>ロシア、対アフリカに外交攻勢。ロシアは黒海穀物協定の延長に同意するための条件(国営農業銀行のSWIFT金融メッセージングシステム利用、露農業会社保有外国資産と口座のブロック解除)提示。プーチン合意なければアフリカに穀物の無料提供を発表 Indian Punchlineの2022 年 7 月 26 日「黒海と三銃士」という記事は、穀物協定はロシアの政治的勝利だと書いている。 https://www.indianpunchline.com/black-sea-and-three-musketeers/ 「基本的に、穀物取引はバイデン政権にとって目障りなものである。そもそもバイデン政権は、ロシア軍側の大きな柔軟性を必要とする協定が交渉されるとは思っていなかった。さらに腹立たしいのは、この協定がロシアにとって政治的勝利であることが判明していることである。 モスクワは、世界的な食糧危機に対処するために、海上封鎖を解除するという現実主義を貫き、良い評判を得ています。しかし、多くの人にとって明らかでないのは、この穀物取引は、EUと米国がロシアの穀物と肥料の輸出に課している制限を解除させることを国連に約束させる裏取引でもあるということです。 さらに、穀物や肥料の輸出で大きな収入が得られるだけでなく、特に西アジアやアフリカなど、ロシアの小麦に依存している多くの国から、モスクワは計り知れない好意を得ているのです。」 2月の年次教書演説でプーチン氏は次のように語っていた。 「西側はキエフ政権を幇助し、武装させるためにすでに1500億ドル(20兆2460億円)以上を費やした。比較のために引用すると、経済協力開発機構(OECD)のデータでは2020-2021年、世界の最貧国支援にG7諸国が割り当てた額は約600億ドル(8兆983億円)。実に分かりやすいではないか。戦争のためには1500億ドル出すが、いつも面倒をみているはずの最貧国には600億ドルで、しかも金をもらう側にはよく知られた服従条件がつけられる。それでは貧困撲滅、持続可能な開発、エコロジーについての話はどうなったのか? すべてどこに消えたのか? こうした一方で戦争に注ぎ込まれる資金の流れは細らない。他国の混乱やクーデターを助長するための資金もまた、世界中で惜しみなく注がれている。」 アメリカ帝国等の西側のご都合主義を痛烈に皮肉ったわけであるが、当然、こうした主張はグローバルサウスと括られる国々にも、なんらかのインパクトはあるはずだ。 同じ演説の中で、プーチン氏はロシアの農業に関して、 「ロシアの農業生産についてだが、これは昨年、二桁の成長率を示した。農業生産者の皆さん、どうもありがとう。敬意を表します 。ロシアの農家は記録的な収穫をあげた。1億トン以上の小麦を含む1億5000万トン以上の穀物を収穫した。農業年度末、つまり2023年6月30日までに、ロシアは穀物総輸出量を55億6000万トンまで伸ばすことができる。」と述べた。 実際、ウクライナの農業生産は戦争により壊滅的状況であろうから、穀物協定の生殺与奪を握っているのはロシアであろう。経済制裁を乱発して、更に武器供与により戦争を長引かせて、穀物輸出を混乱に陥れたのは西側だ。 西側には「グローバルサウスなど幻」などと嘯く向きがあるが、それこそ、世界にはアメリカ帝国しか存在しないかの幻を見ているのではないか?
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(ID:119568177)
>ロシア、対アフリカに外交攻勢。ロシアは黒海穀物協定の延長に同意するための条件(国営農業銀行のSWIFT金融メッセージングシステム利用、露農業会社保有外国資産と口座のブロック解除)提示。プーチン合意なければアフリカに穀物の無料提供を発表
Indian Punchlineの2022 年 7 月 26 日「黒海と三銃士」という記事は、穀物協定はロシアの政治的勝利だと書いている。
https://www.indianpunchline.com/black-sea-and-three-musketeers/
「基本的に、穀物取引はバイデン政権にとって目障りなものである。そもそもバイデン政権は、ロシア軍側の大きな柔軟性を必要とする協定が交渉されるとは思っていなかった。さらに腹立たしいのは、この協定がロシアにとって政治的勝利であることが判明していることである。
モスクワは、世界的な食糧危機に対処するために、海上封鎖を解除するという現実主義を貫き、良い評判を得ています。しかし、多くの人にとって明らかでないのは、この穀物取引は、EUと米国がロシアの穀物と肥料の輸出に課している制限を解除させることを国連に約束させる裏取引でもあるということです。
さらに、穀物や肥料の輸出で大きな収入が得られるだけでなく、特に西アジアやアフリカなど、ロシアの小麦に依存している多くの国から、モスクワは計り知れない好意を得ているのです。」
2月の年次教書演説でプーチン氏は次のように語っていた。
「西側はキエフ政権を幇助し、武装させるためにすでに1500億ドル(20兆2460億円)以上を費やした。比較のために引用すると、経済協力開発機構(OECD)のデータでは2020-2021年、世界の最貧国支援にG7諸国が割り当てた額は約600億ドル(8兆983億円)。実に分かりやすいではないか。戦争のためには1500億ドル出すが、いつも面倒をみているはずの最貧国には600億ドルで、しかも金をもらう側にはよく知られた服従条件がつけられる。それでは貧困撲滅、持続可能な開発、エコロジーについての話はどうなったのか? すべてどこに消えたのか? こうした一方で戦争に注ぎ込まれる資金の流れは細らない。他国の混乱やクーデターを助長するための資金もまた、世界中で惜しみなく注がれている。」
アメリカ帝国等の西側のご都合主義を痛烈に皮肉ったわけであるが、当然、こうした主張はグローバルサウスと括られる国々にも、なんらかのインパクトはあるはずだ。
同じ演説の中で、プーチン氏はロシアの農業に関して、
「ロシアの農業生産についてだが、これは昨年、二桁の成長率を示した。農業生産者の皆さん、どうもありがとう。敬意を表します 。ロシアの農家は記録的な収穫をあげた。1億トン以上の小麦を含む1億5000万トン以上の穀物を収穫した。農業年度末、つまり2023年6月30日までに、ロシアは穀物総輸出量を55億6000万トンまで伸ばすことができる。」と述べた。
実際、ウクライナの農業生産は戦争により壊滅的状況であろうから、穀物協定の生殺与奪を握っているのはロシアであろう。経済制裁を乱発して、更に武器供与により戦争を長引かせて、穀物輸出を混乱に陥れたのは西側だ。
西側には「グローバルサウスなど幻」などと嘯く向きがあるが、それこそ、世界にはアメリカ帝国しか存在しないかの幻を見ているのではないか?