>数量要因で22.8兆円減少。それだけ証券資産が売却されたということだ。 >欧米の中央銀行による急ピッチの利上げサイクルが続き、その影響で株式市場・債券市場ともに大幅下落を記録した結果、それがそのまま対外証券投資残高の減少という形で表れた。 これらは、基本的には昨年秋くらいから顕著になった米欧の金融不安の影響ではないか?米欧が主導した金融資本主義は最早世界経済を牽引するエンジンにはならなくなったのではないか? そして、やはり気になるのは、対外純資産には外貨準備高が多くを占めるということだが、外貨準備高には多額のアメリカ帝国国債が含まれているという。 https://www.smd-am.co.jp/glossary/YST2803/ 「外貨準備は政府と日銀にあり、9割以上が政府の外為特会で保有されている。多くが米国債などのドル建て資産で、為替相場の急激な変動に対応する備えとして運用されている。」 https://www.tokyo-np.co.jp/article/211227 しかし、前にも書いたが、「資産」と言ったとき、重要なポイントは含み損を抱えて目減りしない安定性と、換価性(比較的スムーズな換金性)ではないか、とかんがえている。 そうして見たとき、アメリカ帝国国債は大丈夫なのか?中国はアメリカ帝国国債を大量に売却して金に変えているという。 「中華人民共和国(中国)は、ドル金利の上昇と不安定な国際環境の中で米国債を売却し、そのドルを貴金属への投資に利用して金を蓄積してきた。米財務省が3月に発表したデータによると、中国の財務省国債保有額は2023年1月に8594億ドルに減少し、6カ月連続で減少した。」 「ドルの覇権を「悪用」する この報告書に記載されている傾向は、すべて米ドルへの依存度を下げ、国際決済を各国の決済手段に切り替えようとする動きと一体のものである。このような動きは、米国がドルの覇権を「乱用」しているため、世界中で活発化していると、同メディアは強調している。西側諸国がこぞって行った反ロシア制裁、中央銀行の預金凍結、SWIFTからの切り離し、中国の産業に対する制限など、自業自得のダメージがある中で、多くの国々が米ドルに依存することを躊躇するようになった。」 https://sputnikglobe.com/20230513/china-sells-us-debt-stockpiles-gold-amid-de-dollarization-trend-1110316383.html ただでさえ、昨年からのインフレを背景にして米欧は利上げを続けてきた。当然、国債等の債権価格下落圧力なる。 それに加えて、中露等非米側はドル覇権を崩すために意図的な揺さぶりを開始している。ドル覇権に対して、世界は愛想を尽かし始めている。 アメリカ帝国経済が実業に基づく底堅さを維持しているなら中露の挑戦を跳ね返るかもしれないが、アメリカ帝国経済は数十年もの間、金融資本主義による虚偽の錬金術に明け暮れてきた。マネーゲームによるバブルは一部の大金持ちに富が集中する不平等経済であった。 虚業の経済が実業に勝つのはおかしい。 世界の実業を握っているのは、資源類や世界の需要を満たすための工場として生産を担う中露等非米側である。 その非米側の雄、中国がアメリカ帝国国債を大量に売り始めたのである。 一層、アメリカ帝国国債の価格下落圧力は増すことだろう。債務上限引き上げにより、デフォルト回避のように見られているが、実際のところ、ウクライナを舞台にした戦争が続くならインフレ圧力は増大する。そうすると、利上げは続き、中国のアメリカ帝国国債売り浴びせは続くだろう。 従って、アメリカ帝国国債の債権価格下落圧力は続くのではないか。当然、弱小金融機関は含み損を抱え、倒産の淵に立つ。このような構造的な負のスパイラルはなにも変わっていない。 そして、アメリカ帝国の属国にしてATM我が日本である。 親分アメリカ帝国の借金の肩代わりを大量に押し付けられているわけだが、借金のし過ぎで信用を失った(即ち含み損増大、国債価格下落、財政破綻)親分アメリカ帝国の損切りをしたくても、その証文(国債)を売って金に変えることは許されない。親分アメリカ帝国が許さないし、日本は親分が怖くて仕方ないから。 こんなイメージではなかろうか? 即ち、日本は含み損を抱えたジャンク債を大量に保有しているが、属国故に売るに売れず、売ればますます価格下落圧力を加速させる負のスパイラルに陥っていないか? 「「世界最大の対外純資産国」を維持」と言っても、資産は安定した収益性があり、直ぐに現金に変えられるものでなければ資産価値は大したことはない、と私は考えている。 その意味で、日本の保有する資産価値はそんなに威張れるものか、疑問を持っている。
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(ID:119568177)
>数量要因で22.8兆円減少。それだけ証券資産が売却されたということだ。
>欧米の中央銀行による急ピッチの利上げサイクルが続き、その影響で株式市場・債券市場ともに大幅下落を記録した結果、それがそのまま対外証券投資残高の減少という形で表れた。
これらは、基本的には昨年秋くらいから顕著になった米欧の金融不安の影響ではないか?米欧が主導した金融資本主義は最早世界経済を牽引するエンジンにはならなくなったのではないか?
