中庸左派 のコメント

>物価が高騰している。他方、賃金上昇はこれに呼応せず、実質賃金は低下している。

 連合の「2023 春季生活闘争方針」を読んだことある人はあまりいないだろう。

 実は連合系の組合活動家であった私も、連合の春闘方針など気にもしたこと無かった。何故なら、私は正規の「労働貴族」的ポジションだったから、就職してから生活に困ったことはほぼ無い。勿論、私は大金持ちではない。だが生活に困ったこともない。分相応に暮らしてきただけだから、春闘は意識したことはない。最も、組合のルーティンワークとして、「決起集会」とかには参加してきた。こういうカンジは、世間はあまり知らないであろう。労働組合あるある、である。

 それで、改めて2023連合の春闘方針を見てみた。

 冒頭、こんな文言。「「未来づくり春闘」でデフレマインドを断ち切り、ステージを変えよう世界経済はコロナ禍のマイナス成長から回復を続けてきたが、ロシアのウクライナ侵攻や米中関係の変化など不安定な国際情勢のもとで、欧米主要国ではインフレが進行しており景気後退に入る可能性もある。」

 どうだろうか?一読して、私の感想。「緊張感ないなー!」

 これは、昨年12月発表の方針。昨年12月と言えば、物価高は生活実感として、私自身チャンと実感されていたし、「デフレマインドを断ち切り」じゃなくて、既にインフレ!みたいな突っ込みを、私はしたのであった(ココロの中で)。

 ただ、連合は基本的に、非正規や中小労働者をあまり組織していないから、この緊張感の無さはさもありなん。実を言うなら、私自身、インフレに喘いでいるかというと、そこまでの切迫感はない。

 houshin20221201.pdf (jtuc-rengo.or.jp)

 お暇な方は連合の春闘方針、お読み下さい。

 もう一つ、気になった点。

 連合は「ロシアのウクライナ侵攻や米中関係の変化など不安定な国際情勢のもとで、欧米主要国ではインフレが進行しており景気後退に入る可能性もある」といっている。ロシアとウクライナ戦争状態が、インフレと景気後退の原因と認識しているなら、停戦や和平について、何故求めない?

 かつて総評労働運動は、国際反戦デーを呼び掛けたのである。

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%8F%8D%E6%88%A6%E3%83%87%E3%83%BC

 連合の春闘方針は、まるで、それはそれ、これはこれ、世の中いろいろあるけど、とりあえず賃上げよろしく!みたいな、テキトー感が過ぎるカンジなのである。

 感覚的に言うなら、政治的脱臭感が強すぎて、まるでお役所的官僚的文章。必要最低限のことしか書いていない。だから、私は内容に反対するわけではない、しかし、労働組合がどうしてそこまで中立公正を装う必要があるのか、私にはまるで分らない。

 経団連とも、政府とも、俺たち労働者は立場違うぜ!みたいな決然とした立場性が見えない。物分かりが良い、あたりさわりない、中庸な精神性しか見えない。「中庸」?と思わず書いて、あっ、それはオレか・・・、と。これ以上書くと、私自身の立ち位置が問われるので、もうやめめす。

No.7 20ヶ月前

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