軍事介入まで行う余力はない。
以下もMK バドラクマール氏の見解。
「東地中海への2隻の米空母の配備は、ヒズボラに強いメッセージを送ることを主な目的としている。その一方で、ウクライナと台湾に加え、西アジア地域が当分の間、米国と関わりを持ち続けることも強調している。これが帝国の行き過ぎでないとしたら、何なのか。何かが道を譲らなければならない。」
③イランがハマスの強い後ろ盾になっている。その更に後陣には中露、グローバルサウスがいる。
「ガザとの終末的な戦争に突入したイスラエルに「連帯」を表明する国が、インドなど一握りのケースを除いて、グローバル・サウスにほとんどないのは明らかであり、イスラエル国内の矛盾は遅かれ早かれ崩壊するのを待っている。」(Indian Punchline)
ロシアについては、プーチンとネタニヤフは比較的親しいという間柄とか、多数いる露系イスラエル人の存在から、中立を装ってきたが、今後政策を転換するだろう、という観測がある。
「イスラエルとアラブの間の等価性と曖昧さの政策から、ロシアはアラブ側に関与する政策に到達した。その原動力は、ウクライナを通じてロシアを敗北させ、破壊しようとするアメリカの戦争である。新たなパレスチナ戦争が長引けば長引くほど、中東におけるロシアの軍事的・政治的戦略は、新たな反米路線を追求することになる。その結果は、ロシアが現在ヨーロッパに与えている米国とNATOの敗北や、世界の商品市場と海上貿易路における西側の制裁戦争と同じくらい大きい。」
https://johnhelmer.net/the-silence-of-the-bears-russia-is-reorienting-towards-the-arabs/
更にプーチン氏とトルコのエルドアン氏は電話会談し、「イスラエルとパレスチナの緊張、人道支援について語」ったとのこと。
https://www.dailysabah.com/politics/diplomacy/erdogan-putin-discuss-israel-palestine-tensions-humanitarian-aid
具体的には次のようなことらしい。
「これは、エルドアンとプーチンが、シリア沿岸のタルトゥス基地からロシア海軍が、またフメイミム基地からロシア空軍が、イスラエル軍の攻撃から守りながら、ガザへの支援物資を輸送するトルコ船団を考えていることを示唆している。この海上での人道的作戦は、イスラエルによる沿岸封鎖を破り、さらに沖合にあるUSSジェラルド・フォードとその飛行隊の試練を乗り越えることを目的としている。 2010年のガザ船団を思い起こさせるこの作戦が現在計画中であり、ワシントンと米海軍にそのように予定するよう警告している。
ガザへの海上人道支援船団をロシア軍が保護する計画は、エジプトにも及んでいる。
このことは、エジプトのサメ・シュクリ外相がセルゲイ・ラブロフ外相と交わした会話の中で触れられている。 その後、エジプトの報道機関が、ガザ南端のラファ陸橋を渡ってガザに援助物資を運ぶエジプトのトラックを止めるよう、イスラエルが警告し、爆撃を行ったことを明らかにした。」
エジプトはパレスチナ難民の受け入れの余地がないため、ロシア、トルコの主導により海上人道回廊を設置に動いているようだ。
それにしては、醜悪なのは、空母を差し向けてのヒズボラ、パレスチナ人威嚇をし、しかもイスラエルに武器支援をして、戦闘を煽るアメリカ帝国である。プーチン氏の爪のアカでも煎じて飲ませるのが、バイデンには相応しい。
様々な要素を総合的に評価すると、大義のない抑圧者イスラエルは、戦闘で勝っても政治的には弱体化する可能性があるのではなかろうか?それは、アメリカ帝国の弱体化、世界の多極化が終局的にはパレスチナ人に有利に作用するのではないか、と考えているからだ。
アメリカ帝国とシオニストの没落が中東の平和の鍵だと考えている。