RT 31 Mar, 2023 トランプ氏の起訴で新たな深みに達したリアリティ番組「アメリカ」 https://www.rt.com/news/573471-indictment-trump-soros-us/ 米国政治は、同国初の元大統領の起訴でさらに下品になった- 米国のジャーナリスト トニー・コックス記 ブルームバーグ、複数の主要日刊紙で執筆/編集を担当 米国の政治がこれ以上下品になることはないと思っていた矢先、ニューヨーク市の検事アルビン・ブラッグとドナルド・トランプ前大統領が、この国がまだ底をついていないことを証明した。 米国の政治システムは今やリアリティ番組と同じであり、木曜日にマンハッタンの大陪審によってトランプが起訴されたことで、視聴者はこの番組がいかに下品で不愉快なものになっているかに慄然とするはずである。実際、もし台本のある昼メロであれば、昼間のテレビの視聴者にとっては、あまりにも信じがたい、ダサいものであっただろう。 ストーリーを考えてみると、共和党の有力な大統領候補との不倫疑惑について、口止め料として芸名「ストーミー・ダニエルズ」というポルノ女優に13万ドルを支払うことから始まる。そして、元リアリティTVスターで、2度の離婚を経験し、現在は24歳年下の元モデルと結婚している、お騒がせな被告人。さらに、マンハッタン地区検事であるブラッグも忘れてはならない。彼は民主党の大富豪ジョージ・ソロスの資金援助を受けており、極左であるため、正当防衛や共和党の容疑者が絡んでいない限り、犯罪の疑いを起訴することに大抵アレルギーがある。 良いドラマの基本は、視聴者に登場人物の誰かに共感させることだが、今回は誰かを応援するのは難しい。まず、AV女優に口止め料を支払う理由がありそうな大統領というのが、かなり不愉快だ。米国の大統領としては初めてのことだろう。彼はまた、次のような「米国初の大統領」でもある:プロレス興行「レッスルマニア」の寸劇に出演し、6つの事業を倒産させて債権者への支払いを免れながら億万長者になり、女性の「○部」をつかむことを自慢するテープが見つかったり、カジノに隣接する駐車場を作るために高齢の女性を家から追い出そうとしたり...見苦しい「初の」を挙げればきりがない。ジェリー・スプリンガーのタブロイド・トークTV番組が政治家をゲストに迎えるならば、トランプは真っ先に招待されるであろうことは言うまでもない。 木曜日の起訴により、2度の弾劾を受けたトランプは、現職または元米国大統領として初めて刑事責任を問われることになった。ソロスは、政治的ライバルを排除するために刑事司法制度を利用することで、危険な新しい前例を作ってしまった。自由と民主主義を守ると豪語する人たちが、2024年の選挙で有権者の選択肢からトランプ氏を外し、実質的に有権者が誰を選べるかを決めようとしている。これはバナナ共和国の行動であり、もう後戻りはできない。 また、トランプ氏は、そのすべての欠点について、間違った理由で訴追されていることも皮肉なことだ。歪んだ司法制度にありがちなことだが、悪党とされる人物が重大な犯罪を犯しても罰せられることはなく、むしろ、この事件はインチキや些細なことが原因である。 たとえポルノ女優であっても、口止め料を支払うことは違法ではない。法学者のジョナサン・ターリーが指摘するように、ブラッグは、米司法省と連邦選挙委員会の両方が追求する価値がないと判断した7年前の疑惑を蘇らせようとしているのだ。即ち、関連する可能性のある刑事責任―政治献金の申告漏れ―であり、これを問うならば、その支払いがトランプの大統領選挙を助けるという唯一の目的のために行われたことを証明する必要がある。だが、別の動機で行われた可能性も否めないだろう。既婚の有名人や実業家ならば、今回のような恥ずかしい疑惑が公になるのを防ぐため、ということだ。 ブラッグ氏は、「バッドオレンジマン」を起訴するという公約を掲げて検事選に臨んだが、それを実行することで、トランプ嫌いの支持者をなだめるというプレッシャーを感じたのだろう。彼は昨年、前大統領の告訴を断念したことで批判にさらされ、彼のチームの2人の上級検事が嫌気がさして辞任することになった。ターリー氏は、ブラッグ氏の前大統領に対する裁判を「政治的に長く、法的には短い」と評した。 このエピソード全体が額面通りでも十分に嫌なものでないかのように、企業メディアはいつものように誇張と偏向を行い、トランプを刑務所に入れるという民主党の最新の努力を応援している。それと同じくらい不愉快なことに、トランプは起訴を資金集めの道具として使い、支持者に彼のために抗議するよう促している。 トランプ氏の騒動が話題になるということは、過去数十年の間に米国の政治がいかに下降線をたどり、品位や礼儀の感覚が遠い記憶になってしまったかを反映している。ほんの20年前でも、米国で選ばれた高官としての基準がここまで低下するとは考えにくかった。 例えば、2004年と2008年に民主党の大統領候補となったジョン・エドワーズ元上院議員の政治キャリアは、不倫の発覚によって実質的に終了した。