中庸左派 のコメント

>政治面だけでなく、戦略面、抑止面での私たちの協力は北朝鮮が恐れていることである。それは中国が望んでいないことでもある

 アメリカ帝国の東アジア戦略の中で、アメリカ帝国仲介による「和解」の「演出」という側面は否めない。

 しかし、そもそも論も大事。そして、日本と朝鮮半島には固有の歴史的文脈がある。

 私は、2015年末の「慰安婦問題日韓合意」が、慰安婦支援運動団体や韓国側世論の反発に晒され、結局「破棄」においこまれた経緯を思い出す。

 この流れはやはり不毛だ。

https://japan.hani.co.kr/arti/international/23708.html

https://japan.hani.co.kr/arti/international/23709.html

 しかし、だからこそ、和田春樹氏が語った、「日本側が「昔のことは、すまなかったという気持」をもつかもたぬかが「日韓会談の基礎であり、根本である」と韓国側が言うのは正しい」という心情を基本に日韓は和解するべきだ、と信じている。

 しかし、その際、問題は両国のナショナリズムであったり、自民党保守派、国際政治情勢であったり、運動論的原理主義など、モロモロの夾雑物が入り込むことだろう。

 だが、繰り返すが、そもそも「和解」は必要だ。

 その「和解」のプロセスの中に徴用工問題を位置づけるべきである。

 ここで、私は運動論的原理主義について何を指すか、という点で、再び和田春樹氏の言葉を借りる。「日本の進歩的市民と韓国の反植民地主義勢力が連帯して、日本政府に対峙することが必要だ」という発想のことである。私はサヨクを自認するから、この考え方に反対なのではない。だが、私が考えているのは、これは政治的空論だという現実認識である。

 戦後80年近く経つ今、日本として負の歴史に根ざした平均的戦後責任論を想定するなら、「反植民地主義との連帯」や日本政府との「対峙」といった原理主義的運動論は浸透しないだろう。これは、時の流れを踏まえた政治的現実だと、私は考えている。

 しかし、それでも、日韓は和解するべきだ、と考えている。それは被害者の叫びを日本人として受け止めることであるからだ。またしても、和田春樹氏の言葉をお借りする。

「韓国の国民からの協力を信じて、日本国民の意識を変えるために努力を続けることーーそれが私たちの進むべき道なのである。朝鮮民族の残る半分との危機を回避する必要性を痛感するにつけ、そう強く思っている。」

 私自身は、和田春樹氏が言う「朝鮮民族の残る半分との危機を回避する必要性」もまた、武力的対峙でなく、「和解」の延長であると受け止めている。

No.1 20ヶ月前

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