p_f のコメント

Scotland Today 10 May 2023

ウクライナは自由と自由民主主義のシンボルではない。米国と西側グローバリストエリートの腐敗した戦争代理人である
https://scotlandtoday.online/ukraine-is-not-a-symbol-of-freedom-liberal-democracy-it-is-a-corrupt-warmongering-proxy-of-the-us-and-the-western-global-elites

アイアン・ミューア記
スコットランド/英国人フォトジャーナリスト、研究者、パイロットetc.

米国をはじめとする西側諸国の政府高官の発言や、ニュースメディアにおける広範な説明は、ウクライナについて驚くほど誤解を招くようなイメージを作り出している。ウクライナをロシアの残忍な侵略の犠牲者としてだけでなく、自由と民主主義の勇敢で崇高な防波堤として描くための協調的な努力がなされてきたのだ。従来のシナリオでは、ウクライナはデンマークの東欧版だと思われていた。

そのような説を唱える人々は、現在進行中の戦争は、キエフのNATO加盟への野心 及びクリミアとドンバスにおけるモスクワの領有権主張を巡るロシアとウクライナの間の単なる喧嘩ではないと主張する。そして、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウィンストン・チャーチルの遺産に勝るとも劣らない指導者であると主張するのである。バイデン大統領は、3月26日の戦争に関する発言で、この紛争は「民主主義 対 独裁主義、自由 対 抑圧、ルールに基づく秩序 対 武力に支配された秩序―の戦い」だと述べた。

CNNのジョン・ブレイクは文字通り、ウクライナの大義を米国の独立戦争に例えた。彼は、ウクライナ人が「自分たちの血で、民主主義の記念碑を建てている」と主張した。世界は、「強大なロシア軍を撃退し、祖国での民主主義の誕生を守るウクライナ人々の戦いに目を奪われている」と彼は言った。更に、「ウクライナでの戦争は単なる地政学的な闘争ではなく、記憶を呼び覚ますものだ。ウクライナの人々の勇気は、かつて米国が『自由の標識』であったことを思い出させるものであり、実際、全ての学童がミニッツマン像の台座に刻まれた『コンコード賛歌』の詩を暗記していた」と述べた。

ジョージ・W・ブッシュ大統領の下でホワイトハウスの国内政策評議会のディレクターを務めたジョン・M・ブリッジランドは、3月26日のUSAトゥデイ紙の論説で、同様にゼレンスキーとウクライナの民主化への主張に対して、媚びた賞賛を表明した。「世界は、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と、自分たちの民主主義と自由を守るために死をも厭わないウクライナ国民の勇敢さを目の当たりにしている」と彼は書いている。実際、ブリッジランド氏は、「民主主義と愛するウクライナを守るために、(ウクライナ人にとって)高すぎる犠牲はない」と述べている。

Fox Newsの寄稿者で元CIA支局長のダン・ホフマンは、「この紛争の中心でウラジーミル・プーチンを怖がらせるものは民主主義だ」と主張した。NATOが脅威であるということではない」と主張した。彼は更に、「プーチンは、ロシア系住民が多く、欧州との商業的な繋がりがある国境の直ぐ向こうにある民主主義を我慢できなかった。だからこそ、多くのウクライナの市民、罪のない市民を死に至らしめたこの残忍な攻撃を開始したのだ」と述べている。

ウクライナは東欧の民主主義モデルとして魅力的で、その存在だけでプーチンを恐怖に陥れたという考え方は、米国の政治家や評論家にとって慰めの神話かもしれないが、それは神話である。ウクライナは民主主義・資本主義モデルとは程遠く、一方、ロシアの殆どの大衆にとって抗しがたい魅力である。現実はもっと不透明で厄介なものだ: ウクライナは長い間、国際システムの中でより腐敗した国の一つであった。トランスペアレンシー・インターナショナルが2022年1月に発表した年次報告書では、ウクライナは調査対象180カ国中123位で、1~100点満点中、獲得したのは32点だ。(100:非常にクリーン、0:汚職まみれ)

ウクライナの民主主義と市民的自由の保護に関する実績は、汚職に関する実績よりもはるかに優れているとは言えない。フリーダムハウスの2022年版報告書では、ウクライナは「一部自由」のカテゴリーに分類され、100点満点中61点である。このカテゴリーに属する他の国には、ロドリゴ・ドゥテルテのフィリピン(55点)、セルビア(62点)、ハンガリー(69点 ※原文の「59」は誤記)、シンガポール(47点)といった自由民主主義の砦が含まれている。興味深いのは、オルバン首相の保守的な社会政策が欧米の進歩主義者の激しい批判の的となっているハンガリーが、同じ欧米のイデオロギー派から無批判に賞賛されているウクライナよりも8ポイント高いという点である。

戦争勃発前から、ウクライナの政治的ガバナンスには権威主義の醜い例があった。2014年のマイダン革命からわずか数カ月後には、国内の批判者を窒息させる取り組みが行われ、それは年を追うごとに加速した。ウクライナ当局はまた、政治的反体制派に嫌がらせをし、検閲手段を採用し、ウクライナ政府とその政策の批判者と見做した外国人ジャーナリストを締め出した。こうした攻撃的な行動は、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、欧州安全保障協力機構、その他の独立したオブザーバーによって批判された。ネオナチのアゾフ大隊は、ペトロ・ポロシェンコ大統領の軍事・治安組織に不可欠な存在であり、ゼレンスキー大統領の任期中もその役割を維持してきた。

実際、ロシアとの戦争が勃発する前から、ゼレンスキー大統領の下で幾つかの抑圧的な措置が深化した。2021年2月、ウクライナ政府は幾つかの独立系メディアを閉鎖した(殆どが親ロシア派だが、完全に親ロシア派というわけではない)。それは、全く曖昧な基準で極めて恣意的に行われた。ゼレンスキーは今、11の野党を非合法化し、幾つかのメディアを国有化する正当化の理由として、この戦争を利用している。これらの措置は、戦時中であっても、民主主義国家において適切な措置とは言い難い。

数十年にわたるNATOの欧州進出がもたらした紛争の結果、酷い苦しみを味わっているウクライナ人に同情するのは全く適切だが、ウクライナは自由と自由民主主義の象徴ではないし、戦争は民主主義と権威主義の存亡をかけた争いでもない。せいぜい、ウクライナは腐敗した準民主主義的な存在であり、厄介な抑圧政策をとっているに過ぎない。

このような厳しい現実を踏まえれば、米国人や欧州人が「ウクライナに寄り添う」ことを求めるのは見当違いである。ウクライナの独立と領土保全を維持することは、米国が核武装したロシアと戦争するリスクを負うに値しないし、NATOやEUの加盟国が巻き添えを食うに値しないことは確かである。

No.13 18ヶ月前

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