かつては、このようなスキャンダルはキャリアキラーだと思われていた。1988年の大統領選で民主党の最有力候補だったゲイリー・ハートは、不倫のニュースが流れた後、不名誉にも降板してしまった。トランプ氏以前には、離婚歴のある米国大統領は1人しかおらず、有能な演説家ロナルド・レーガン氏は、当選する30年以上前に起きた破局を有権者に忘れさせることができた。 トランプの後継者であるジョー・バイデンは、1988年の最初の大統領選挙が剽窃と不正のスキャンダルで台無しになった後、政治的な笑いものになった。2020年の大統領選に出馬する頃には、彼は高齢で混乱した失言マシーンとなっており、その嘘は頻度を増すばかりだった。彼はまた、元インターンから性的暴行で告発され、バイデンが公的なイベントで若い女の子に不愉快なほど接近しているビデオ映像を、世界中がオンラインで見ることができるようになった。 有権者はどうやら気にしていなかったようで、メディアは1988年とは大きく異なるアプローチをとり、バイデンの人格を入念にチェックするのではなく、バイデンを守るために敵の攻撃を阻止した。実際、2020年の選挙の数週間前に、バイデン一家の影響力行使の作戦を暴露する爆弾報道がなされたとき、マスコミはその記事を潰し、ロシアの偽情報であるという嘘を広めるのに貢献した。バイデンの息子、ハンターが捨てたラップトップコンピュータに含まれる証拠には驚くほど関心を示さなかった。彼は薬物検査の失敗で海軍予備役から追い出され、ストリッパーだった時に出会ったとされる女性と婚外子を作り、彼は兄の未亡人と不倫していた。 もしこれが、米国が提供する最高のものであるならば、この国は政治よりも大きな問題を抱えている。米国は日々、分裂し、機能不全に陥り、堕落し、退化していく。ローマ帝国は、その死期が迫っていた時、2023年の米国ほど堕落し、腐敗していただろうか?ローマ帝国は、自分たちをどこにも負けない優れた存在とみなし、世界を支配する運命にあると感じていたのだ。 ローマ帝国の崩壊は、決して美しいものではなかった。絶え間ない戦争、過剰な支出、政治的不安定が、ローマの基盤を弱体化させた。インフレが蔓延し、富の不平等が拡大し、政治的暴力と退廃が進む中で民主主義は崩壊した。衰退した共和国は、末期には狂人によって支配され、没落を加速させた。 米国の政治が、下品なリアリティ番組のように堕ちていくのを見るにつけ、この番組は以前にも見たことがあるような気がしてくる。
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(ID:18471112)
RT 31 Mar, 2023
トランプ氏の起訴で新たな深みに達したリアリティ番組「アメリカ」
https://www.rt.com/news/573471-indictment-trump-soros-us/
米国政治は、同国初の元大統領の起訴でさらに下品になった-
米国のジャーナリスト トニー・コックス記
ブルームバーグ、複数の主要日刊紙で執筆/編集を担当
米国の政治がこれ以上下品になることはないと思っていた矢先、ニューヨーク市の検事アルビン・ブラッグとドナルド・トランプ前大統領が、この国がまだ底をついていないことを証明した。
米国の政治システムは今やリアリティ番組と同じであり、木曜日にマンハッタンの大陪審によってトランプが起訴されたことで、視聴者はこの番組がいかに下品で不愉快なものになっているかに慄然とするはずである。実際、もし台本のある昼メロであれば、昼間のテレビの視聴者にとっては、あまりにも信じがたい、ダサいものであっただろう。
ストーリーを考えてみると、共和党の有力な大統領候補との不倫疑惑について、口止め料として芸名「ストーミー・ダニエルズ」というポルノ女優に13万ドルを支払うことから始まる。そして、元リアリティTVスターで、2度の離婚を経験し、現在は24歳年下の元モデルと結婚している、お騒がせな被告人。さらに、マンハッタン地区検事であるブラッグも忘れてはならない。彼は民主党の大富豪ジョージ・ソロスの資金援助を受けており、極左であるため、正当防衛や共和党の容疑者が絡んでいない限り、犯罪の疑いを起訴することに大抵アレルギーがある。
良いドラマの基本は、視聴者に登場人物の誰かに共感させることだが、今回は誰かを応援するのは難しい。まず、AV女優に口止め料を支払う理由がありそうな大統領というのが、かなり不愉快だ。米国の大統領としては初めてのことだろう。彼はまた、次のような「米国初の大統領」でもある:プロレス興行「レッスルマニア」の寸劇に出演し、6つの事業を倒産させて債権者への支払いを免れながら億万長者になり、女性の「○部」をつかむことを自慢するテープが見つかったり、カジノに隣接する駐車場を作るために高齢の女性を家から追い出そうとしたり...見苦しい「初の」を挙げればきりがない。ジェリー・スプリンガーのタブロイド・トークTV番組が政治家をゲストに迎えるならば、トランプは真っ先に招待されるであろうことは言うまでもない。