そして、やはり気になるのは、対外純資産には外貨準備高が多くを占めるということだが、外貨準備高には多額のアメリカ帝国国債が含まれているという。
https://www.smd-am.co.jp/glossary/YST2803/
「外貨準備は政府と日銀にあり、9割以上が政府の外為特会で保有されている。多くが米国債などのドル建て資産で、為替相場の急激な変動に対応する備えとして運用されている。」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/211227
しかし、前にも書いたが、「資産」と言ったとき、重要なポイントは含み損を抱えて目減りしない安定性と、換価性(比較的スムーズな換金性)ではないか、とかんがえている。
そうして見たとき、アメリカ帝国国債は大丈夫なのか?中国はアメリカ帝国国債を大量に売却して金に変えているという。
「中華人民共和国(中国)は、ドル金利の上昇と不安定な国際環境の中で米国債を売却し、そのドルを貴金属への投資に利用して金を蓄積してきた。米財務省が3月に発表したデータによると、中国の財務省国債保有額は2023年1月に8594億ドルに減少し、6カ月連続で減少した。」
「ドルの覇権を「悪用」する
この報告書に記載されている傾向は、すべて米ドルへの依存度を下げ、国際決済を各国の決済手段に切り替えようとする動きと一体のものである。このような動きは、米国がドルの覇権を「乱用」しているため、世界中で活発化していると、同メディアは強調している。西側諸国がこぞって行った反ロシア制裁、中央銀行の預金凍結、SWIFTからの切り離し、中国の産業に対する制限など、自業自得のダメージがある中で、多くの国々が米ドルに依存することを躊躇するようになった。」
https://sputnikglobe.com/20230513/china-sells-us-debt-stockpiles-gold-amid-de-dollarization-trend-1110316383.html
ただでさえ、昨年からのインフレを背景にして米欧は利上げを続けてきた。当然、国債等の債権価格下落圧力なる。
それに加えて、中露等非米側はドル覇権を崩すために意図的な揺さぶりを開始している。ドル覇権に対して、世界は愛想を尽かし始めている。
アメリカ帝国経済が実業に基づく底堅さを維持しているなら中露の挑戦を跳ね返るかもしれないが、アメリカ帝国経済は数十年もの間、金融資本主義による虚偽の錬金術に明け暮れてきた。マネーゲームによるバブルは一部の大金持ちに富が集中する不平等経済であった。
虚業の経済が実業に勝つのはおかしい。
世界の実業を握っているのは、資源類や世界の需要を満たすための工場として生産を担う中露等非米側である。
その非米側の雄、中国がアメリカ帝国国債を大量に売り始めたのである。
一層、アメリカ帝国国債の価格下落圧力は増すことだろう。債務上限引き上げにより、デフォルト回避のように見られているが、実際のところ、ウクライナを舞台にした戦争が続くならインフレ圧力は増大する。そうすると、利上げは続き、中国のアメリカ帝国国債売り浴びせは続くだろう。
従って、アメリカ帝国国債の債権価格下落圧力は続くのではないか。当然、弱小金融機関は含み損を抱え、倒産の淵に立つ。このような構造的な負のスパイラルはなにも変わっていない。
そして、アメリカ帝国の属国にしてATM我が日本である。
親分アメリカ帝国の借金の肩代わりを大量に押し付けられているわけだが、借金のし過ぎで信用を失った(即ち含み損増大、国債価格下落、財政破綻)親分アメリカ帝国の損切りをしたくても、その証文(国債)を売って金に変えることは許されない。親分アメリカ帝国が許さないし、日本は親分が怖くて仕方ないから。
こんなイメージではなかろうか?
即ち、日本は含み損を抱えたジャンク債を大量に保有しているが、属国故に売るに売れず、売ればますます価格下落圧力を加速させる負のスパイラルに陥っていないか?
「「世界最大の対外純資産国」を維持」と言っても、資産は安定した収益性があり、直ぐに現金に変えられるものでなければ資産価値は大したことはない、と私は考えている。
その意味で、日本の保有する資産価値はそんなに威張れるものか、疑問を持っている。