> 米国は自己の占領体制の円滑な運営の為に、戦争関連者を使った。戦争の責任を免責し、それによって米国協力をさせた。 下々には「生きて虜囚の辱めを受けず」を刷り込む一方、大本営等、日本の上層部自らは「どうか命だけはお助けを!」と必死の命乞い。それを米国は「問答無用!皆殺しだ!」とはやらなかった。狡猾にソロバン弾いた結果なのか。だが、国が国なら、そんな売国指導者等は怒れる大衆によって吊し上げを食らうのでないか。それが、殊にこの日本では そうならない。やはり、上から下まで、9割方の日本人には「奴隷根性DNA」が組込まれているのか。 "清張は、占領時に米国からやってきたジャーナリストのジョン・ガンサーが、日本各地でいろいろな日本人にインタビューを試みたときの、ガンサー自身が日本人に抱いた印象記を引く。 「あらゆる種類の日本人に、総司令部に対して何か苦情がないかと、質問したものだったが、こうした質間を受けると、日本人はみなびっくりした顔つきになる。彼らがまず最初に見せる反応は、大ていただ笑ってごまかすことだった。事実、私からこんなことを質問されると、彼らはすっかり怖れをなしてしまうのであった」(『松本清張全集31』239頁) 当時、ふつうの日本入にとって、上位の人間に対して、苦情(文句)を言うなどというのは、恐れ多く、まったく馴染みのないことだった。そして今も、そうした風土は拭い去られていないように感じるのは、筆者だけではあるまい。「空気を読む」 という言い回しや「出る杭は打たれる」という昔ながらの言説も、今以て、いたる所に蔓延っている。 いかに人々が周囲の階層序列を神経質に値踏みしながら、対処しなければならない風土が根強いかが分かる。 現下の東ァジアでは、中国の政治経済的台頭が顕在化し、北朝鮮の挑発行為も目にあまる。そうした軍事的緊張が高まるなかで、劣化や後退の著しい米国にだけしがみ付き、自らは思考停止し、司令塔トップは官僚作成のメモを読むだけ。まさかの可能性すらなくはない戦争という大惨事を止めるために奔走する政治家も知恵袋も不在で、カメラ向けに演出されたパフォーマンスに終始する。 決定的な情報無視は、今日も、無縁ではない。二〇一五年四月、当時の安倍晋三首相は、米上下両院合同会議で「希望の同盟へ」という演説を行った。日本の現役首相が米議会で演説をするのは史上初ということで、話題になった。かつて敵対関係にあった日米が融和によって、戦後は仲良く相携えてやっていきたいという筋書きだった。 だが、その直後、ニューヨーク・タイムズ(二〇一五年五月三日)に掲載された風刺画は何とも辛辣なものだった。米国の前で露払い役を務める日本の役割を風刺したものだが、その日本人の上着にはABEと記されていた。それは、米国の、少なくとも、識者層の正直な日米関係認識を反映するものだろう。”(中尾茂夫著「世界マネーの内幕」/2022)
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> 米国は自己の占領体制の円滑な運営の為に、戦争関連者を使った。戦争の責任を免責し、それによって米国協力をさせた。
下々には「生きて虜囚の辱めを受けず」を刷り込む一方、大本営等、日本の上層部自らは「どうか命だけはお助けを!」と必死の命乞い。それを米国は「問答無用!皆殺しだ!」とはやらなかった。狡猾にソロバン弾いた結果なのか。だが、国が国なら、そんな売国指導者等は怒れる大衆によって吊し上げを食らうのでないか。それが、殊にこの日本では そうならない。やはり、上から下まで、9割方の日本人には「奴隷根性DNA」が組込まれているのか。
"清張は、占領時に米国からやってきたジャーナリストのジョン・ガンサーが、日本各地でいろいろな日本人にインタビューを試みたときの、ガンサー自身が日本人に抱いた印象記を引く。
「あらゆる種類の日本人に、総司令部に対して何か苦情がないかと、質問したものだったが、こうした質間を受けると、日本人はみなびっくりした顔つきになる。彼らがまず最初に見せる反応は、大ていただ笑ってごまかすことだった。事実、私からこんなことを質問されると、彼らはすっかり怖れをなしてしまうのであった」(『松本清張全集31』239頁)
当時、ふつうの日本入にとって、上位の人間に対して、苦情(文句)を言うなどというのは、恐れ多く、まったく馴染みのないことだった。そして今も、そうした風土は拭い去られていないように感じるのは、筆者だけではあるまい。「空気を読む」 という言い回しや「出る杭は打たれる」という昔ながらの言説も、今以て、いたる所に蔓延っている。
いかに人々が周囲の階層序列を神経質に値踏みしながら、対処しなければならない風土が根強いかが分かる。
現下の東ァジアでは、中国の政治経済的台頭が顕在化し、北朝鮮の挑発行為も目にあまる。そうした軍事的緊張が高まるなかで、劣化や後退の著しい米国にだけしがみ付き、自らは思考停止し、司令塔トップは官僚作成のメモを読むだけ。まさかの可能性すらなくはない戦争という大惨事を止めるために奔走する政治家も知恵袋も不在で、カメラ向けに演出されたパフォーマンスに終始する。
決定的な情報無視は、今日も、無縁ではない。二〇一五年四月、当時の安倍晋三首相は、米上下両院合同会議で「希望の同盟へ」という演説を行った。日本の現役首相が米議会で演説をするのは史上初ということで、話題になった。かつて敵対関係にあった日米が融和によって、戦後は仲良く相携えてやっていきたいという筋書きだった。
だが、その直後、ニューヨーク・タイムズ(二〇一五年五月三日)に掲載された風刺画は何とも辛辣なものだった。米国の前で露払い役を務める日本の役割を風刺したものだが、その日本人の上着にはABEと記されていた。それは、米国の、少なくとも、識者層の正直な日米関係認識を反映するものだろう。”(中尾茂夫著「世界マネーの内幕」/2022)