木曜日の起訴により、2度の弾劾を受けたトランプは、現職または元米国大統領として初めて刑事責任を問われることになった。ソロスは、政治的ライバルを排除するために刑事司法制度を利用することで、危険な新しい前例を作ってしまった。自由と民主主義を守ると豪語する人たちが、2024年の選挙で有権者の選択肢からトランプ氏を外し、実質的に有権者が誰を選べるかを決めようとしている。これはバナナ共和国の行動であり、もう後戻りはできない。
また、トランプ氏は、そのすべての欠点について、間違った理由で訴追されていることも皮肉なことだ。歪んだ司法制度にありがちなことだが、悪党とされる人物が重大な犯罪を犯しても罰せられることはなく、むしろ、この事件はインチキや些細なことが原因である。
たとえポルノ女優であっても、口止め料を支払うことは違法ではない。法学者のジョナサン・ターリーが指摘するように、ブラッグは、米司法省と連邦選挙委員会の両方が追求する価値がないと判断した7年前の疑惑を蘇らせようとしているのだ。即ち、関連する可能性のある刑事責任―政治献金の申告漏れ―であり、これを問うならば、その支払いがトランプの大統領選挙を助けるという唯一の目的のために行われたことを証明する必要がある。だが、別の動機で行われた可能性も否めないだろう。既婚の有名人や実業家ならば、今回のような恥ずかしい疑惑が公になるのを防ぐため、ということだ。
ブラッグ氏は、「バッドオレンジマン」を起訴するという公約を掲げて検事選に臨んだが、それを実行することで、トランプ嫌いの支持者をなだめるというプレッシャーを感じたのだろう。彼は昨年、前大統領の告訴を断念したことで批判にさらされ、彼のチームの2人の上級検事が嫌気がさして辞任することになった。ターリー氏は、ブラッグ氏の前大統領に対する裁判を「政治的に長く、法的には短い」と評した。
このエピソード全体が額面通りでも十分に嫌なものでないかのように、企業メディアはいつものように誇張と偏向を行い、トランプを刑務所に入れるという民主党の最新の努力を応援している。それと同じくらい不愉快なことに、トランプは起訴を資金集めの道具として使い、支持者に彼のために抗議するよう促している。
トランプ氏の騒動が話題になるということは、過去数十年の間に米国の政治がいかに下降線をたどり、品位や礼儀の感覚が遠い記憶になってしまったかを反映している。ほんの20年前でも、米国で選ばれた高官としての基準がここまで低下するとは考えにくかった。
例えば、2004年と2008年に民主党の大統領候補となったジョン・エドワーズ元上院議員の政治キャリアは、不倫の発覚によって実質的に終了した。かつては、このようなスキャンダルはキャリアキラーだと思われていた。1988年の大統領選で民主党の最有力候補だったゲイリー・ハートは、不倫のニュースが流れた後、不名誉にも降板してしまった。トランプ氏以前には、離婚歴のある米国大統領は1人しかおらず、有能な演説家ロナルド・レーガン氏は、当選する30年以上前に起きた破局を有権者に忘れさせることができた。
トランプの後継者であるジョー・バイデンは、1988年の最初の大統領選挙が剽窃と不正のスキャンダルで台無しになった後、政治的な笑いものになった。2020年の大統領選に出馬する頃には、彼は高齢で混乱した失言マシーンとなっており、その嘘は頻度を増すばかりだった。彼はまた、元インターンから性的暴行で告発され、バイデンが公的なイベントで若い女の子に不愉快なほど接近しているビデオ映像を、世界中がオンラインで見ることができるようになった。
有権者はどうやら気にしていなかったようで、メディアは1988年とは大きく異なるアプローチをとり、バイデンの人格を入念にチェックするのではなく、バイデンを守るために敵の攻撃を阻止した。実際、2020年の選挙の数週間前に、バイデン一家の影響力行使の作戦を暴露する爆弾報道がなされたとき、マスコミはその記事を潰し、ロシアの偽情報であるという嘘を広めるのに貢献した。バイデンの息子、ハンターが捨てたラップトップコンピュータに含まれる証拠には驚くほど関心を示さなかった。彼は薬物検査の失敗で海軍予備役から追い出され、ストリッパーだった時に出会ったとされる女性と婚外子を作り、彼は兄の未亡人と不倫していた。
もしこれが、米国が提供する最高のものであるならば、この国は政治よりも大きな問題を抱えている。米国は日々、分裂し、機能不全に陥り、堕落し、退化していく。ローマ帝国は、その死期が迫っていた時、2023年の米国ほど堕落し、腐敗していただろうか?ローマ帝国は、自分たちをどこにも負けない優れた存在とみなし、世界を支配する運命にあると感じていたのだ。
ローマ帝国の崩壊は、決して美しいものではなかった。絶え間ない戦争、過剰な支出、政治的不安定が、ローマの基盤を弱体化させた。インフレが蔓延し、富の不平等が拡大し、政治的暴力と退廃が進む中で民主主義は崩壊した。衰退した共和国は、末期には狂人によって支配され、没落を加速させた。
米国の政治が、下品なリアリティ番組のように堕ちていくのを見るにつけ、この番組は以前にも見たことがあるような気がしてくる。